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炭素繊維複合材KURAGE  作者: 深山鬱金
ミズクラゲくんとDr.ハマグリ
8/16

7

満月から下弦の月へと変わる頃、僕はこっそり相模湾へ偵察に行った。想像では大量に砂浜へと打ち上げられたヒドロクラゲがデニソワ人を苦しめているだろうと思っていた。

月明りだけだったので波打ち際ははっきり見えなかったが、砂浜にヒドロクラゲの亡骸なきがらは見当たらなかった。

はて、何が起こったのだろう…。僕より単細胞なヒドロクラゲならば、そのまま前進するのが関の山。

僕は首をひねった。すると海底から、もぞもぞと丸い物体が湧き出てきた。

なんとDr.ハマグリだった。

話によるとヒドロクラゲの大軍に気付いた頃には逃げ道を塞がれ、やむなく海底へと身を隠したらしい。頭上で何が起こったのかは知る由もないそうだが、ヒドロクラゲ軍団が立ち去ったのだけは確かだそうだ。

自ら退却したのか、巨大生物に飲み込まれたのかは不明だが、ここ相模湾一帯が危機を免れたのは事実だ。これで心おきなくミズクラゲちゃんを捜す旅に出られるぞ。

僕は心がうきうきして、つい”触手ダンス”をしてしまった。それがたまたまDr.ハマグリのお尻に当たったらしく、彼は目をギョッとさせて立ち去っていった。

さて、邪魔者が消えたところでロマンスの旅に出るか。


ふわーん、ふわーん、ふわふわーん。


ふわーん、ふわーん、ふわふわーん。


潮まかせで海中を漂っているとヒゲクジラがぬわっと泳いできた。口を閉じているので捕食する気はないらしい。僕はのほほんと巨像の前を通りすぎた。


ふわーん、ふわーん、ふわふわーん。


やがて、フィリピン海に出た。偶然、別の海流に乗ってしまったのだろう。移動は潮まかせなのだから仕方ない。ひとまず生きてここまで来られただけでも御の字だろう。

僕は気ままにフィリピン海を漂った。

が、まだミズクラゲちゃんには会えない。

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