動画越しの執念 42
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両親と夕飯を食べている最中、バイト初日の感想を訊かれ、曖昧に答えてやりすごしたわたしは、お風呂を済ませると一目散に自分の部屋へ撤退した。
今夜中に、アカリさんの依頼に関する情報をできる限りまとめておきたい。
何か一つ、どんな些細な箇所であっても、アカリさんと水沢さんたちの助けになるのであれば、モチベーションを上げる理由としては充分だ。
「よし、頑張ろう! まだ確認できてない動画は結構あるけど、砂漠で一円玉探す作業に比べればすごいイージーだ」
アカリさんの動画の更新頻度は本当に妥協がなく、パソコンを立ち上げて確認すると、十五分ほど前に新しい動画が投稿されたばかりだった。
「すごいなぁ。嫌な目に遭ってるはずなのに、それでも自分のやりたいことを貫いてる。……同年代のはずなのに、わたしなんか全然足元にも及んでないじゃん」
ほんのちょっぴりの劣等感を味わってしまいながらも、アカリさんを助けて応援したいという想いの方が上回り、わたしは気合を入れるようにフッと息を吐き出すと、動画とコメント欄のチェックを開始した。
静寂堂での続きとなるが、まだ全体の三割程度しか調べが進んでいない。
一つの動画は十分から三十分程度で、生放送の回に関しては一度の放送で四時間以上のものも普通にある。
コメントはどの動画にも数百件は付いており、それらをきちんと調べるとなると、単純計算でも一杉縄ではではいかないことは容易に予測ができた。
全ての動画を余すことなく観ていたら、明日の朝になってしまう。
かと言って、どこに重要な手掛かりが残されているかわからない以上、下手に読み飛ばしや動画のスキップをするのも避けておきたい。
「パソコンとスマホの二台で同時に進めれば、少しは効率良くできるかなぁ。でも集中力が分散しそうだし……。どうにかうまい方法ないかな」
ゲームに熱中するアカリさんの笑い声を聞きながら、わたしは誰もいない部屋で一人困った声を漏らす。
「お金を貰う作業だから、中途半端な気持ちで取り組むわけにはいかないし」
勉強とも体験学習とも違う、正真正銘社会の一員としての活動。




