プロローグ
四十六億年前。
天の川銀河に地球が誕生した。ほぼ同じくして火星も産声を上げた。
火星には水が存在し、生物も生まれた。現代でいうところのプランクトンの類である。
この時期の太陽系は非常に不安定な状態にあり、数えきれないほどの隕石や天変地異、スケールの大きな雨など惑星レベルでの気候変動が頻発していた。
やがて、何らかの偶然により、火星にいた生物の一部が隕石となって地球へ降り注いだ。
そして、プランクトンから魚、両生類、爬虫類、鳥類、ほ乳類へと進化した。
僕はミズクラゲ。
二足歩行の巨人のふくらはぎを突っつくのにも飽きたので大好きなミズクラゲちゃんを捜すことにした。
ふわーん、ふわーん、ふわふわーん。
といっても僕はプランクトンの一種。移動も潮まかせ。ここ相模湾沖では黒潮の流れに乗ってミズクラゲちゃんを捜すほかない。
出会いは奇跡なのだ。
でも、一つだけ注意しないといけないことがある。ただ、太平洋を漂っていると浜辺に打ち上げられてホモサピエンスの子どもたちの餌食にされてしまう。小さい頃、母親から「満潮のときは岸に近づいちゃだめだからね」と釘を差された。
ミズクラゲは名前の通り”水”があって初めて命が保てる。他のプランクトンより図体がでかいだけで水なしでは生きられない。