動物は冬毛で寒さをしのげるが俺はそういかないから毛皮の上着を作るとしようか
され、冬も深まってきて寒さもだいぶ厳しくなってきた。
しかし狼や猪、山羊などはふっかふかの冬毛に生え変わっているのでら寒さもへっちゃらだ。
しかも皆だいぶでかくなっているが、体が大きいほど体重あたりの体表面積が小さくなり、それだけ冷たい外気に晒されることなく、体温を保ちやすいからな。
なので狼や猪、山羊の出産は春に行われる。
ちなみに牛や豚は繁殖に季節性はないがこれは一般に家畜化されると、生息環境の季節変化が小さくなったり、繁殖能力の高い個体が人為的に選抜されることによって起きたことだ。
元々一年中気温が大して変わらない南の方の動物も繁殖の季節性はあまりないみたいだけどな。
「お前さんたちはいいな。
冬には冬用の毛が生えてくるから」
「がう!」
「きゅぴー!」
「めぇー!」
それに引き換え俺が着ているのは麻の衣服だから、夏場はともかく冬場に着るのに向いていないのは確かだ。
そろそろ毛皮の上着を作らんとな。
「今日は鹿を狩って毛皮の服や靴を作るとするか」
俺がそういうと狼がぶんぶんしっぽを振って吠えた。
「がう!」
鹿とは”し”つまり肉、”か”つまり皮、その二つの供給源としてつけられた名のようだが、肉のうまさでは猪には及ばない。
しかし、猪に比べ鹿は狩る時に反撃を受ける可能性が少なく皮を使いやすいというメリットもる。
俺は弓矢にトリカブト毒を携えて、狼に指示をだす。
「俺の前に鹿を追い込んできてくれ」
「がう!」
狼はうなずく様に吠えると山の中に入っていった。
そして追い立てられた鹿が俺の方に走ってくるのを見ると俺は弓に矢をつがえて票と其れを鹿めがけて放つとそれは背中に刺さった。
「きゅいー!」
悲鳴のような鳴き声を上げて鹿が崩れ落ち、動かなくなった。
いつものように手早く解体し内臓は狼たちに食べさせる。
「がうー」
未消化の食べ物も含んだ本当に新鮮な生の内臓には、栄養が豊富に含まれているので、ここから狼は必要な栄養素を得ている。
そしてそれを咥えて山の中に入っていくがきっと狼の親たちに運んでいるのだろう。
子ども狼は俺になついたが親狼はそうはいかないらしい。
とはいえ俺の飼っている山羊や猪を襲わない、ほかの狼の群れを縄張りにいれない程度のことはしているからある種の共生関係にあるといってもいいとは思うが。
残った赤身の肉は干して俺がたべるがその前に鹿皮をなめさないとな。
まずは水で洗ってダニなどを落とし鹿皮の内側についた肉・脂肪などをちまちま短刀で取る。
いちどしっかり乾燥させて人尿をかけ、腐りやすい部分を腐らせてしばらく放置し、最後に油を塗りこめれば皮の鞣しが終わる。
あとは真ん中に頭を出す穴をあけて二つ折りにして両脇を縫い付ければ上着の出来上がりだ。
これを身につけるだけでもだいぶ寒くなくなるな。
あとは残った革で靴や袖などを作ればさらに暖かくなるだろう。
其れにしてもいつまでも俺一人というのも家の手入れなどをするのはきついから、まずいかもしれないな。
まあ人が増えたら増えたで食料の確保の問題も出てくるが。




