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わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
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動画越しの執念 13

「――これで大丈夫でしょうか?」


 契約内容に納得したのだろう。水沢さんに差し出されたペンでサインをしたアカリさんが、確認を求めるように用紙を水沢さんへと戻す。


「……ええ、問題ありません。それでは、正式に依頼を引き受けますが、二点だけはっきりさせておきたいことがありますので、お訊ねします。まず、今回の依頼はご家族には内密にすべきなのか、それと、万が一引き受けた依頼が私らの方で対応できる内容のものではなかった場合、つまりは霊的な現象が一切ないと確認できた場合ですが、その際はこちらとしては何もお手伝いできることはありませんので、手を引かせていただくこととなります。その上で、依頼料の半分を請求させていただくこととなりますが、そのことに関してもご理解はしてもらえるでしょうか?」


「お金については、それで構いません。家族には、できるならばれないよう配慮していただけると助かります。ここに来ていること自体、秘密にしていますので」


「わかりました」


 事務的な会話がそこで止まり、一息つくかのように水沢さんは乗り出していた身を引いて、背中をソファーへと預けた。


「では、正式に美山さんの依頼を受けることとしましょう。ひとまず……そうですね、一週間ほど時間をいただけますか? その間に美山さんが投稿されている動画やそれに紐づくコメントなどを一通り調査してみます」


「わかりました。よろしくお願いします」


 最後に小さく頭を下げ、アカリさんも気が楽になったのか、少しほっとした様子でコーヒーを啜る。


「しかし、意外でしたね。園部の言葉を真似するわけではないですが、まさかうちみたいな所に有名人が訪ねてくるとは思ってもいませんでしたよ」


 水沢さんも仕事モードからスイッチが切り替わったようで、硬さの取れた声音になりながらアカリさんへ話しかける。


「え? いやそんな、有名人だなんて。ネット上では一切顔を出していませんし、声だって意識して変えるように心がけていますから。リアルでのあたしは、ただの一般人でしかないですよ」


 謙遜した様子で、両手を胸の前で小さく振ると、アカリさんは困った顔ではにかんでみせる。


「それだってすごいですよ。一つのコンテンツの中で大きな成功を掴み、それを維持しつつさらに上を目指すことは、どういったジャンルであってもそう簡単なことじゃない。ましてや、その年齢で成し遂げているのですから、すごくないわけがありません」

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