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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 30

「煌輝さ、若い子の方がって言うけど、あなただってまだ二十六でしょ。むしろ、ネットとか使いこなすって意味でなら煌輝の方ができてなくちゃ恥ずかしくない?」


「そうか? 何だかんだ言っても、十代の子たちには敵わないと思ってるけどな。やっぱり、瓜時くんくらいの年代は新しいものを吸収するスピードが圧倒的だよ」


 スマホを弄っている間、二人のやり取りが耳に入り、わたしは慣れ親しんだ人同士の会話だなぁと、そんなことをぼんやりと考えた。


 二人は元々、どういった経緯で知り合ったのだろうか。


 仲が悪いなんてことは絶対になさそうだけれど、かと言って恋人同士というほどの雰囲気でもない。


 あくまで同じ職場で働く、雇用主と従業員の間柄でしかないと判断してしまえばそれまでだが、二人の間に感じる距離感みたいなものは、それもまた違うように思えるのだ。


「あ、これです。まず、この動画のコメント欄を見てください」


 二人の関係については折を見て訊いてみようとひとまず保留にし、わたしはスマホに表示された動画サイトの画面が二人に見えるよう、テーブルの中央にスマホを置く。


「これ、アカリさんの投稿している動画の中で、一番最初におかしなコメントがついた動画なんですけど……ほら、動画の中でアカリさん以外の人が喋ってるって指摘するコメントが結構目立ってるんです」


 動画の下にあるコメント欄をゆっくりとスクロールさせながら、わたしは問題となる箇所をピンポイントに指差し説明をしていく。


「ふむ。確かに、動画そのものに対する感想や意見と比較しても、半々くらいの数はありそうか。ん? この時間を示すような書き込みは何だ? 皆同じ数字を打ち込んでいるようだけど」


 沙彩さんと一緒に画面を覗き込むようにして眺めていた水沢さんが、不意にコメント欄の一か所に目を止めた。


 そこに書かれていたコメントは、


『13:18、絶対に聞こえる。イヤホン推奨。これ普通に恐い』


 といった、動画内で起きている問題を指摘する内容のものだった。


 それ以外の類似コメントにも、


『13:18の所、人の声しない? 家族?』


『ここ13:18に入ってる声って、誰ですか?』


『十三分くらいのところにメリル以外の女の声入ってね?』


 等々、重複した内容の書き込みが、こちらから探す手間もないくらいの頻度で投稿されていた。

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