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第83話 畿内同盟と朝倉討伐宣言

 元亀2年(1571)


 次期将軍となった足利義昭による無茶苦茶な要求をガン無視する事に決めてから1年以上。その間、京からは何の知らせも無いままだった。

 

 多羅尾が集めてくれた情報では信長を中心とする上洛軍も勢いで京の都まで攻め上がったはいいが、それまで京で権力を持っていた三好家の残党や三好に味方する勢力を押さえ込むことに苦戦しているようで、どうやら東側諸国の動きにまで力を割くことは出来ない状況らしい。


 協力者の松永久秀が治める大和・忍者衆と同盟を結んだ伊賀・自力で何とか平定した伊勢と京の都のある山城は支配下に置いたが、瀬戸内海沿岸は三好勢の領地で手が出せず、琵琶湖の南の六角氏・北側の若狭武田氏・そして東の浅井氏は相変わらず敵対していて、近畿地方一帯を治めたとすら言えない状況なんだとか。それなのに【天下の副将軍織田信長】とか【天下布武】とかって喧伝しているんだそうだ。

 

 コレって現代で言ったら過剰に盛りまくったセルフアピみたいなものよね、A〇ason同ジャンル商品1位(どこで統計取ってるかわからん)とか人気ランキング1位(そもそもランキング見た事ないぞ)みたいな。それでも京から離れた所では「尾張の織田信長ってのが足利義昭を次期将軍に押し上げて天下人になったんだな」って思わせるには効果抜群だから戦略的には大成功だわ。


 俺はそんな内情を知っていて他の東国大名たちにも情報シェアしていたから大して【西()()()足利幕府】の事は脅威には感じていなかったのだが、状況が大きく変わったのはその年の9月の事だった。なんと、完全に敵対していて相容れる事は無いと思っていた三好勢や本願寺と同盟を結んだというのだ。

 

 これによって畿内の憂いが無くなった義昭幕府軍はついに東国征伐に乗り出す事を発表する。手始めにと侵攻先に挙げられたのは越前朝倉家。理由は『天下を乱した義輝()将軍の生存を隠して匿い、義昭将軍の上洛要請を拒んだ幕府に対する反逆の罪』だそうだ。


 いやこっちからしたら『天下を乱す前代未聞の凶行』を起こしたのは三好だし、反逆罪で吊し上げに遭うとしたら間違いなく朝倉では無いハズなんだが?しかもそれを大義名分に今まで『三好家を京から追放する』って言って戦ってましたよねあなた達??


 と突っ込みどころ満載の理屈なのだが、三好と同盟を組む以上は義輝の方を悪い事にしなければ道理が通らない。相手は公家も押さえていて京都では権力を握っているのでシロも黒と言えば黒になる、というワケだ。


 

 そして義輝から俺の住む東駿河へ早馬がもたらされたのは2か月後の11月の事だった。織田・徳川の連合を中心とする4万の軍勢がついに朝倉家征伐に向けて京の都を出立したという。対する朝倉軍も4万の兵を集めて対抗しているらしいのだが、情勢がどうにも良くないらしい。


「確かにそろそろ北の地と越州(北陸日本海側)は雪に閉ざされ、出兵が厳しい時期となりますな」


 京の都がある近畿地方から青森までの本州半分の地図を見ながら軍監が呟く。


「問題はそれだけでは無いのです。義昭めが『逆臣・義輝を排して東は古河公方を復活させて統治させるべき』と号令をかけ、それに応じた反北条を未だに唱える者たちが下野(現在の栃木県)に結集し、我が北条家はその対応に追われています。さらに」


 そう説明してくれるのは北条兄弟の一人で当主で兄の氏政よりしっかりしてる北条家の屋台骨ともいえる氏照。そんな火種を抱えた大変な時期に義輝様の伝令の使者役までこなすとか、本当に頭が下がる。


「義昭方が本願寺と組んだことで加賀一向宗と三河一向宗の勢いが再燃しているようなのです。それにより朝倉勢は挟み撃ちに遭う形になり、遠江は三河一向宗が雪崩れ込んでくるのに警戒せねばなりませぬ」


「ふむ、そうなると兵を動かせるのは当家(ウチ)と武田家が頼み、となるわけか」

「はい。義輝将軍様を一番近くでお支えする北条家としては他家頼みというのは本当に不甲斐ないですが」


 そう言って氏照が頭を下げようとするのを手で制する。自分の領地に火種を抱えていればそちらを優先して動くのは仕方のない事だ。ウチだっていつ同じような事になるかは分からない。動ける者がその都度協力して平和を守っていくしかないだろう。むしろそのための大同盟だ。


「軍監、ちなみに駿河には何か火種になりそうな動きなどは無いか?」

「あるとすれば殿がまた出陣なさることで光殿の苛々が募ることぐらいですな」


 うん、やっぱりウチがここは出るべきだろう。


「では今回、軍監は留守居役を。半兵衛・多羅尾・マグロ・カニと騎馬隊で武田と合流しに向かう」

「なっ!? 光殿のお相手なら多羅尾殿の役割では」

「お前も少しは鍛えてもらって槍と馬を扱えるようになった方が良い」


 今回は急ぎというのもあり、移動の遅くなる石火矢隊や鉄砲隊、騎馬でない者は置いていく事にした。季節はもう11月の半ば。早いところでは雪が降り始め、国境が閉ざされる頃だった。

 

カクヨムの近況ノートにてですが

この話の開始時点(1571年)での畿内の

勢力図を拙いですがまとめてみました。

もしよろしければご参考に。

https://kakuyomu.jp/users/kawanakajimakei/news/16818093075042378850

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