雨の日はのんびり家族と道具の手入れをしながら過ごすかね
さて、今日は小雨が朝から降っている。
俺は水瓶を外に出して雨水がたまるようにしてから、小屋に戻る。
「今日は雨もやみそうにないし、小屋でのんびり過ごすか」
俺がそういうとマオが笑顔でうなずいた。
「ええ、そうなさったほうがいいとおもいます」
食べ物に関していえば、干した魚やヤギ乳のチーズやバターなどもあるので、すぐに腹が減って困ることはないしな。
「まあ、最低限やっておくべきことはやるか」
俺は暇な時間を使って漁に使う網の補修をすることにした。
俺が座って網の様子を見ていると子供たちがやってきた。
「とーしゃんなにやってるん-?」
「やってうー?」
「ああ、魚を散るために網に穴が開いていたりしないか見てるのさ。
穴がいていたら魚が逃げちまうからな」
「にげるー?」
「にげうー?」
「まあ、魚だって食べられたくはないからな」
狩猟採集民は食料を得て生き延びるために絶え間なく狩猟採取を行い、働かざるを得ず、苛酷な生活だと思われていたりするが、実は1日働けば、2日ほどはのんびりしていても大丈夫なことも多いのだ。
根本的に家財道具として所有するものは最低限で、しかも、必要なものはおおかた周りにある材料から作ることができる。
材料となる木材、骨、繊維、石、草などは山の中には無尽蔵にあり、無くなったとか、壊れたらなどということを思いわずらって蓄える必要がない。
まあ金属製品はさすがに壊れたら、たまに通りかかる交易商人に魚と引き換えにしてもらったりする必要はあるがな。
だからこういった空いた時間に網とか弓とかの調子を見て、調子が悪ければ直してやればいいのだ。
「んー、ここは切れそうだから補修するか」
網の糸が切れそうなところには新しく糸を張り替えてやればずっと使える。
「あーしもやるー」
「ん、やってみたいか?」
「やるー」
「んじゃあ、ここの糸を張り替えてみてくれるか?」
「わかったー」
まあ、小さな子供が初めから上手にできるわけはないが、”んしょんしょ”と一生懸命網の糸を張り替えようとしているのを俺は止めない。
こういったことを通じて日常生活に必要な経験を積んでいくのは大事だからな。
「とーしゃん、できたー」
「おお、できたなー」
まあ、実際はあとでやり直しておく必要はありそうだが、見よう見まねで出来たという成功体験を持たせこれが楽しいことだと思うようになるのは大事なのだな。




