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晴天傘  作者: 野藤想
1/3

始まりは傘

曇心


2019年4月24日 20時56分


大雨の街の中をずぶ濡れになりながら、駆ける黒いコートをきた男がいた

周りをキョロキョロ見渡しながら走る男は誰かを探しているのか、誰かから逃げているのかわからないが、必死に走っていた

「クッソ!あの野郎どこいきやがった」


男は路地裏に入っていた

だがそこには全身白ずくめで、麦わら帽子を被っている身長2メートル近くあるほっそりとした人間のようなものがおり、黒いコートの男に話かけた

「No.94、例のアレは見つかりましたか?」


黒いコートの男は答えた

「あ、いえ、まだです」


白ずくめのものが静かに話す。奥底には計り知れぬ怒りがあるように。

「それは困りましたねNo.94。アレはあなたに管理責任があります。そしてあなたはそれを怠った。

残念ですが、処分です。」


そういうとさしていた傘を閉じ、黒いコートの男に突き刺した

、、、シュン

静かに黒いコートの男の存在は消えた

「さて、一体どこにいったんだあの女は」

そういうと白いものは再び動き出した


「はぁはぁはぁ、はぁ疲れたぁ。もう、ほんと、しつこい男だったわね。」

雨のなかを走っていたのであろうその少女は疲れ切っていた

「あぁ腹減った〜。あ、ここのコンビニ中で食べていけるタイプじゃん!ラッキ〜少し食べていこうっと」


傘を閉じ、傘入れに傘をいれ、コンビニに入っていた


2019年4月24日 21時34分 藤川公ふじかわこう

ザーー ーザー

「はぁ最悪だ」


不意にでた言葉だった

なんせ外は大雨だ

今日は仕事が早く終わったから見たかった映画を見る為に映画館に寄った

この見た映画が最高で、惑星を擬人化し、どの惑星が1番面白いのか競い合うというなかなかのインパクトで、ギャグは面白いし、最後の展開には涙が止まらず、この春必見のいい映画だった

いい映画をみていい気分のまま帰ろうと思った矢先の大雨…映画館に入るまでは雨なんて一滴も降ってなかった

映画の上映中に降ってきたのだろう

そんなことよりどう濡れずに帰るかだ

映画館から近くの駅まで少なくとも10分かかる

その間に浴びる雨でスーツはダメになるだろう

もう1着のスーツはベランダに干してある

この雨じゃ今頃びしょびしょで使い物にならないだろう

明日も仕事があるので、今着てるスーツを濡らさないようにしなきゃならない

ここ最近はずっと晴れていて、今朝も晴天晴れだったのに…

まさか雨が降るなんて思ってもいなかったから傘を持ってきていなかった

映画館で雨宿りをしている訳にもいかないので、直ぐ近くのコンビニに駆け寄った


映画館のすぐ隣の場所にあったのであまり濡れずに済んだ

ここで傘でも買って帰ろうと思っていたのだが…

傘が1本も売っておらず、売り切れていた


あぁどうしようかと思った時、そとの傘いれを見ると何本か刺さっていた

(なんだ、あるじゃん)

わかっていた今自分が何をしようとしているのか、悪いことなんて事ぐらいわかっていたが、1度動きだした体は止まる事なく、気づけば知らない人の傘を手にしていた


これで帰れる、そう思い傘を開いた

すると突然

眩しい光が視界に刺さってきた

あまりの眩しさに思わず目を閉じた

目を閉じているはずなのにあまりの光の強さで視界が真っ暗にならず、明るいとも暗いともいえない不思議な視界が広がっているのだが、、、


少し奇妙なことが起きている


ミーンミンミンミンミーン


俺は耳を疑った、蝉が鳴いている、さらにありえない声が聞こえてきた

「藤川くん!ねぇ藤川くんてば!」

(、、、、)

聞き慣れた声が聞こえる、中学高校の時、ずっと一緒にいた、その先もずっと一緒にいたかった声だ

俺は恐る恐るめを開いた


「えっ、夏井なついさん…?」

「夏井さんってwいつも美織(みおり)って呼ぶくせに変なの〜」

「ああはははは、ごめんごめん、ちょっと疲れてるみたい」


目の前にいる美織は制服を着ている

俺も着ている、俺は今廊下に立っている

左側には幾つもの教室が連なり、右側には窓があり、半開きの状態だ

俺の手には美術で使う道具の一式がある


今、俺に何が起きているのかなんとなくわかってきた


「ここで問題だ!美織!今日は何年何月何日でしょう?」

「うぁ、また急に問題出してきた!ふふん、でも今回は簡単すぎるよ藤川くん…

2006年7月18日、私の誕生日の1週間前!」

「正解!今回は簡単すぎたなぁ」


そうだ7月25日は美織の誕生日だ、そして2006年7月25日は美織の命日だ


「ってあぁぁやばいよもうチャイムなるよ!ほら、急いで、遅刻したら先生に怒られるよ」

そう言って美織は俺の手をとり、廊下を駆け出した


どうやらタイムスリップをしたみたいだ

案外あっさりとその事実は受け入れられた

きっとあの傘だな、しかもよりよって高3の最後夏、美織が死ぬ年…

こうなったらやるしかない美織が死なない未来をつくり、なんとしてでも元いた時間に戻ってやる


2019年4月24日 21時40分

「う〜ん美味!やっぱこのコンビニが最強だね〜。あ、そろそろパパが傘を開いて、過去に行く頃かな〜」

そう言って、その少女は2階の窓際のイートインスペースから、映画館の方から小走りでコンビニに入っていくスーツ姿の男を見ていた

読んでいただき、本当にありがとうございます!

短いですが、楽しんで頂けたら幸いです!

まだ触りの部分であり、ここから高3の過去での話、現代で起こる傘を巡る話、また別の傘から始まる話、これからばんばん書いていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします!

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