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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 31

「動画の中で、アカリさんとは別のものと思しき声が入ってる時間を、視聴している皆が書き込んでいるんです。動画を再生して、ちょうど十三分十八秒の箇所に、その正体不明の声が入っているってことですね」


「へぇ、なるほどね」


 ちょっとごめんねと断りを入れてから、水沢さんはわたしのスマホを自分の元へと引き寄せ、真剣な表情でコメント欄をスクロールさせていく。


「この動画には、誹謗中傷っぽい書き込みはないみたいね」


 水沢さんと顔を並べて画面を見ていた沙彩さんが、神妙な声でそんな呟きをこぼした。


「そうです。誹謗中傷に関しては、その動画が投稿されてから三日後、えっと……その次の次に投稿された動画から始まってます」


「そっか、心霊現象の方が少し先に――って、三日後に投稿された二つ目の動画? え? アカリさん、そんなハイペースで動画をアップしてるってこと?」


 真面目な顔のままわたしの返答に相槌を打ちかけた沙彩さんだったが、急に虚を衝かれた表情を浮かべて、スマホへ落としていた視線を私の方へと向けてきた。


「はい、そうですね。多いときには、朝と夜に二回アップしている日もありますよ。と言うか、アカリさんくらい人気の配信者になると、投稿頻度はこれくらいが当たり前みたいな感じになっているのが現状です。言い換えれば、あまり間隔を空けずにとにかく早く新作の動画を投稿し続けないと、すぐにファンが離れていくのがこの界隈の特徴ですから。人気を維持、向上させるためには、テンポの良い更新ができて当たり前ってところなんでしょうね」


 実際にコンテンツを提供する側に回ったら、寝る暇もないくらいキツイ作業なのかもしれないなと思いながら説明し、わたしは改めてアカリさんがどれだけ頑張っている人なのかを実感する。


「へぇ……。動画配信って、正直遊びの延長くらいのイメージで見てたけど、結構大変な仕事なのね。普通の女子高生って感じの子が、そんな凄いことをしてたなんて、お姉さんビックリだわ」


「ですよね。わたしも、同世代の子とは思えないですもん。尊敬しかないです」


 感心した声を漏らす沙彩さんへ、わたしも同意を示す意味で頷きを返す。

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