表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小料理 タヌキ屋  作者: まんまるムーン
1/9

迷い込んだ路地裏の店は、異世界小料理屋だった

アルファポリスにも掲載しています。


 その日、私はボロボロだった。


 今回ばかりは結婚するのだと思っていた彼氏に、あろうことか振られてしまったのだった。30歳から付き合い始めて5年。


 振るか? 

 35になったぞ、私は! 

 大事な婚活期を返しやがれ!


 あまりのショックでフラフラする。とりあえず家に帰ろう。こんな時にフラついているとロクな事が無い。私はトボトボ家路へ向かった。


 駅前の商店街を半分くらいまできたところで、なんだか周りの景色がいつもと違うことに気づいた。普段気づかなかった路地がある。


 毎日通っている商店街なのに何故いままでこんな路地があることに気が付かなかったのだろう? 


小さな路地沿いには、赤い提灯が大げさなくらいびっしりと吊るされていた。私は吸い込まれるようにその路地に入っていった。


 見上げると、空にはお月様


気づくと、一軒だけ灯りがついていた店の前に立っていた。


 小料理 たぬき


手が勝手に動いてその店の戸を開けていた。後ろから押されたように店の中になだれ込んだ。


「いらっしゃいませ。」


中から女の人の声がしたが、バランスを崩した私はカウンターに倒れこんだ。すぐ横にあった椅子にとりあえず座った。


 何で小料理屋なんかに入ってるんだ…。

 早く家に帰って思いっきり泣こうと思ってたのに…。


「お飲み物…何になさいます?」

店の女将らしき声がした。


「…じゃ、とりあえずビールで…」

何も考えられなかった。


 とりあえずビール一杯飲んだらすぐに帰ろう。

 私はそう思っていた。


「オーダー入りまぁーす。ワンビアぺルファボーレ!」

小料理屋らしからぬオーダーの入れ方…。

そして英語かイタリア語かどっちかにしてくれ…。


「スィ! ビア承りましたっ!」

重低音を轟かせて男のフリをしているが、この声は完全にさっきの女将だ! 

つか、最初から一人しかいないだろっ! 

自作自演か! 


面倒くさい女将に無駄にイラっとして、顔をあげてカウンター越しにいる女将を見た。


―え…?


タヌキだ…






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ