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第114話 和風の城なのに赤絨毯にシャンデリアてw

 毛利輝元(もうりてるもと)を名乗る年齢不詳の小男に促されながら赤絨毯の上を歩く。広島城は外側から見る限りだと瓦に漆喰で立派な天守閣を持つ、いかにも戦国時代といった感じの城だが、その中は完全に西洋風な内装で固められていた。


 赤絨毯を敷き詰めた廊下に部屋と部屋の間にはゴシック調っぽいカーテン、ところどころに燭台が置いてあり天井にはシャンデリア。


 現代に居た頃、日曜の夜とかたまに見ていた大河ドラマだと織田信長の安土城や豊臣秀吉の大阪城にはこんな感じのセットもあったような気がするが、どちらにしてもこの時代ではまだ完成していないものだ。これってちょっと凄いかもしれない。


 

「ホントならこの城もアルカッソバ宮殿のようにしたかったんじゃがな。流石に外からは日ノ本式にしてくれと元春叔父上が五月蠅くての」


 当たり前だ。その宮殿はよく分からんが、さすがに日本の風景の中に西洋ファンタジーみたいな城が立ってたらおかしすぎんだろ。いや、この内装も相当おかしな事になってるけど。



「さて、こちらが今宵の晩餐会用の支度部屋じゃ。この中から衣装を選ぶがよろしかろう」


 そう言って通されたのは何着ものドレスやタキシードが吊るされた衣裳部屋のような所。どれもこれも絹のような光沢のある素材に金色や銀色の糸で複雑な刺繍があしらわれていて、男の俺でもドキドキするぐらいの豪華さだ。


「うわぁ、どれも選んでいいの? 夢みたい!」

 

 振り返ると目をキラキラさせた光が早速、ドレスをあれこれと物色していた。合わせて俺も何となく一番手前に吊るしてあるタキシードを手に取ると


「あーもうそんな地味なのダメッ! 寿四郎は東国を代表して来ているのよ! ちゃんと威厳と気品を感じさせる優雅なヤツにしないと、私の選ぶドレスとも釣り合わないじゃない!」


 コイツ、どんな凄いドレスを選ぼうと思ってるんだろうか? 小林〇子が年末に着るような、空とか飛べちゃいそうなやつ?



「この青のも良いわね。ぁ~でもこっちの黄色も捨てがたい! こっちの紫は気品を感じるから御方様ね。この真っ赤なヤツもなぁ~若芽姉さまが一緒に来てたら絶対似合いそうなのに」


 光はあれこれとドレスを見ながら完全に自分の世界に入り込んでいる。俺はすることも無いのでボケーッとしていると光から何着かのタキシードをあてがわれてコレを着てと指示され、使用人風の男性二人から別室に案内されて洋服を無理やり着せられる。


 元・現代人なのでズボンやシャツは着るのに手間取ったりしないが、その上に着させられたコートみたいなヤツがなんか色々と装飾がゴテゴテ付いていて動きにくい。しまいに首周りに鳥の羽みたいなのが沢山付いたフワフワしたの付けられるし。


 ちなみに輝元がしていた馬鹿デカいひだ襟も勧められたが丁寧にお断りした。どう考えてもあれはジョークだろ?



「ねえ見て! どう、寿四郎? 似合ってる……かなぁ?」


 先に着付けを終え、先程の衣裳部屋で少し待っているとドレスに着替えてきた光が目の前に現れ、その姿に心臓を撃ち抜かれたようになった。


 鮮やかな青が映える生地に金銀の刺繡が施され、ディズニープリンセスが着てそうな形のドレスに胸元には大きな銀のネックレスを付け、結い上げた髪のてっぺんに同じく銀のティアラを載せて現れた光は、普段の着物姿が霞んで見えるほど神々しい輝きを放っている。


 まるでどっかの国のお姫様だ……ってそもそも実際、関東北条家のお姫様だったけどさ。


「ふふふ、その顔! にやけ過ぎよ。でも、寿四郎がそんなに喜んでくれて良かった♪」


 いつもの感じで怒られて初めて、自分の頬がだらしなく緩んでいる事に気付く。あーこれ、最近弟にも注意されたんだっけか。人前では気を付けないとだな。


「寿四郎の服もすごく似合ってるわよ。まさに『馬子にも衣裳』って感じよね」

 

 いや、それはアナタの斜め後ろで執事風の燕尾服にシルクハットなんて被ってドヤ顔をキメている軍監に言ってくれ。少なくとも俺、アイツよりは『馬子』って感じじゃないと思うぞ。



 そして支度が整った俺達はしばし待たされた後、天守閣の最上階へと案内される。やはりそこも元々の建築は多分、畳貼りの大広間なハズなのだが床には赤を基調にした高そうなカーペットが敷き詰められ、白いテーブルクロスのかかったやたらと縦に長いテーブルが鎮座していた。


「うむ、万事整ったな。グェェーッストはこちらへ参られよ」


 そう言って自分の右サイドを示した輝元は当然のごとく、正面のいわゆる『お誕生日席』に鎮座している。なんかお前さっきよりヒダ襟がデカくなってねえか?もはや顔以外の服装が見えないデカさで孔雀並みだ。そんなんで飯が食えるのかよ?


 

 促されるまま俺・光・軍監・カンパチと輝元の右サイドに並んで座る。向かいには元春とその正室の新庄局、そして先程、花火の打ち上げの時に見かけた銀縁眼鏡とその奥方らしき女性。そしてその奥にも男女男男女男女の組み合わせでずらっと人が並ぶ。


「兄上はもう知っておりましょうから、私から自己紹介を。私めが『毛利両川』小早川家当主にして毛利元就が三男、小早川隆景(こばやかわたかかげ)にございます。どうぞお見知りおきを」


 どうやら執事だと思っていた銀縁眼鏡が毛利を支えるもう一人の重鎮・小早川隆景らしい。切れ長の目に几帳面そうな雰囲気が、もうすでにやりづらそうな感じを醸し出している。


「ふぉれ……いやしぇっしゃは四男で穂井田領の領主、穂井田元清(ほいだもときよ)……にごじゃいます」

「拙者は毛利元就が五男の……」


 続いて次々と列席者が挨拶していくのと淡々と聞いていたが、此処に並んでいるのは全て毛利元就の息子とその正室だという。3矢の教えなんて言うからてっきり、息子は3人だったのかと思いきや結構な大家族だ。


 ただその中で長男であり本来、当主の座に座っているハズの毛利隆元は早くに亡くなっているため、ここに座っている中で最年長は吉川元春・次いで小早川隆景という事になる。何かの話をする時にこの2人がキーパーソンなのは間違いなさそうだな。


 

「よし、それでは晩餐会を始める」 

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