表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
12/18

動画越しの執念 8

 渡された名刺を確認し、水沢さんが自分の名刺を渡すため胸ポケットへ手を入れたタイミングで


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 わたしは、外まで響き渡るような大声を上げながら立ち上がってしまった。


「きゃっ!? びっくりしたぁ。どうしたの陽奈乃ちゃん? いきなりそんな大声出して」


 突然奇声を上げたわたしを、三人が驚いた顔で見つめてくるのにも構わずに、わたしは数秒間口をパクパクさせてから、どうにか喉に力を込めて無理矢理声を絞り出した。


「ご、ごめんなさい。急に知っている名前が出てきたものですから、つい……」


「知ってる名前?」


 首を傾げる沙彩さんへコクリと頷いて、わたしは右腕を伸ばしそっとアカリさんの方へと差し出した。


「い、今……水沢さん、蒼雷メリルって仰いましたよね? それって、そちらのアカリさんのことでしょうか?」


「ん? ああ、名刺にはそう書いてあるからね。きみ、美山さんを知っているのか?」


「当然ですよ!」


 何ということもないと言いたげにあっさりと答えてきた水沢さんへ、わたしは目を見開いて言葉を返す。


「蒼雷メリルって言ったら、ブイフェイの中でもトップクラスの人気があるんですから! ファン登録者数も三百万人超えてるんですよ? うっそぉ……まさか、同じ市内に住んでたの?」


 わたし自身も、熱狂的なファンとまではいかないが、ファン登録はしている。


 学校で話題になることもあるし、再生回数の多い有名な動画はそれなりにチェックしていたのだが、まさかこんな身近に本人がいたなんて。


 蒼雷という名前に因んでか、青と黄色をメインにした髪色と服装が特徴で、常に元気なテンションで動画を盛り上げるそのキャラクター性を強調するためか、瞳だけは赤いのも強く印象に残っている。


「わ、嬉しい。あたしのこと、知ってくれてるんですね。初めまして、蒼雷メリルです! リアルでもよろしくね!」


「うわぁ……、本物だぁ!」


 動画の中で聞いた声と同一の声が目の前から聞こえ、わたしは感嘆の呟きを漏らしてしまう。


「へぇ。私も、ブイフェイっていうコンテンツが若い子たちの間で流行っているのは知ってたけど、そんなすごいお客様がうちなんかに来るなんてねぇ。煌輝、失礼のないようにちゃんと対応しなさいよ?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ