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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 23

「ああ、それねぇ……。私は霊感がない人間だから、ざっくりとした説明しかできないけど、そうだなぁ……自分から面倒事に関わりに行くのは、できるだけ避けなきゃ駄目ってこと。明らかに暴力行為が好きそうな人が近くにいたとして、しかもその人がすっごい機嫌悪いタイミングに声かけたりする人はあまりいないでしょう? そういうのと同じで、なるべく危機管理をしっかりして、身の安全を自分で守ろうねってこと。相手からいきなり攻撃を仕掛けられてきたときは、助けを呼んだり逃げることができそうならちゃんと逃げる。そういう判断が大事な仕事なのよ」


「はぁ」


 沙彩さんの言葉を脳内で反芻(はんすう)しつつ、わたしは問題の箇所をもう一度読み直す。


【仕事・私生活の両方において、依頼に無関係な霊体への干渉は一切しないよう留意すること。ただし、緊急的な場合においてはこの限りではない】


 つまり、基本的に仕事以外では幽霊に関わらないように生活をしろ、ということなのだろうか。


「これは煌輝の言い分だけど、幽霊っていうのは自分に干渉してくる人間へ引き寄せられる性質があるらしいの。もちろん、全ての幽霊がってわけじゃないそうだけど、ほとんどの場合はそうなんだって。だから、万が一にもすぐ側に幽霊が立っていたり擦れ違ったり、何なら声をかけられたりちょっかいをだされたりすることがあっても、絶対に――」


「そんな怖いことがあるんですか!?」


 聞き捨てならない台詞を拾い、わたしは驚きを隠しもせずに口を挟んだ。


「幽霊って、話しかけてきたりするんです? ぼーっと立ってるだけだったり、一方通行みたいに通り過ぎていくのばっかり視えてましたけど」


「ほとんどの霊はそんな感じだよ。まぁ、何もしなければ、基本的には無害だ」


 そう答えてきたのは、デスクに座ったままの水沢さんだった。


 そちらへ顔を向けると、パソコンを睨んでいたはずの瞳がこちらを見つめている。


「大抵の霊は、こちらから何か仕掛けない限りは脅威にならないし、中には何かを仕掛けても無反応なタイプもいる。だけどね、たまにこちらが霊の姿を認識しただけで依り縋ってきたり、敵意を剝き出しにして襲いかかって来る(たち)の悪い奴も紛れ込んでいるんだ。だからこそ、仕事以外の場においては、無駄な危険を回避するといった意味で霊には関わらないでほしいってこと。万が一、プライベートで霊に呪われました、それで急に怪我しました死にましたなんてことになったら、こっちにだって迷惑がかかるわけだしさ」

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