表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小料理 タヌキ屋  作者: まんまるムーン
6/9

6



「自分の中の暴れん坊を押さえつけられないうちは無理でしょうね。押さえつけられないのなら無視するの。込み上げてきたら、何でもいいから好きな事に打ち込むのよ。」


女将はそう言うと、フォッフォッフォッっと突然笑いながらお盆を持って、ヘンテコリンな踊りを舞い始めた。


陽気なタヌキが躍っている姿を見ていると、なんだかおかしくなってきて、気づいたら私も一緒に踊っていた。


店の中なのに、何故か空にはお月様が浮かんでいた。月夜にタヌキ女将と私は愉しげに踊り続けた。



「お嬢さん!」


「なんですか、女将!」


「次は、相手の事を一方的に見るんじゃなくて、二人で一緒の方向を見られる人と付き合えるといいわね。」


「相手を一方的に見るんじゃなくて…一緒の方向を見られる人…」





 チチチ…


 鳥のさえずりが聞こえた。

瞼の上に眩しい光が射していた。目を覚ますと自分の部屋だった。私は服を着たまま、メークも落とさずにベッドで寝ていた。

起き上がると頭がガンガンした。二日酔いだ。


 えっと…夕べはどうしたんだっけ?

 記憶を辿る。駅前の商店街を歩いて帰っていたら…変な路地を見つけて…そうそう!

 タヌキの女将がやっている小料理屋に入ったんだ! 


 タヌキの女将?

 夢でも見てたのかな…。

 というか…夢だった?


のそのそと起き上がって洗面所へ行き顔を洗った。歯も念入りに磨いた。鏡に映る自分の顔を見てみた。


 悪くない。


まだまだイケてると思った。肌だってツヤがあるし、客観的に見ても捨てたもんじゃないよ。


なんだか少し、元気が湧いてきた。


 今日は休日だ。

 一日予定はない。

 何をしよう?


 今までは何をしようなんて思ったこと無かったな。

 一日中浩平の事だけ考えていて、休日はとにかく一緒にいようって、それだけしか考えて無かった。



 相手の事を見るんじゃなくて、二人で一緒の方向を見られる人と付き合えるといいわね…



 タヌキ女将…そう言ってたな…。

 私…浩平のことしか見てなかった。

 考えてみたら重すぎるよね…。

 

 浩平と付き合う前は…したい事とかあったよね…。


 そうそう!

 昔から、試験が終わったらこの本を読もう!

 課題が終わったらカメラを始めよう!

 今のプロジェクト終わったら離島を旅しよう!


 で、いざ終わったらゴロゴロするだけで何もしなくて次の予定が始まって後悔する…その繰り返しばかりだったな…。




 よし!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ