動画越しの執念 26
「昨日、わたしにはよしふみが守護霊になって一緒にいるって言いましたよね? それが原因で、わたしの性格も自覚できないまま変化してるって」
「ああ、言ったね。それがどうかしたのかい?」
「いえ、もしその話が本当なら、ちょっとおかしいかなって。あのですね、今日学校で友達と話をしているときに、わたし訊いてみたんです。ここ最近のわたしって、今までと何か雰囲気が変化したりしてるかって。でも、友達は特に何も変わってないって答えてきたんですよ。水沢さんと友達、どっちの言い分が正解なのかわからなくなっちゃったんですけど……結局わたしは、性格に何かしらの変化が起きているんでしょうか?」
「ふむ、なるほど。そういう話か」
こちらの質問を理解した水沢さんは、コーヒーカップの取っ手を持つと立ち上る湯気に目を細めながら、黒い液体にほんの少し口をつける。
「その答えなら、簡単だよ。今きみの中にいるよしふみくんは、俺ときみの二人にしか反応を示すことをしないから、他の人が側に寄っても特に影響を与えることがないのさ。現に、この事務所へ入った……いや、正確にはここへ来るためにきみが行動を起こした段階で、よしふみくんはあからさまにテンションを上げていたみたいだし」
コーヒーを飲み込んで、水沢さんはまるでこちらの胸中を読もうとでもするように、わたしのおでこ付近へ静かな目線を向けてくる。
「よしふみが、私の中でテンション上げてるんですか?」
告げられた内容をうまくイメージしようとするも、どうにもうまく映像にできない。
「昨日もそういうことは言われましたけど、本当に自覚がないんですよね。よしふみが一緒にいるって言うなら、ちゃんとアピールして教えてくれたって良いのに」
「本人は、すぐにでもそうしたいと思っている様子だけどね。まぁ、相性はすごく良いから、そのうち気配を感じられるようになるし、姿も視ることができる日はくるだろう。焦らないことさ」
「はぁ……。そういうものですか」
諭すように言ってくる水沢さんの言葉に、曖昧な気持ちのままひとまず納得することにして、わたしもジュースを一口だけ喉へと流し込む。
わたしがまだ幼稚園の頃に出会ったよしふみは、わたしが小学一年生の冬に車に撥ねられて亡くなった。
冬休みの真っ最中。クリスマスが終わり、あと数日で新しい年を迎えるというタイミングでの出来事だった。




