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FAKE THE MYTHOLOGY











世界が混沌に満ちていた頃。

人と魔と神が入り混じる争う時代。








ある時、ほぼ同時に人でありながらも人の理を超越した五人の子供たちが生まれた。神の寵愛を受けたその子供たちは争いに終止符をうち、世界は平定の時代を迎えた。




人々は彼らを畏怖と畏敬の念を込め「超越者」と呼んだ。




人を超え神に近しい彼らは永い時を生きることが出来た。

戦いの後、ある者は神の代行者として人々の信仰を募り、ある者は唯一無二の王として一夜にして国を作り、またある者は己の欲を満たすため酒池肉林を築き上げた。未知を求めたある者は世界を放浪とし、信心深いある者は慈愛と敬心をもって神の教えを説き続けた。


やがて彼らの名は一勢力となり、ついには大陸を五分する国の名となった。

誰もが超越者たる彼らを崇めまさに神にするように頭を垂れた。それは人類史において恒久の平和に等しい時代だった。


だが、人々は知らない。超越者は五人生まれた。しかし、それは意図して流布された情報だった。

存在し得ないものが存在しているとは誰が思うだろうか。


いたのだ。六人目の超越者が。


失われた超越者の名はゼン。

彼は戦いの後、5人の超越者によって地下深く誰も立入ることの出来ない閉ざされた場所に封印されていた。


仄白い立方体のような封印具に体を覆われ、頭から胴体にかけては外に露わになっていた。当然、腕から先、腰から下は完全に立方体の中だった。


ゼンは始めの100年間裏切られたことに対する怒りと恨みに狂っていた。だが次の200年は孤独による哀しみと淋しさに喘いだ。しかしその嘆きも次の300年が経つ頃には気持ちも薄れ、ただ虚無のみが支配する、ある種の無我の境地にいた。そして次の400年もたつ頃には完全に彼は悟りの域に立っていた。


そしてゼンはついに辿り着いてしまった。本来であれば他の超越者と共鳴して初めて至る場所。

神のもとへと至る扉の前へ。


ゼンは永い時間を独りで過ごし自問自答を繰り返した事で最初に辿り着いた超越者となったのだ。

彼は、そこがどんな場所なのか知っていた。

産まれる前、神の寵愛を受け力を授かった場所。

神域、陳腐に言えば天国か。ゼンは呆れとも驚きともつかない短いため息をつくとその扉に手を掛けた。

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