第二章 管理者編 第二話 浮遊城
木々に挟まれた道を進む。
左右の木々が途切れた瞬間、目の前に現れたのは白い壁の大きな城である。屋根は濃い青色だ。
壁は遠目からでも継ぎ目が見える石造りで、互い違いに隙間なく並べられている。
見上げると、大きな広い屋根とは別に尖った屋根が何箇所か出ていた。
【浮遊-フライ-】
そう呟くと少しずつ身体が地面から浮き上がり、城の壁を超えた。
ゆうに10メートルはありそうな壁を超えたのだ。
魔法を使えたドキドキ。空を飛ぶというワクワク。前世ではありえない事に、恐怖より好奇心が勝っていた。
壁の上から改めて見る、城の大きさに目を見張った。
城自体も大きいが、門も大きい。
門を鑑定すると、オリハルコンという硬い鉱石で出来ている事がわかったが、問題はこの門が両開きだということだ。
(こんなデカい門をどうやって開けと?)
門自体には何も模様はなく、縁が黄金で出来ている事以外を除けば、ただのオリハルコン製の巨大な門だ。
城の唯一の出入口であろう、オリハルコン製の門を見上げ数秒考えた後、手を触れようとした瞬間、門は左右同時にゆっくりと城の内側に向けて開き始めた。
徐々に開いていく門を眺めること無く、城の中に足を踏み入れると壁や天井、柱に取り付けられた魔石入のランプが門の近くから順番に灯っていく。
明るくなっていく城内に僕は言葉を失った。
天井は見上げるほど高い。
柱は太く大きい。
床は天井が反射しそうなくらい、磨き上げられた綺麗な石で出来ており、門から奥に向かって赤い絨毯が敷かれていた。
奥にある左右に伸びる階段にも、赤い絨毯が敷かれている。
「オハヨウゴザイマス。マスター。」
背後から機械的な挨拶がありビクリとしつつ、挨拶をした何かの方を向いた。
そこに居たのは、執事服を着た人型の『機械人形-オートマタ-』だった。
1体ならまだ、わかる。
しかし、そこに並んでいたのは1体の執事型オートマタと30体のメイド型オートマタだったのだ。
僕が門から入った後、音もなく背後に並ぶ31体のオートマタ。
(恐怖だろ、これ。ホラーだよ。)
「君達が開けてくれたのか」
と、聞くと…
「ハイ、ワタシガモンヲアケマシタ。『執事型オートマタ、ゼダン』デス。」
「ワタクシハ、『メイド長ノ、メイド型オートマタ、マリナ』デス。」
執事型オートマタのゼダンとメイド型オートマタのマリナと共に、最上階のコントロールルームに移動した。
コントロールルームの正面の壁には、大きな画面が縦4つ、横5つの計20個の画面が並んでいた。
画面の下にそれぞれ、地名や国名が映っている事から、世界各地を見れる様になっている事がわかる。
コントロールルームを後にし、ゼダンにマスタールームへ案内してもらい、ベットに倒れる様にして寝転んだ。
そして、意識を手放した。
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