動画越しの執念 14
「……ありがとう、ございます」
照れているのか、褒められることに慣れていないためリアクションに困っているのか、アカリさんは耳を赤く染めながら、もにょもにょとお礼の言葉を口にして、コーヒーカップへ視線を逸らしてしまう。
堂々としてしっかりした人というイメージが第一印象であったせいもあり、その様子を見てやっとアカリさんが自分と同じ高校生なんだと、親近感を抱くことができた。
「さて、お話はこれで以上になりますが、万が一何かあった際にはすぐに連絡を取れるようにしておきたいと考えていますので、先ほどお渡しした名刺に書かれている私の番号を受信できるよう、設定だけしておいてください」
「はい。わかりました」
それから約十分、アカリさんがコーヒーを飲み終えるまで他愛のない雑談が続き、それも一段落ついたタイミングでアカリさんは静寂堂を後にした。
「――どうしよう、本当に夢みたい。まさか、あのメリルさんと生で会えちゃうなんて。水沢さんの所に来て良かった!」
入口のドアが閉まり十数秒の間を空けてから、わたしは感激に満ちた声を室内へと響かせた。
「まさか、いきなりメリルさん直々の依頼に関わらせてもらえるなんて、こんなことってあるんだ? 本当に信じられない」
両手を頬に当てて吐息を漏らすわたしへ、
「ちょっと待て」
平坦な水沢さんの声が絡みついてきたため、わたしはバッと勢いよく立ち上がり、速足でアカリさんが座っていた位置へと移動し腰を下ろした。
「はい、何でしょう。早速お仕事ですか? わたしにできることなら、どんなことでも喜んで。メリルさんの助けになれたら、お友達になれるチャンスもありますよね? 頑張りますよ」
「いやいやいや。ひとまず落ち着きなさい。勘違いしているみたいだけど、俺はきみを雇った覚えは微塵もないぞ?」
方眉を上げ、酔狂なことを言うなとでも言いたげに、水沢さんはピッとわたしの顔を指差してくる。
「えぇ!? そんな……あ! もしお金のことで問題があるのなら、ボランティアとして使ってくれても構いませんよ。本当に、わたしは水沢さんの力になりたいだけですので」
ずいっと身を乗り出し、わたしは真剣な眼差しで水沢さんへ素直な想いを口にする。




