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第106話 剣振れねぇ、馬乗れねぇ、しまいに戦術立てられねぇ♪オラこんな部下嫌だ

タイトルは吉幾三の名曲より抜粋(爆

 越後春日山(かすがやま)城下・直江津なおえつの湊から船で出発し、敦賀つるがを経由して更に西の出雲・伯耆の湊である米子よなごまで約2週間。


 海津城から準備のために戻って今回、中国・毛利領訪問に帯同するのは警護役のカンパチに軍監、それから正室のみつだ。軍監は船酔いするのでと帯同を最後まで拒否しようとしたが、今回の旅の中で『話しておかなければならない事』があるので無理やり引っ張って連れてきた。


 逆に俺も含めて家臣一同で止めたのにどうしてもと付いてきたのは光。大きな船に乗って、しかも行った事のない西まで行く機会なんてなかなか、どころか下手したら一生無い事だから絶対来たかったのだそうな。まあ考えてみたら現代で言うところの『新婚旅行』ってヤツも連れて行った事が無かったのだし、これも良い機会……なのかな。


 

 そんなワケで無理やり付いてきた光は、はしゃぎまくって輪島や加賀などの寄港地に着くたびに「ねぇ! 寿四郎アレ何?降りて近くで見たいから案内してよ!」「すごいすごーい! こんなんあるんだ! 他にもここに珍しいものとか有るの?案内しなさいよ寿四郎!」という感じだったのだが、1週間が過ぎて越前・敦賀を出てからは飽きてきたらしく、部屋でゴロゴロしてる時間が多くなった。

 

 そんな俺達二人の近くで静か~に付いてきていた護衛のカンパチは先日、船に酔わないために頑張って静かに大人しく過ごしているだけだという事を知ったので「ちょっと横にでもなると良い、危険とか無さそうだし」といって商人たちが休んでいるフロアで休憩してもらった。


 今、俺にとって用があるのは、寄港地でもグッタリしていて船が動き出すと甲板でゲェゲェ吐いてる、この男だけだ。


 

「なあ軍監、ちょっとお前に聞きたい事があるんだ」


 周りに聞き耳を立ててる者が居ないのを何度も確認して、軍監に話しかける。振りむいた様子があまりにもゲッソリしてゾンビみたいな表情だったので、こんな状況の奴に尋問なんてしても大丈夫なのか? と少しだけ心が痛んだが、ここで聞かずに終わるわけにはいかない。俺は心を鬼にして聞いてみた。


「お前、現代からの転生者なんだろ?」


 一瞬、何故それを知っている!? とでも言いたそうなギクッとした表情を見て確信する。もし全くハズレだったら『ゲンダイ』とか『テンセイシャ』って単語に何を言われてるか分からない、って顔をする筈だからな。今の顔は『その2つの意味を完全に理解した上での反応』で間違いない。


「殿、何を仰られているかまったく……」

「お前がスマホ見てるのを見たって奴が居るんだよ! あるんだろ?出せよ!!」

「ちょっとそんな引っ張らないでくだされ!」


 なんか絡み方がカツアゲする高校生みたいで忍びないなーと思ったが、このチャンスに乗じてスマホを取り上げればそれが何よりの動かぬ証拠になる。それに、もし実際この時代でもスマホが使えるんだとしたら、調べたり確かめたい事が山ほどあるからな。


「放してくださいよ! そんなにあちこち探ってもスマホなんて出てきませんから」

「今お前『スマホ』って言葉の意味に疑問も抱かなかったろ?それが何よりの証拠じゃねえか!」

「うわぁそんな引っかけ使うなんて……あああっ!!」


 大の男二人で掴み合いのボディチェックをしていると、不意に軍監の懐から飛び出して宙を舞ったのは黒くて長方形の、まさしく探していた見覚えのある物体。それは奇麗な放物線を描き……



 水没音(ボチャン)


 と音を立てて海中深くへと沈んでいく。



「あああっなんて事を!! 」

「うん、なんか……すまん」

「いえ、まあ……数年前からは画面点かなかったんで」


 そう言ってポツポツと軍監は自分がこの時代へ来た経緯などを話し始めた。だが、それを聞いて驚くのは今度は俺の番だった。


「ええっ!? 俺が戦国の世を終わらせた人物? じゃ、じゃあ織田信長はどうなってんの?」

「信長に関しては義元様を討った桶狭間の戦いと、上洛した事で一時的に勢力を急激に伸ばしたとは歴史の本に書いてありましたが、その後部下に対するパワハラが仇となって殺されたと」


 俺の知っている歴史(と言っても中学で習ったきりだけど)では織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の3人の出現で戦国の世が終わり、その後、徳川家康が江戸幕府を開いていたハズだが、軍監の居た世界ではどうやらその役割が俺に置き換わっているらしい。


 スマホもあるし文明レベルから言っても多分、同じ年代の『現代』からタイムスリップしてきていると思うのだが【俺の元居た現代】と【軍監の元居た現代】ではなんていうか、違う歴史が伝わっているようだ。



「じゃあ、今までお前が発見したり発明した! みたいにドヤってたのってスマホで調べた知識で実現可能なモノを引っ張って来てただけって事かよ」

「ま、まぁ。そういう事になりますな」

「そしたら、そのスマホが無くなってこの時代で、お前に出来る事ってなんだ?」

「うぅ……それを聞かれますと」


 力なくうなだれる軍監(おっさん)。そりゃそうだ、剣振れねぇ、馬乗れねぇ、しまいに戦術立てられねぇじゃ何をどう取ったってお荷物以外の何者でもない。いやむしろ俺も【現代からの転生者】だって明かしてしまった以上、それをバラされる可能性を考えたら弱みでしかない。



「そうだなぁ、そしたらちょっと海に潜ってスマホ取ってくるか?」

「殿! 今しれっと『お前ちょっと死んでくるか』みたいなこと言ってません?」

「そんなつもりで言ってないぞ。ただスマホが無いと不便かなあって」

「いや絶対『秘密を知られたからには生かしておけぬ』的な顔してましたって!」


 そしてまた揉み合いになる俺と軍監(おっさんふたり)。何でこんな時だけ勘が鋭いんだよ!? お前のような勘の良いおっさんは嫌いだよッ!!


「ねえ、二人で何やってるの?なんか新しい体術の訓練?」

 

 不意に声がした方を振り返ると、そこには寝ぼけた感じの光が居たので咄嗟に身体を離して平静を装う。流石に『転生者』だとか『スマホ』の事を知られるわけにはいかないからな。


しかしそんな小芝居虚しく、表情を変えてキッと睨みつけ、光は俺達にこう詰問した。


 

「ところで……あなた達がさっきから言ってた須磨って、何処の女の事よ!?」

悲報:ストックが完全に尽きました(泣)

暑さで脳も程よく溶けてるので

ちょっと更新が滞るかもしれません。

てか毎日異常に熱すぎますね。

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