大赤字。
ああ、今日もつまんねえもん買っちまった。
やる気のねえ駄作。
意気込みのねえ凡作。
思い込みの激しい駄作。
独りよがりの凡作。
身勝手な駄作。
ずうずうしい凡作。
理屈こねる駄作。
否定する凡作。
右に倣えの駄作。
駄作と凡作の中で、光り輝く一級品を探す。
夢と希望と愛とその他もろもろ。
前向きな姿勢と素直な心と立ち向かう勇気とその他もろもろ。
真摯な態度と他者を認める心の広さとまっすぐゴールを目指す一途さとその他もろもろ。
そんなもんはどこにも見当たらねぇ。
買っちまったもんは嘆いても仕方がねえな。
つまんねえもん買って、クソみてえな対価払って。
こんなもんでも買わなきゃなんねえんだ、今の世の中。
クソのあふれるこの世の中で、一級品なんざ、めったにみつからねえ。
今日は本当につまらないものを買っちまった。
今日は本当につまらないものを刈っちまった。
俺の大鎌が泣きやがるんだよ。
刈り取るならば、もっといいものをって、泣きやがる。
クソみたいなもん刈りたくねえよって泣きやがる。
刈らなきゃなんねえ、俺の定め。
対価を払って刈らせてもらう、弱い立場。
刈ってなんぼの大鎌。
刈らなきゃどんどん錆びていくというのに。
死神の大鎌が、クソみたいな魂刈って、涙こぼして錆付いてきやがった。
クソみてえな人間どもよ。
おめえらもうちょっとましになれや。
せめて俺の自慢の鎌が「刈れて良かった」と思うような人生送れや。
クソみてえに流されて。
クソみてえにつまんねえ人生送ってんじゃねえよ。
せめて最後までしがみつけよ。
せめて最後まで自分を保てよ。
神に払う、対価がきつい。
天使に払う、対価がきつい。
悪魔に払う、対価がきつい。
刈り取る命の、重みが軽い。
刈り取る俺の、存在が薄い。
刈り取る鎌の、刃が毀れる。
ぺらっぺらの命が、対価の役目をはたさねえ。
買っても刈っても、赤字続きとか、勘弁してくれよ。
そろそろ廃業を、考える時がやってきたのかも知れねえな。
俺は錆だらけの大鎌を持って、ハローワークの扉を叩いた。




