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エピローグ 1

         1


「――そっか。良いかたちでお別れができたのね」


 大石くんと共に裕子と別れを済ませた翌日。


 わたしは学校が終わるとすぐに静寂堂へ足を運び、裕子とのお別れの瞬間を事細かく二人へと報告した。


 二人とも私の話を最後まで黙って聞くと、優しく笑みを浮かべながら静かに頷きを返してくれた。


「幽霊とのお別れって初めてだったのでよくわからないんですけど、裕子はちゃんと後悔のない最期を迎えることができたんですよね?」


 話を聞き終え、最初に言葉をかけてくれた沙彩さんへ、わたしはそう問いを返す。


 裕子本人は、不満なく未練を解消し去っていったのは間違いないと思うけれど、実際本当に成仏できたのかをわたしは確かめることができない。


「うーん、私はそう思うよ。陽奈乃ちゃんにそこまでしてもらえて、まだこの世に未練があるっていうのはないだろうし、私が蟻塚さんの立場だったら、本当にもう陽奈乃ちゃんには感謝しかないって感じかな。煌輝はどう思う? 蟻塚さん、成仏できたの?」


 上目遣いに天井を見上げて答えてから、沙彩さんはデスクで頬杖をつきながらこちらを見ていた水沢さんへと話を振った。


「うん、まぁ……結果オーライと言うか、収まるかたちに全てが丸く収まったって感じかな。ハッピーエンドだと思うよ。上出来。よく頑張ったね、瓜時くん」


「はい、ありがとうございます」


 裕子は成仏できたのかという疑問には、はぐらかされたような言い方をされ、少し腑に落ちない気分になりつつ褒めてくれたことに対してのお礼だけを告げる。


「よしふみくんとの相性も、今回の件でより強くなったみたいだし、今後は簡単な依頼の助手くらいなら瓜時くんに手伝ってもらっても問題ないかもしれないな」


「え? いえいえ、そんな……。できるお仕事が増えるのは嬉しいですけど、そんな信頼されるほどの成長はしてないと思いますよ。ちょっと過大評価してませんか?」


 謙遜ではなく、本気で思うことを口走るわたしへ、水沢さんはにんまりと笑いながら首を振り、こちらの足元を指差した。


「……?」

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