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第44話 待ってカミングアウト多すぎてついていけないんだが

前回までのあら寿司

 春日山城にて元将軍・足利義輝との謁見をした寿四郎たち。話し合いと寿四の振る舞いの後、信玄から呼び出されたのだった。

 春日山城の天守閣を出て少し下った所へと歩く。

 この春日山城は山ひとつ丸ごとが城というダイナミックな造りなので、二の丸・三の丸まで移動ごとに高低差のある山の斜面を登ったり下ったりしないといけない。そういうケースは無いに越したことは無いが、もし攻めるとしたらちょっとしんどそうだ。


 本丸と二の丸の中間あたりの脇道に入ると、毘沙門堂の脇に小さな民家のような建物が見える。信玄はその入り口で周囲の様子に警戒して誰も居ない事を確認、素早く手招きをする。そんなに人に見つかると困る場所なのだろうか?


「ワシじゃ、入るぞ!! 」


 信玄が勝手知ったると言った感じで土間を上がった戸を開けるとそこには……



「う、うさぎっ!? 」


 そう、そこには沢山のウサギが放し飼いにされていた。現代ではうさぎはペットとしてメジャーではないもののそこまで珍しい生き物ではないが、この時代では山で獲れる貴重な食料として『食べ物』と認識されている。それをペットとして愛玩しているのは……


「これ!うさ八郎! そちらに行ってはならぬ!! 」

「良い良い、元より野を自由に駆け回っておった者じゃ。必要なら戻ってこよう」

「しかし、上様……」


 戸が開いたのを知ってこちらに突進し、土間の方へ出た一匹を叱りつける女性とそれをなだめる女性。なだめる声の方には聞き覚えがある。先程まで男らしく凛々しい声を作っていた輝虎だ。すーすーと寝息を立てて眠る子供を膝枕してその頭を撫でながら、優し気な笑みを浮かべている。



 うん?子供???



「驚いたであろう?私ほどの猛将がうさぎのような生き物を飼っているとは。

 うさぎは自由に野を駆け回り、肉食の獣からは逃げて生き延びねばならぬものの、争いとは無縁に穏やかに生涯を終える。越後守護代という鳥籠の中のような家に生まれてよりこの方、そのような生き方に憧れてずっと隠れて飼っておったのじゃ」


 確かにこの人の兜にはうさぎの耳みたいなの付いてたっけな。いや、そんな事よりその子供……


「あぁ、童の方か。

 ワシに似て可愛いであろう?ワシとお景に昨年生まれた男児じゃ。名を景信と名付けた」


 信玄がニマァっと笑いながらとんでもない事を言う。

 いや、アンタに似てたらプチ鬼瓦だろうが!!


 ってそこじゃなくて!! 輝虎が女性であることの段階で既にシークレットなのに、付き合ってる話に続いて息子まで作っちゃったとか……頭がクラクラしてくる。カミングアウトの情報量多すぎて付いていけてないわ。

 さっきですら息子問題で揉めてたのにこんなんどうすんの!?


「この子には大きくなったらこの越後を継いで貰おうと思っている。

 だがそれを公表できる時まではどんな事が起こるか分からぬゆえ、一部の信頼のおける者にしかこの子の存在も、私が女である事も信玄殿とのことも話しておらぬ。もしもの時にはそなたに後見を頼みたいのじゃ。頼んだぞ、寿四郎よ」


 えええっ! そんな重要な役割を俺で良いんですか!?


「何を言うか!? 貴様の存在が無ければ、ワシが心を改める事も無ければお景と和解出来る事も無かった。言うなれば仲人のようなモンじゃ!

 そうじゃった! 貴様のトコに嫁いだ北条殿の娘との間に昨年生まれた姫が居ったじゃろ?その姫をこの子の許嫁として婚姻を結ばせれば武田・上杉・北条・浜の血が繋がる事になろう。貴様も義父として後見を受ける正当な理由となる。完璧ではないか! 」


 信玄が自分で言いながらいかにも名案だという風に頷き、豪快に笑う。その大声に起きてぐずりだした子供を輝虎が抱っこしてあやすと「まぁま、まぁま」と甘えた声を出し、俺が視界に入ると指をさして「にぃに、にぃに」とニコニコして笑顔になる。

 あれ?にーに、ってお兄ちゃんって意味じゃなかったか?分かって使ってんのかなこの子は??


「この子もどうやら貴様の事を気に入ったようじゃろ?のう景信よ」


 信玄がまたニマァっと笑うとせっかく泣き止んで機嫌が直っていたのに「おにー!! おにー!! 」と叫んで泣き出した。信玄さん、アナタ笑わない方が良いかと思うのですよ……



「それとな、貴様を呼び出したのは報告だけでなくもう一つ頼みたき事があるのじゃ」


 息子が泣き止んで再び寝入り、侍女に任せられるのを待って信玄が地図を広げる。それは現在で言うところの中部地方、尾張・美濃・飛騨・越前・加賀・能登・越中と信濃・越後の西半分辺りまでのエリアと城が書かれた地図だ。所々に白と黒の碁石が置かれて木の豆札に名前が書かれている。

 この前やった戦国ボードゲームみたいなやつかな?もしかして流行ってんのかソレ?でも俺はもうコリゴリだぞ。何度もボードゲームではない戦を行ってとんでもない戦績を上げてきたこの二人に対して勝てる気が微塵もしない……と思ったがどうやらソレじゃなかったみたいだ。


「先程の話し合いで北条殿は関東平定、朝倉殿は加賀一向一揆と戦う事を明言しておられたが、我らも我らなりに動こうと思う。私は越中を制して能登、信玄殿は美濃を制して飛騨じゃ」

ご観覧ありがとうございます。

是非とも面白い作品に仕上げていきたいと

思っておりますので感想戴けると嬉しいです♪

また評価・ブックマークも戴けるとハゲ……

励みになります!よろしくお願いします。

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