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壮大な断捨離をした後の部屋は、憑物が落ちたように清々しかった。
もう彼に振られた傷は痛まなかった。どうやら瘡蓋が出来たらしい。
新しい自分になる準備はできた。
もう言い訳や先延ばしはしない。
ふと、あれは本当に夢だったのか気になって、会社帰りに駅前の商店街を歩いた。
八百屋や魚屋などは店じまいの準備を始めていた。
それと入れ替わるように飲み屋は看板や暖簾を表に出し始めていた。
確かこの辺だったような気がするんだけど…。
やっぱり無い。いや、あるわけない! タヌキが女将をやっている小料理屋なんて!
私、どうかしてたな。
でも、あのタヌキ女将に会ってなかったら…今みたいな気持ちにはなってなかっただろうな…。
もう一度会いたかったな…あのタヌキ女将に…。
ありがとう…タヌキ女将
私は踵を返して家路へ向かった。
その後ろには怪しく光る路地が現れていた。
第一章 終り
第一章終わりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ただいま続きを書いています。
新しい連載が始まりましたら、また読んでいただけたら嬉しいです。