表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしは黄泉の光に魅せられる  作者: 雪鳴月彦
動画越しの執念
10/16

動画越しの執念 6

「はい。ありがとうございます。よろしくお願いします」


 促され、女の子はわたしと入れ替わるようにしてソファへ座り、水沢さんと対面する。


 肩越しに振り返り二人の様子を窺えば、女の子は若干緊張した面持ちで水沢さんを真っ直ぐに見つめていた。


 傍目から見ても、芯の強い人なんだなというのがわかる、そんな雰囲気を纏っていた。


「陽奈乃ちゃん、私は陽奈乃ちゃんのこと応援してるからね。頑張って煌輝を説得して、ここで一緒にお仕事ができるようにしましょう」


「え? あ、はい。ありがとうございます」


 女の子に気を取られていたわたしは、沙彩さんの言葉に慌てて顔を前へと戻し、頭を下げる。


「でも、どうしてそこまでわたしの味方をしてくれるんですか?」


「んー? 色々あるけど、毎日煌輝と二人っきりっていうのも退屈だから、陽奈乃ちゃんが来てくれたら、話し相手ができて嬉しいかなって。それに、私が見た限り、陽奈乃ちゃんは(はら)い屋としての才能がある気がするのよね」


「才能……。わたしに、ですか?」


「うん。まぁ、そうは言っても私には霊感がないから、あくまでも第一印象の雰囲気で勝手にそう感じたってだけだけどね。ひとまず、丁度いい機会だから、今は煌輝が仕事をする様子をよく見学しておくといいわ。……はい、じゃあ一番最初のお仕事。これをお客様に持っていって。その後は、その辺にある椅子を持ってきて、私の席の隣にでも座っててくれて構わないから」


 話をしながら慣れた手つきで淹れたコーヒーをわたしへ差し出し、沙彩さんはにこりと微笑みを浮かべる。


「……はい、任せてください!」


 最初の仕事と言われたことが嬉しくて、わたしは元気よく頷くとコーヒーを受け取り、こぼさぬよう注意を払いながら女の子の元へと運んでいく。


「どうぞ」


 緊張しつつコーヒーを置くと、女の子は白い歯を見せて笑いながらわたしを見上げ、


「ありがとうございます」


 と、小さく頭を下げてきた。


「あ、えっと……ごゆっくりどうぞ」


 何と答えるのが正解なのか瞬時に思い浮かばず、わたしはぎこちない顔になりながらそう言葉を返した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ