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Ever Never Forever

白衣の天使

作者: 高峰 玲




 閑静な住宅街の入口でバスを降りると、幸運にも花屋があった。瑠璃色のリンドウと名前ばかりがきらびやかな孔雀草を竹製の花器にアレンジしてもらい、一路、舗道を北に向かう。

 ゆるやかなスロープを上りきったところに、上級邸宅とテニス選手権で有名なロンドン郊外の街ウィンブルドンの、もうひとつの名物がある。


 地球連合軍記念総合病院だ。


 ちょうど地球連合附属治安維持軍が地球連合軍と地球連合宇宙軍に分立した頃に落成したので“記念”とつけられたが、当初は第3陸軍病院と呼ばれる予定だったらしい。

 まだ一年ほどしか経っていないので、当然、設備は新しい。医療機器も最新型が導入されている。地球連合大学附属病院にまさるとも劣らぬ、軍関係では最高の医療機関なのだ。

 正面玄関には制式装備の警備兵がふたり、張りついている。心にやましいところのある来訪者はまずこれにビビらなければならないんだろうけれど、清廉潔白なあたしは、(いか)つい兵隊サンなんぞ怖くない。

 仕立ての良いシャネルの夏服を着込み、見舞いの花を抱えた非筋肉質の女に、警備兵も注意を払わない。私服で来て、正解だ。

 総合受付と会計、薬局窓口やらのある一帯は避けて、足早に東翼病棟のエレベーターに乗りこむ。病室案内など、訊くまでもなかった。目指すは5階外科病棟の特別室だ。

 そこにいる人物は入院患者でありながら患者ではない。元ケガ人というのが正しい。

 不運にも()()()()()()爆発に巻きこまれて入院したのだが、一緒にかつぎこまれたあたしがこのようにピンシャンしてるんだから、それはまちがいない。あたしをかばったためにいくらかは重傷だったが、少なくとも一ヵ月前には退院できたのだ。しかし……彼は現在、病室に閉じこめられて、仕事をしている。

「──止まれ!」

 エレベーターホールから東詰めの特別室までは約百メートル。通路に響く靴音に閉口しながらも歩ききると、横柄な声に前進を阻まれた。

 地球連合軍の警備兵ではない。若いくせに終電オヤジ並みにくたびれたスーツ姿の男だ。

 特別室のドアの前のパイプ椅子にがんばっていたらしく、急速接近してきたあたしに反応して立ち上がり、ボタンのかけられていない上着の内……左胸に手を入れて睨みつけている。

 ふん。立ち止まらなきゃ遠慮なく撃つぞ、ってか?

 手をかけている銃はリボルバーかオートマチックか、あたし自身は丸腰だが、考えてみる。

 場数を踏んだエージェント相手では考えるだけ無駄だが、あたしの顔も知らないような新人では拳銃なんてただの飾りにしてやることだって可能だ。だいたい、地球連合情報局のエージェントのくせにその局長の娘を威嚇するなんて、無礼にもほどがある! 勉強不足だっ。

 本来なら情報局内の職員教育なんてあたしの知ったこっちゃないんだけど、これはちょっと、容認できる無礼さではないね。はばかりながらこのエテルナ姐さんが教育的指導、しちゃおうかな。

「ワルキュナー中佐に、お目にかかりたいのですが」

 おとっときのお嬢さまスマイル+正調・第Ⅰ共通言語(クイーンズ・スピーク)を使ってやったら案の定、男は鼻の下をのばしながら銃から手を離した。

 早っ! 甘っ! なんなんだ、こいつはっ。

「あの、失礼ですがあなたは?」

 だあぁ〜っ、口調まで変わっとる〜!

 この、すかぽんたん!

「あたくし? ラバウルと申しますわ」

「えっでは、局長の」

「娘ですの」

 言ってやったとたんに男の顔色が変わった。

 あたしのもくろみとは別の動機で紅潮したのだ。再び懐に手を入れながら叫ぶ。

「おまえは何者だ! 局長のお嬢さんを騙るとは、許せんっ」

「…………」

 あたしはため息をつきながら右手で抱えていた花付き花器を左に移した。


 こいつが、あたしの部下じゃなくて、良かった!


 多分、この病院にはいたるところに情報局の人間が入っている。

 挙動不審な外来者はまず正面の警備兵に排除され、彼らが漏らしたのはコンコースの情報局員が片づける。それでダメならエレベーター、それでもダメならばここの百メートル通路が最終防衛線の役割を果たしたはずなのである。

 三人のエージェントがあたしの通行を許可してるんだ!

「なっっ」

 とっさに銃に手をかけたまでは褒めてやるが、そのあとの行動がなってない。右手でスーツの襟を取って男を壁に押しつける。

 ほら! 遅いんだよ!

 あっけないくらい従順に、男はあたしの右手の動きについてきた。

 なんで素直に従っちゃうんだ、恋人が無理チュウねだってるんじゃないんだよ?

「誰が騙ってるって? ものわかりの悪いコはあたしゃ嫌いだね。一度しか言わないからよくお聞き。あたしの名前はエテルナ・ラバウル、この通路の西端で、棺桶に片足つっこみかけてたおっさんの娘のひとりだ!」

「ユ、ユリアお嬢さんの」

「ああ、ユリアはあたしの妹だよ」

 こンのドすけべ野郎、ユリアはちゃっかりチェック入れくさりおってぇ!

「ああぁっ!」 

「なんだよ?」

「お嬢さまエ、エテルナ・ラバウルさまとおっしゃいますとその、まさか、あの地球連合宇宙軍の」

「そのエテルナ・ラバウルだよ」

 とたんに男は直立不動の姿勢をとって敬礼しようとした。

 地球連合宇宙軍と地球連合情報局は組織としては別系統だが、カテゴリーは地球連合が保有する軍事機関なのだ。

「しっ失礼いたしましたぁっ!」

「まあ」

 ちょうどそのとき、特別室のドアが開いて金髪ショートボブの美人が顔を出した。

「よく似たお声がすると思ったら」

白姫(しらひめ)

 あたしが呼びかけると金髪美女=白姫はにっこり微笑んだ。彼女は情報局の花形スパイ五人衆に名を連ねるほどの優秀なエージェントで、親父の秘書も兼任してるからうちの事情にも明るい。あたしとは会えばあいさつを交わす程度のつきあいだが、気さくな感じのする美人であたしは好きだね。

「ヘシオドスが何か無礼なことでも?」

 こちんこちんになって立ちすくんでいる男に目をやり、白姫が尋ねる。ヘシオドスというのは奴の本名ではない。金髪美人の呼び名と同様、コードネームだ。情報局のエージェントをコードネームで呼ぶのはこの世界では常識なのだ。

「致命的な無礼じゃなかったわ。情報局長どのと切り離して認識してくれる人間なんて、滅多にいないし。通るわよ?」

 あたしのために白姫がドアを開けてくれたので、教育的指導はここまでにしよう。情報局の新人を仕込みに来たわけじゃないんだ。

 それでも、さらに一つだけ言うべきことがあった。

「ああそれから、あたしが私服のときに敬礼なんて、しないでくれる?」

 実際、されたほうが困るのだ。

 今日みたいに時間をかけて洋服を選んで、あれこれとおしゃれした気分での外出のときなんて特に。ただでさえ、あたしは長身で人目をひきやすいってぇのにさぁ、ざごつけない野郎に敬礼なんかされたら軍人だってバレちゃうじゃないか。

 あたしだってたまには民間人ぶりっこしたい!

 言葉こそ忠告レベルだがまなざしは脅迫レベル。青ざめる後輩をよそに、白姫はくすくす笑った。

「なぁに?」

 特別室の控えの間に入ってしまってからもなおも笑い続ける白姫にあたしは尋ねる。好きなタイプの女性にはあくまで優しいと、いつか誰かに指摘されたあたしの癖で。

「いえ、局長ではなくすぐに中佐を見舞われるなんて、お嬢さんらしいと思って」

「だって、べつに親父にゃ用はないもの」

「ま、つれないこと」

 見舞いは口実だってわかっていながら、白姫は口元に手を当てる。

「年季の入った狸オヤジよりも若いいい男みてるほうがいいから白姫もここに入り浸ってるんでしょ」

 抱えていたアレンジ済みの花を手渡しながら軽口すると、真顔で白姫ものってきた。

「いい男は書類の山に埋もれておりますわ。わたくしはその山から採取され、磨いて加工までされたダイヤをお店に届けるだけですの」

 つまり、ベッドの上の親父が目を通すまでもなくサインできる書類をここで()が整えているということだ。

 この部屋中、極秘の最高機密が集まっているといって、過言ではない。情報局長のオフィスがそのまんま病室に移されたようなこの事態を、よく病院が認めたもんだ。情報局長と、実質上のナンバーツーが入院してるだけのことはあるね。

「あたしのために、話をするだけの時間の都合はつくかしら?」

 ダメ(NO)と言われることなどないとわかりきっているからこそ、あたしは筋を通す。越権行為というか、個人的なつながりとして彼らの手を借りるときの、これはお約束なのだ。 

「もちろん」

 あたたかな微笑のために白姫の目が細められる。

 彼女が奥の病室へのドアを目線で示したので、あたしはうなずいてそちらに向かう。

 ノックだけして返事も待たずにドアを開けた。

 天蓋つきベッドはさすがに入ってないが、セミダブルサイズのベッドは木彫で、窓のカーテンはレースとビロードの二枚重ねだし絨毯の毛足は長いし、立派な応接セットまである! これが病室かよ。

 いまや、本来ならば患者が横たわっているはずのベッドはきっちりメイキングされて空っぽで、当の患者はソファーに座って事務処理に励んでいる。上着は着ていないまでも、白のワイシャツにネクタイを締めてる律儀さに思わず笑っちまったぜ。見ればズボンもプレスの線がばっちり出ている。

「お久しぶりですね、お嬢さん」

 ふだんは黒いサングラスで隠している眉目秀麗なかんばせに惜しげもなく微笑を浮かべて彼──アレクシス・ワルキュナーは言った。

「そうね」

 彼の素顔を見るのは久しぶりなので、あたしも素直にうなずく。物心ついた頃から家族同様につきあってるけれど、鼻筋の通った端正な顔立ちには毎回、感嘆しちゃうね。

 ただきついだけのあたしの碧眼と比べると彼の紫水晶色の瞳は優美だ。黒髪が自慢のあたしでさえ時々うらやましくなる金髪はもったいないことに、いつもオールバックという地味な型にセットされている。しかしどこかノーブルな立ち居ふるまいと、あたしに遠慮なく七センチのヒールを履かせてくれる長身は、彼がいい男である所以(ゆえん)の一端を担ってあまりある。

「……オサ島ではありがとう、って言ってなかったわね。アレクがかばってくれなかったらスカイ計画にも参加できなかったわ」

 実はあのあと、アレクと顔を合わせるのはこれが最初だったりする。遅ればせながらの言葉に、彼は苦笑する。

「かばったわけではありませんよ、たまたま、ああなっただけです。それにしても、昨日、火星から戻られたばかりだというのにどうなさったんですか?」

「うん、ちょっとね」

 らしくもなく言葉を濁すのは、いくばくかの()()の悪さと、病室に閉じこめられた状態でもさすがな彼の情報収集能力に感心したのと、これからあたしがやる公私混同ものの行為を同時に思考していたからだ。

 もとはといえば、あいつが悪い!

 遠くの遠くの恒星系のとある惑星で、今頃は美しい巫女さまだか神官長さまだかを口説くのにボキャブラリーをフル稼働させているであろう男を、心中ひそかにあたしはなじった。

 地球に戻ってから、あたしはクラウディアの副官として第3次、第4次第5次あたりのスカイ計画に投入されるパイロットとリオ(バックシーター)を選考している。具体的にいうと、ふたりで地球連合領中の軍事基地なりキャンプなり空母をまわって道場破りよろしく空中戦(当然、宇宙戦もやった)をして適性をみているのだ。あたしの公的なパイロット生命はあと五カ月なので、スケジュールはハードだ。そして昨夜、火星のかったるいGの中で十八本勝負をきめて帰って、自分の家の自分のベッドにもぐりこんだとたんにハイパーウェーヴ通信による映話が入ったのだ。遠くの遠くの恒星系の、とある惑星から。

 アレクは、促さなかった。黙って静かに見つめている。

「あのね」

 肚をくくって切り出した。諾も否も、話をしないことには得られない。

「正式な文書は独立部隊、多分ミラビー中将の名前でくると思うけど情報局長のところに届く前にインターセプトするんでしょ? だからここへ来た、って言えばわかるわね」

横取り、(インターセプト)とはまたひどいおっしゃりようですね」

 慣れた手つきでサングラスをかけながらアレクは言った。口調はあくまでおだやかで、敏感な目元を隠してしまったので表情が読み取れない。

「事実、そうでしょ。次長のサインがないと通らない書類なんて、西暦時代の伝説よ、すでに」

「私を次長などとお呼びになるとジャコービィ大佐がお気を悪くされますよ、お嬢さん」

「ふん、あんな陰険ジジイ! 親父の前じゃペコペコしてるくせに、いまじゃなに? 代理のくせに局長の椅子にふんぞり返って、決裁ずみの書類に㊙スタンプを押してるだけだそうね」

 あたしがガキの頃、家に来たジャコービィに会ったことがある。そのときから彼は()()()()()だった。

「……そんなことが漏れているようでは、世はなべて事も無し、ということですね」

 アレクって怒れば怒るほどクールになる人なのよね、そういえば。

 でも、いったい何に対して怒ってるわけ? あたし、じゃないのはわかってるけど、ジャコービィごとき雑魚(ザコ)に対してでもないよね?

「ま、それはどうでもいいわ。どうやらはっきり言わないと応えてくれるつもりがないようね」

 肯定するように彼はソファーの上で姿勢を正した。

 あたしも腰を浮かせて、()()な掛け方してたのを直す。

「惑星スミーナ、知ってるわよね。情報局の人間が欲しいんですって。できれば五人衆を。正規ルートばかりか、あたしを使ってまで手をまわすなんて、相当急いでるみたい」

 あたしの口から、あえてこのスミーナ行きのメリットを言う必要などない。一般的な観光案内は知れ渡っていても、未公開の領域は地球連合情報局といえども入手していない情報の宝庫なのだ。垂涎(すいぜん)の的、とまではいかなくとも機会があれば潜入してみてもやぶさかではないところだと、みた。

 あたしのやってることは俗に根回しというアレだ。

 いずれ情報局が正式文書によって動くことはまちがいないが、いずれでは遅すぎるとあいつは言うのだ。

「……レイン中佐ですね」

  アレクが訊いたのはそれだけだった。だが、それすらも質問ではなく確認である。

「知ってるの?」

「面識はありませんが」

 情報としては識っている、ということだ。最高機密からゴシップまで、彼らが網羅する情報量ときたら情報局のご本尊(メイン・コンピュータ)だって処理するのに二百台の端末使ってオペレーターを三交替勤務で二十四時間フル入力、だという怖いハナシをあたしは聞いたことがある。

「ラミアの件といい、よほど気が合われたようですね。お嬢さんが見舞いにかこつけてここまでいらっしゃるとは」

「映話で済ませるよりはいいでしょ。久しぶりに顔を合わせるのに画面ごしじゃ面白くないもの」

 アレクは笑ったようだ。ひきしまった口元がかすかに動く。

「では実際にご覧になってどうです、私の顔は? 面白いですか」

「そうね」

 微笑まないように注意しながらあたしは言った。

「面白いなんて形容はするべきじゃないわね。いやンなるくらい、整ってるもの。わかってるくせに訊くあたり、相変わらずでうれしいわ」

「お嬢さんこそ」

 結局、心底は見せないままでいつもどおりのあっさりした口調で彼は言った。

「少し……お痩せになりましたね。よく鍛えられた刀剣のように冴えて、こちらまで見ていて気がひきしまるようですが……」

「ん〜、飛んでる時期(あいだ)はね。どうしたってふだんの倍はトレーニングになっちゃうから。おかげさまでフィットネスに通う必要なくって、助かるわ〜」

「お嬢さんは鍛えてもあまり筋肉質にならないからだのようですわね、うらやましい」

 あたしのためにお茶をくんできた白姫が会話に加わる。

「白姫だってそうでしょ。なぁに、その細っこい腕! それでヒートガン、ダブルでぶっぱなすんだもん、スパイなんて油断できないっ」

「ほほほ♡」

 いと優雅に笑われた。

 あたしはミルクティーのアッサムをすする。これがまた美味(うま)いんだ!

 秘書として潜伏した白姫のミッションは成功率百パーセント、というのもうなずける。情報局に入ってなければ彼女は、どっかの社長夫人におさまってただろうに。

「ワルキュナー中佐?」

 なんとなくお茶会ムードになったところへ、音もたてずに看護師が入ってきた。当然ノックもない。

「検温です」

 アレクは目を通していた極秘書類を閉じ、ネクタイをとった。

「おつかれさまです」

 丁寧に会釈した白姫に看護師は、またこの女ここに入り浸って患者の安静を妨げてやがると言いたげな冷たいまなざしを返す。腕の体温計バッグからアレク用のを抜いて彼に手渡す。腋下二十秒タイプだ。

「昨夜はよく眠れましたか? どこか痛いとか、だるいとかいう感じはありませんか?」

 タブレットで開いた電子カルテに専用ペンでチェックを入れてゆく。

 うーん。

 元来あたしはきびきび、てきぱきした人間って好きなんだけど、なんかこの看護師サン、苦手かも?

 身長は百六十くらいかな、見ていて脅威を覚えるでかさではないのだが、一瞬ぞくぞくっときちまった。何かスポーツやってるらしく、手足の筋肉が発達した形でついている。ソバージュヘアをひっつめた頭から首、肩のラインに、見覚えがあるような……?

 ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ♪

 可愛いコール音が検温の終了を告げ、アレクが返した体温計の数値を彼女は書き入れる。

 そうか! 見覚えがあるのは彼女のしぐさだ。

「ハイ、結構です。もう五分もすれば先生がまわってこられますので、お見舞いの方は席をはずしてくださいね」

 挑むようにあたしと白姫を見る看護師と、彼女を凝視するあたしの目線がかち合った。

「あ、あんたは──」

 看護師の手からタッチペンが落ちる。

「エテルナ・ラバウル!」

 突き通すような琥珀色の瞳が、猛虎のごとき輝きを放った。


 げげり〜ん、こっこの女はっっ!


「でええぇっ、ラ・マンチャの女ぁ〜っっ」

「イネス・デ・レアルよっ!」

 思わず口走ってしまったあだ名に、女はいきりたつ。

 イネス・デ・レアル、イベリア半島のラ・マンチャ地方シウダレアル市出身の彼女を、あたしは知っていた。

 スポーツに関心のある人間ならば、一度はその名を耳にしたことがあるはずだ。彼女は(確か)グランドスラムを二連覇しているテニスプレイヤーで……そうか、イネスは地球連合所属のプロ選手になったんだ。

「よっよくも」

 見覚えあるのは当然だ。あたしは過去三回ばかり、彼女と試合している。ジュニア時代だ。

 奇しくも、このウィンブルドンで!

「よくもいま、わたしの前に顔を出せたわね、勝ち逃げ娘っ。よくもっ、のうのうと!」

「勝ち逃げ? ちょっと待ちなよ、ラ・マンチャ。あたしはべつに、逃げてなんかいないわよ」

「きぃぃ〜っ! ひとを勝手な名前で呼ばないでっ。いきなりひょろんと出てきてわたしから勝利を奪っておきながら、またぱったりと出場しないなんて、勝ち逃げ以外のなにものでもないじゃないの。あんたは忘れたつもりでもわたしは忘れてないんだっ。あの屈辱の三年間!」

 そうだった、実は三戦三勝しちゃったんだわあたしってば。彼女は当時、ジュニアではランキング1位。最初の年なんてあたしはランキングにすら入ってなかった。

 あたしにしてみればテニスは、というかウィンブルドンは、口実だったんだ。

 親父の()()で入学させられたお嬢さま学校は、中等部からは六月になるとサマースクールと称してスコットランドで合宿させられることになっていた。もともとが夏休みだから、土曜日曜、関係なし!

 つまり、一カ月間、うちに帰れない超っっ顰蹙買いの強引かつ横暴な学校行事だった。

 そんなもんのせいで、人見知りするちょっと病弱で甘えんぼうの可愛いかわいい妹に会えなくなるなんて、嫌じゃん? 断固、断然、拒否するでしょ?

 なんとかロンドンに残る手段を探したら、ウィンブルドンでの選手権出場ってのが画策された。あとは……まあ、そういうことだ。

 妹も成長して環境のいい養護学校の寮生活が送れるようになったので、ロンドン在住にこだわる必要がなくなったあたしは高等部へ進学するかわりに士官学校へ入っちゃったから、結局三回しかウィンブルドンに出なかった。

 それを、ラ・マンチャの女は勝ち逃げとのたもうてくれるわけだ。

「そりゃあ、一戦一勝の真価もわからんくせに優勝かっさらっちまったのは悪かったけどさ」

「黙らっしゃい! 地道にこつこつ努力だの汗と涙だの、クサい言葉は聞き飽きたわよ。実力のある者が勝つ、それでいいのよ。わたしが腹立つのはねぇ、ひとがおしゃれもデートもかなぐり捨てて練習してファイナルにこぎつけたのにあんたが出場してなかった、そのことだけよっ!」

 昔はろくに口もきかなかったからよく知らなかったけど、こいつってばなんて単純な性格してんだ? まるで清涼飲料、すっきりさっぱり。

「あたしにだって、都合というものはある」

「わかってるわよ」

 妙に静かにイネスは言った。

「だけどわたしはあんたに勝たなきゃ溜飲が下がらないのよ、あのセンターコートでね」

「センターコート?」

 タッチペンを拾い上げて、彼女は宣戦布告した。

「一日だけ、ラケットに慣れる時間をあげるわ。明日、深夜零時、センターコートにいらっしゃい!」

 キュキュッ!

 ふつうは鳴らないナースシューズの底で摩擦音を奏で、ラ・マンチャの女は去っていった。

「だから、あたしの都合は?」

 訊いたときには相手はいない。

「……看護師さん(理数系)にはめずらしい、熱血な女性ですよね」

「ほんと」

 精神的頭痛を覚えながらも、あたしは立ち上がった。

「あら、もうお帰りですか?」

 残念そうに白姫が見上げる。

「うん。ガット、張り替えないと」

 ここしばらくトレーニングは欠かさなかったから、脚は動くと思う。サーブの勘さえ取り戻せばあとは余計な筋肉痛を起こすだけだから練習はしない。そしたら、やっぱり問題は十年近くいじってないラケットの調整だ。

「アレク」

 サングラスごしの穏やかな視線を感じて目で追うと、窓辺にたたずんでいた長身の青年は微笑した。

「お話はわかりました。スミーナ派遣については直接局長にお伝えしましょう。それでよろしいですか?」

「よろしくてよ、アレクシス・ワルキュナー中佐」

 少年、もとい、少女時代のあたしならば、こんなときは彼に抱きついて謝意を伝えたものだが(喜びのスクラムとか男の友情だと、よく笑われた)いまはちょっと、できないね。代わりに、口元に笑みを作る。

 アレクがうなずく。

 これで、通じる!

「大変だろうけど、あともう少し、親父のお()り頼むわ、ふたりとも」

「もちろんですわ」

 大事なのは職業としての結びつきではなく、精神的なものだ。親父に対する彼らの忠誠心は上官だからというだけではない。

「んじゃ、またね」

「お嬢さん」

 アレクが呼び止めた。

「見舞ってくださって、ありがとうございます」

「……口実よ。根回しについてはないしょじゃないと情報局が困るでしょ?」

「ははは。では、そういうことにしておきましょう」

 こんなふうにアレクが声をたてて笑うのは、とってもめずらしいことだった。





 午後十一時五十二分、あたしはセンターコートのゲートの前にいた。

 博物館や美術館とちがって赤外線警報器は設置されていないし、警備員も守衛室で寝泊まりするだけのちょろい警備だ。塀さえクリアすれば侵入成功である。

 昨日ガットを替えたばかりのラケット──ファイン・メタル社の〈スクリュー〉。軽いのに重い打撃がうてる爽快感がたまらないモデルだ──を背に、足掛かりを探りながら塀をよじ登る。

 足に履いてんのは普通のスニーカーだ。ウェアも着てない。タンクトップの上にTシャツを重ね、ポンチのタイトパンツをはいて()()()とした。いまさら太もも丸出しのアレなんて、着れないって!

 内部構造は鍵がかかっているだろうと思ったので外づたいにスタンドに入り、コートに降りた。星明りと月明かりが役にたった。

「来たわよ、イネス」

 暗がりで呼ばわると同時に照明がついた。さっすがラ・マンチャの女、()()に毎年来ているわけじゃない!

 主審席のわきにネットが置いてあるのを見つけたのですぐに張った。あたしと同様のルートでコートに来たイネスも慣れた手つきで手伝う。

「セルフジャッジでいくからね。目はコンタクトなの? 視力、大丈夫でしょうね」

「検査板のいちばん下までばっちり見えるわよ! 動体視力にゃあ自信がある」

「いいわ。コインを投げるわよ」

 言うが早いか、彼女は右の親指でコインを弾き、落ちてきたところを左手の甲で受けてすばやく押さえた。

「表か裏か?」

「表!」

 コインは裏面が上だった。あたしは無言でコートを選ぶ。

「THE BEST OF THREE-SET MATCH! いくわよっ」

「おっしゃあ!」

 イネス・デ・レアルのサービスフォームはフラメンコのようだと言われている。

 ポイントをつけて高くトスしたボールを一瞬の静止の後、鋭く叩きつける。芝コートではボールはバウンドして凶器と化す。

 苦手なローランギャロスの赤土(クレー)コートさえ制したラ・マンチャの女は、ウィンブルドンの芝ではまさに水を得た魚だ。

 向かってくる球を見ながら刹那的に()()()()()とはこういうものだろうか、などとあたしは考えた。レシーブのために走りながらも球筋を見切る。

「アーウト!」

 判定したときには、すでに彼女はセカンドを打つ準備にかかっている。

 美しいフォームから繰り出されるサーブの威力は、衰えを知らなかった。

「んなろっ」

 このへんかと思うところを力まかせにぶっ叩く。

0−15(ラブ−フィフティーン)

 リターンエースか、悪くはない。イネスがニヤリと笑った。

「ふふふ、思ったとおりね。素敵だわ。腕のおちてるあんたとやりあったって、つまらないもの!」

 キングのニューモデルのウェアから魔法のようにボールを取り出しながら、叫ぶ。うっるせぇわ! 現在のランキング3位のあんたに喜ばれたって、うれしくもなんともないわいっ。

「ぐだぐだ言ってないで、次打ちなっ」

 言ったとたんにラ・マンチャは打ちやがった。スタートが遅れる。しかしノータッチエースにはさせんっっ。

 執念の一撃は場外ホームランになった。

 これで15−15(フィフティーンオール)だ。

 だいたい、あたしはレシーバーは苦手なのだ。オーラのように膨れ上がった気合が重くのしかかって、半分自滅する。おかげで、みろ。第1ゲーム、持ってかれちまっていっ。

 ボールをバウンドさせながら深く息を吸う。

 ネットの向こうでは、虎視眈々と琥珀色の眼がボールを見つめている。

「ふンっ!」

 ぐぁばっとトス上げてブンッと振るった〈スクリュー〉でぶっ飛ばす。

「エテルナ!」

 怒鳴られた。

「わたしを殺す気?」

()りぃ……」

 あたしのファーストサーブはイネスの左耳近くをかすめてスタンドに消え去った。

「あんたって昔っから身長(タッパ)あってヘヴィサーバーだったけど、いまのなに? でかくなったとは思ったけど超ヘヴィよ。試合には出てないくせに体鍛えてるでしょ? あんた、いったい何者?」

「何者って、どういう意味よ?」

「ただものではないプレーヤーである以前にあんた、ただものじゃないわ。ミンチン女学院(お嬢さま学校)にいたくせに、どうしてワルキュナー中佐と知り合いなの? 中佐とどういう関係なのっ?」

 あでぇ? ひょっとするとイネスってばアレクのこと好きなのかな? そういえば白姫のことを彼のそばにいるってだけで敵視してたみたいだし。ま、わかるけど。 

「ちょっとあんた、誤解してない? 名前で気づくでしょ、あたしはラバウル情報局長の娘なの。アレクにしてみれば上官の娘! そういう知り合い!」

「それにしてはいやに親しげじゃない。あのボブの女だってアレク、とは呼ばないじゃない」

「あ、の、ね〜」

 恋心は無垢な乙女を夜叉にも変えるってか? やめてくれよ、まったくっ。

「白姫は大尉だから中佐(上官)をファーストネームでなんか呼ぶわけないでしょうが。それに彼女、故郷にフィアンセがいるよ」

「本当?」

 がううう〜っ。やめろ、ラ・マンチャ! 力が抜ける。

「想ってるだけじゃ気持ちなんて伝わらないよ? どうでもいいけど、ゲームを続ける気がないんだったら、あたしゃ帰るぜ」

「だめっ帰らないで! 続ける、続けようっ。ほら、早くサーブして」

「んじゃ、いくよ〜」

 すっかり毒気が抜かれちまって、あたしのセカンドは基本的なトス・アンド・ヒットになった。危なげなく拾われてしまう。それを返したら手が滑ってラケットがスッポ抜けちまった!

 ネットについたイネスがジャンプする。

 スマッシュ? 否! ドロップショットだあぁっ!

 空中で奴がニッと笑ったのをあたしは見た。

「っざけるなぁっ!」

 ラケットを拾いざまにあたしは跳んだ。

 ほぼ水平に!

 背泳というか、高跳びの要領で仰向けになって。

 すでにネット際、強打しなくてもボールは返る。上向きのガットでボールが撥ねたと感じると同時に再度、地を蹴って宙返りする。

 ぽてっ、ころころころ──。

 イネスのコートでボールはゴルフボールのように転がった。

 かすり傷ひとつ負わずにそれを見届けるあたしを、愕然としたようにイネスは見ていた。

「あ……エテルナ・ラバウル? あんた、あんたいったい、何者なのぉ?」

「あたしは」

 単に宇宙に出ている期間が長いから重力にこだわらず動く術を知っている、それだけのことなんだけど、それを説明しようとしたときに邪魔が入った。

 ぴぴぴぴぴぃぃ──!

 けたたましく鳴るホイッスル。次いで男の声。

「こらあぁーっ、おまえら、そこで何をしとるかーっ」

「やべっ」

 警備員だ。押っ取り刀でやってくるのが大男なのはかまわないが、あたしはともかくイネスは顔を見られるとまずい。下手すると侵入罪とか公共施設の占拠とかでチャンピオンシップへの参加資格を剥奪されちまう!

「あ!」

 そのとき、真昼のごとくにコートを照らしていたライトが一斉に消えた。チャ〜ンス♪

 とっさに目を閉じてあたしはネットとおぼしきあたりを跨ぎ越した。それだけで目は闇に慣れたので、イネスの手をひっつかんで走りだす。

「なにぼさっとしてんだラ・マンチャ! ずらかるぞっ」

「えっ、ちょっ、ちょっと待って。荷物は? ラケットカバーに名前入ってるわ」

「大丈夫! ちゃんと拾ってくるから」

「拾ってくるって、誰が?」

「ライトを消したチームが」

 それを手配したのが誰かなんて、考えるまでもない。

 幸いなことに、地球連合軍記念総合病院はオールイングランド・テニスクラブの真正面にある。イネスが使っている職員通用口からあたしたちは病院にもぐりこんだ。

「どこへ行くの?」

 迷わずエレベーターに乗ったあたしにイネスが訊く。

「アレクのところ」

「やめてよこんな時間に! 非常識だわ」

 赤くなりながら、それこそ時間帯を考慮して()()()叫ぶ。

「平気、彼、まだ起きてるわよ。助けてもらったお礼を言わなきゃ、そっちのほうが非常識だと思うけど?」

 どうせ部下たちは()()()をアレクのとこに持ってくんだ。手間を省いてやったっていいじゃないか。

 ラバーソールがきゅきゅきゅと鳴くので、あたしたちはシューズを脱いで百メートル通路をそっと走った。

 特別室の前であたしを見るなり硬直したバカは放っておいて、静かにドアを開けると前室にはスーツ姿のアレクしかいなかった。

「せっかくの名勝負に水を差すとは、不粋な警備員ですね」

「ワルキュナー中佐……」

 ラ・マンチャの女は目をうるうるさせている。

 わあっ、いまやるのか、それ? よせ、見てるほうが赤面するから! あたしがいないとこでやって!

「ともかく、助かったわアレク。やっぱり使うならトリオCね。あの連携プレーは絶妙よ」

 ぎりりっとイネスが睨んだが、気づかなかったフリをしてあたしはさっさと奥の間に入った。

「あなたが()()()()助けてくださらなかったら、わたしはいまごろ……。感謝いたしますわ、中佐」

「実際にあなたがたの窮地を救ったのは部下ですから、私に感謝なさることはありませんよ、看護師さん」

「そんな!」

 アレクってばクール。ひかえめなのは知ってるけど……とりつく島もない、ってこんな感じか? 女嫌いと聞いたことはないけど?

「私のほうこそ、お礼を言わせてください」

「え?」

 あ”……ラ・マンチャの奴、無謀にもサングラスなしのアレクをじーっと見つめてる。あとで、泣くなよ。

「長いあいだ、お世話になりました。今日の朝、退院します」

「まさかっ!」

 ひとの会話に割り込むような野暮はやりたかないけど、思わず叫ぶとまたイネスが睨んだ。三白眼めぇ。

「アレク?」

 それでも問いかけると彼はうなずいた。

「ええ、スミーナへは私が行くことになりました。何か伝言があればお伝えしますが」

「べつにないけど、気をつけて?」

「はい」

「ちょっと待ちなさい。スミーナって、なに? 危険なところなの? そんなところへ行くの、中佐?」

 アレクは、淡い笑みだけで応える。

「どうして」

 発作的にソファーにどすんと腰を下ろして吐き出すようにイネスは言った。

「どうしてあなたたちって、軍人って、危険だとわかってる中へ飛びこんでくのかしらっ」

「お嬢さん!」

 そこへ白姫が入ってきてあたしにメモをくれた。

 時間と場所を指定しただけのものだが、サインはクラウディア・ヴィクトリア・ミルドレッド准将──これは、非常呼集だっっ。

「こちらでどうぞ」

 指定された時間は約二時間後だったので、白姫はあたしの制服をここまで運んできてくれたのだ。

 スーツケースを手に隣の浴室(洗面台・トイレ付き)に通される。着替えて髪を結い制帽をかぶる。

 あたしが出ていったとき、イネス・デ・レアルは泣いていた。

「あーあ」

 着替えてたあいだに何があったかは知らないが、想像はつく。玉砕だな、これは。

 無言でそのそばに立ちつくしていたアレクがあたしを見た。すっと背筋をのばし、敬礼する。

 え……? あ、そうか。

 実は彼があたしに敬礼するのはこれが初めてである。勤務時間以外であたしは制服を着ないし、先月までは階級が同じだったからというのがその理由だ。

 返礼を終えるころになってやっとイネスは顔を上げる。

「エテルナ、あんた」

 地球連合宇宙軍の制服の色がコバルトブルーなのは秘匿されていない。そして、あたしが胸元につけている階級章は金地に青、大佐のものだ。

「軍人、しかも将校だったのね……!」

 唇が、わなないていた。涙に濡れていた瞳が、意志の強い光に満ちる。

「そう。そうなの……」

 次の瞬間、彼女は笑いだした。

「やってらんないわっ!」

 言い切って立ち上がる。

「スミーナだろうとスザーサだろうとどこへでもお行きなさい! そして怪我でも病気でもじゃんじゃんしやがれってのよ」

「イネス?」

 やだよ〜イネスったら。どうしてあたしに向かって言うわけ? そういうことをっ。

 あたしの前まで来て立ち止まり、あたしを見上げてちょっと笑った。

「わたしが看護してあげるから」

「あんたが?」

「あら、不満だっての?」

「……本心を言っていいの?」

「いいわ」

 静かに様子を見守っているアレクと目が合った。

 彼はうなずいたようだ。それにうなずき返し、イネスの肩にそっと手を乗せてあたしは応える。

「それってとっても、心強い!」

「結構。それじゃ早速お仕事したら、大佐どの。お急ぎなんでしょ?」

「ええ」

 あたしは五センチヒールの(きびす)を返す。

「エテルナ!」

 振り返ると彼女は言った。

「またいつか、わたしと勝負してくれる?」

「もちろん! 今度は邪魔が入らないようにしてよ!」

「ありがとう」

 素直な謝意にあたしは敬礼を返す。


 イネス・デ・レアルがその年のウィンブルドンを制覇したのは、それから二週間後のことだった。






『白衣の天使』

  はくいのてんし

     ── 了 ──


















時系列に沿って出してまいりましたエテルナものですが、実は前作『INTERVAL MISSION』と『白衣の天使』のあいだに、1作あります。次回から連載になる予定です。多分、今回の謎ワードになっていると思われるスカイ計画やクラウディアさんについて、そちらを読んでいただくとわかると思います。


ざごつけない、またまた使ってしまった富山弁。「不格好な、がさつな、大柄でみっともない」という意味らしいですが私は「かわいくない」的ニュアンスで使っています。


今回もお読みくださり、ありがとうございました。





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