ようやく春になって過ごしやすくなってきて、無事家畜の子供たちも生まれたよ
さて、季節は巡り、春となってだいぶ暖かくなってきた。
山野に草木の新芽が生えてくると、山に緑の風景が戻ってくる。
山芋の芽が生えてきたり、タケノコが生えてきたりしているのを、イノシシがうまそうに食っているな。
そしてヤギやイノシシに子供が生まれてだいぶ騒がしくなった。
「おお、かわいいうり坊だな」
俺がそう言うとマオが微笑んでうなずいた。
「そうですね」
5頭生まれたうり坊は小さくて愛らしく本当にかわいらしい。
そしてウリ坊の時期のイノシシは非常に人間に懐くので、子供たちにもちょうどいい遊び相手にもなる。
「ちびちゃんまってー」
「まってー」
ちょこまかと走り回るウリ坊にまじって走り回っている子供たちも楽しそうだ。
まあ母親は警戒心が強く人が近づくと威嚇したりするので下手に近づかないほうがいいのだが。
ヤギの方は2頭生まれたが子ヤギは生まれて、しばらくすると立ち上げって母親の乳を探し始める。
お腹が空いているのかキーキー泣きながら一生けん命、乳首を探しているが、母親の乳首の位置が低くてなかなかうまい具合に呑めなかったりする。
「がんばれ」
「がんばって」
完全な野生生活に比べればまだ安全な環境とはいえ、生まれたばかりの子ヤギにとっては自力で立ち上がって乳を飲むのは結構大変だ。
お乳を呑むのに大変なエネルギーを割いたためか、乳を飲み終わった子ヤギは2匹ともすっかり疲れはてたのかこてんと眠りはじめた。
子供を産むということ、そして生まれてくるということは大変なことなのだと改めて感じたよ。




