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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

平和な乙女ゲームの聖女に転生したのに、他のみんながシナリオを無視しています。~結局、婚約破棄から始まるのですか……?~

作者: あざね

とりあえず読んでみてください()

※連載版開始しました(勢いで『https://ncode.syosetu.com/n3751ip/』

あとがき下にリンク張っておきます




「アリス・エルカトレア――現時点をもって、私はキミとの婚約を破棄する!」

「…………ちょっと、少しだけ考える時間をいただけますか?」

「考える時間……?」

「はい。ちょっとこれは、想定になかったもので」

「あ、あぁ……そう、なのか。たしかに?」



 金髪碧眼の聖女、アリス・エルカトレアはそう言って考え込み始めた。

 彼女に婚約破棄を言い渡した公爵家嫡男、ルルド・アファードはあまりに冷静な相手の態度に流されてそれを了承してしまう。使用人や執事、その他の関係者も引き払わせた二人きりの部屋の中、ただただ何とも言えない沈黙だけが続く。

 仕方ないので、ルルドは先ほど使用人が用意した紅茶を一口。

 ボンヤリとソファーに腰かけて、難しい表情を浮かべているアリスの言葉を待った。そして、そのまま小一時間ほど経過した頃合い。


「いや、ないわ。こんなの、シナリオになかったはず」

「……シナリオ?」


 考え終わったらしいアリスが、あまりに砕けた口調でそう漏らした。

 そろそろ木の枝の葉が何枚あるのか数えようとしていたルルドは、振り返って微かに聞き取れた単語だけを繰り返す。見れば聖女は、ひどく落胆した面持ちで彼を見ていた。

 そのような暗い表情など、出会ってから一度も見せてこなかったアリス。

 ルルドは自分の言葉で彼女をそこまで追い詰めたのか、と少しだけ不安になった。


「えーっと、ルルド様。一つ確認良いですか?」

「え、は……はい」


 思わず襟を正すルルド。


「最近、誰か他の女性から私の悪評など耳にしましたか?」

「それは、そうだな。……部分的にそうかもしれない」

「その方は私の友人の中にいますか?」

「……はい」

「その友人の名前は、エリカ・オブライエンですね?」

「えっと……」


 一つと思っていたのに、矢継ぎ早に問われて狼狽えるルルド。

 しかし、そんな彼の表情を見て確信に至ったらしい。


「なるほど。では、少しエリカと話をしてきますね」

「え!?」


 アリスはそう告げると、そそくさと部屋を出て行ってしまった。

 思わぬ展開にルルドは何もできず、ただ呆然と立ち尽くす。

 そして、しばし考えた後にソファーに腰かけて、


「この焼き菓子、思ったより美味しいな」


 そんな間の抜けたことを言うのだった。





 ――『カーネーションに口づけを(通称、カネロ)』という乙女ゲームがある。

 昨今にしては珍しい、バッドエンド非搭載という珍しいタイトルだ。


 アタシこと有栖和花は、ひょんなことから死んでしまい、そのゲームのヒロインであり聖女のアリス・エルカトレアに転生を果たしたのだった。物語開始時点で目覚めた際には、心の中で何度もガッツポーズをしたものである。

 その理由というのも、この乙女ゲーの攻略対象である公爵家嫡男のルルドは、アタシが生前に愛してやまなかった『喜多野晴友』という声優が声を当てていたから。

 当然、このゲームにおけるアタシの最推しはルルドに他ならなかった。


「でも、やっぱりおかしい」


 アリスとして歩み始めたアタシは、即座にルルドルートを選択。

 そして、着実に彼との仲を深めるに至った。


「……全然、シナリオと違う」


 だけど、違う。

 いくら『バッドエンド非搭載』とはいえ、あまりにも順調に進みすぎだった。仮にもゲームなのだから、いくつかの困難を様々なキャラクターと一緒に乗り越えていく。その上でヒロインは最愛の人物と結ばれる、これが俗にいうお約束というやつだった。

 ところが蓋を開けてみれば、そこにあったのは何とも平坦なストーリー。

 例えるなら、決定ボタンを連打していたら終わってました、という感じだった。


「いや、なんて『ゲー無』よ。それ……」


 したがって、アタシの満足度は限りなく低い。

 低かったのだけど、先ほどの一件でいよいよ事態が動き出した。


「ここは確かに『カネロ』の世界にそっくりだけど、何かが違う。きっとアタシが転生したことによって、シナリオのどこかがズレてしまったんだ」


 そうでなければ平和な乙女ゲーの代名詞たる『カネロ』で、婚約破棄なんてイベントが発生するわけがない。アタシ自身が世界のバグ、だなんて考えたくはないけど。しかしこの問題を解決するには、まずはアリスとしてアクションを起こさなければならなかった。


「さて、そうなってくると。最初に確認するべきなのは、エリカね」


 いかに平和な乙女ゲームといっても、もちろん恋敵は存在する。

 それが先ほど話題に上がっていた少女――エリカ・オブライエンだった。庶民出身ながらも王都立学園に通う才女で、聖女であるアリスの親友ポジション。実際のシナリオの中では一応、ルルドを取り合って喧嘩をするシーンがあった。

 とはいっても、さほど重い展開ではなく。

 ルルドルートを選択した際、エンディングは二つに分岐するのだった。


「アリスがルルドから身を引く、友情エンド。……でもアタシが今回選んだつもりだったのは当然、ルルドと結ばれる、恋愛エンド。道筋こそ違ったけれど、エリカだってちゃんと理解した上で祝福してくれていたはず」


 栗色の髪に、愛らしい黒の瞳。

 幼い純朴な顔立ちをして、裏表のない性格。

 そんなアリスの大親友がまさか、ルルドに告げ口をするとは思えなかった。元々ゲームをしていたアタシにとって、彼女は最推しのルルドに次ぐ推し。

 だから、疑いたくなかった。


「でも、会ってみないと始まらない」


 かといって、このまま婚約破棄されるのも違う気がする。

 アタシは覚悟を決めて、エリカの住む家へと直接足を運んだ。


「もし。どなたかいらっしゃいませんか?」


 何回か呼び鈴を鳴らして、大きな声で訊ねる。

 だけど、ちっとも反応がなかった。


「もしかして、留守? あ、でも……」


 不思議に思いつつ、アタシは玄関のドアノブに手をかける。

 すると、あることに気付いた。


「……鍵、かかってないの?」


 無人であるはずのオブライエン宅。

 そうとばかり思っていたのに、いとも容易く扉が開いたのだ。


「……これって、もしかして!?」


 そしてすぐ、嫌な臭いが鼻腔をくすぐる。

 アタシはいてもたってもいられなくなって、安全を確認するより先に建物の中に飛び込んだ。何度訪ねたことのあるエリカの家。その時の記憶を必死に手繰りながら、リビングまで足を運ぶ。昼間だというのにカーテンを閉め切って、真っ暗になった不気味な部屋。

 だんだんと強くなる臭いに眉をひそめながら、アタシは明かりをつけた。すると、



「ひっ……!?」



 広がっていたのは、凄惨な光景。

 事が起こってからまだ間もないのか、床に広がった赤に温もりを感じた。

 倒れているのは三人。エリカの両親に、彼女の幼い妹。各々に致命傷となった箇所は異なっているが、一致しているのはその表情だった。


 驚いたように目を見開いたまま。

 まさか。何故、どうして、と。


 これほどの惨状なのに、争った痕跡は少ない。

 つまり彼らを襲った人物は、親しい人間ということ。だとしたら、



「……まさか!」

「いらっしゃったのですね。……アリス様」

「この声、やっぱり――」



 その可能性に行き当った直後のこと。

 耳に心地よい親友の声が聞こえ、振り返ろうとした。瞬間、



「――あ」



 腹部に、何かが。

 熱い。焼けるように熱い。

 欠片ほどの容赦なく突き立てられた刃物は、抉るようにアタシを引き裂いた。


「アリス様がいけないんですよ? 私から、あの方を奪うから……」

「エリ、カ……?」


 膝から力が抜ける。

 そのまま親友へもたれかかると、そんな言葉をかけられる。そして、



「おやすみなさいませ。……永遠に」





 アタシが最期に耳にしたのは、アタシの良く知る優しい『エリカ・オブライエン』という少女のものに違いなかった。



 


……いや、なんていうかですね。

作者、めっちゃ喉が痛いんですよ(どうでもいい


そんな中でイライラしながら書いたのがこれでして、どうしてこうなった。

頭の中に続きはありますが、いまのところの体力ではこれが限界という感じで(こら


もし気になる方がいたら、気軽に感想でも飛ばしてもらえると幸いです。

<(_ _)>



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