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硬骨漢  作者: うちょん
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おまけ②「海浪様」


 おまけ②【海浪様】














 それは、突然やってきた。

 「ちょっとどういうこと!?私の海浪様が骨折してるじゃない!!!なんでこんなことになっているの!?海浪様、大丈夫ですか!?ちゃんとご飯食べられます!?お風呂は!?トイレは!?着替えは!?」

 「あんた、どっから湧いて出た?」

 「蒼真、あいつ誰だっけ」

 「天馬、覚えてないのか。師匠のことが好きすぎてもはやストーカーと化している危ねぇ奴だ」

 「海浪様――――!!!今日からこの私、桔梗が身の周りのお世話をいたしますわ!!」

 「・・・いや、結構なんだけど。つか誰か呼んだ?なんでこいつここにいるんだ?」

 「嫌だ海浪様ったら!!私のことお忘れ?」

 「覚えてっけど、なんで此処に居るのって話。え?怖い」

 「誰が怖いんです!?まさかゴッキーちゃんが現れたんですか!?任せてください!!私、意外とそういう輩相手は平気なんです!見てください!いつか海浪様と1つ屋根の下で生活するようになったときのために、なんでも撃退出来る超強力殺虫スプレーを手に入れていたのです!!!!」

 「師匠、どうしましょう」

 「俺、遊んできていいっすかね!!」

 「・・・出て行けって言って出て行く耳を持ち合わせてるのか疑問だな」




 海浪の言うとおり、桔梗は海浪の世話を勝手に始めてしまい、何度世話はいらないといっても一向に出て行かなかった。

 トイレに行こうと立ち上がっただけで・・

 「海浪様!トイレですか!?は、恥ずかしいですけどご一緒いたします!!」

 「嫌がらせ?」

 腹が減ったな、と呟いた海浪に・・

 「海浪様!今日は私が腕によりをかけて豪勢にしてみせます!!デザートは私・・・なんて!!きゃー!!!!!私ったらなんてはしたないことを!!!!!」

 「この焦げた塊何?」

 そろそろ風呂に入ろうかと思っていると・・

 「海浪様!!良かったら一緒に入りましょうか!?その腕では何かとご不便でしょう!?海浪様の鍛え抜かれたお背中、私がしっかりと流しますわ!!!」

 「それセクハラ?」

 部屋の掃除をしていると、海浪の寝巻をみつけたらしく、それを握りしめて何やらぶつぶつと言っているのが聞こえた。

 どうやら、匂いを嗅ぎたいようだが、その一線を越えてしまって良いのかと葛藤しているようだが、最早、似たようなことをしている。

 そして海浪が風呂から上半身裸で出てくると、鼻血を出しながら・・

 「海浪様!!!なんという素晴らしい身体!!お、お着替えお手伝いいたしましょうか!!足が滑って抱きついてしまうことになってしまうかもしれませんが、どうかお赦しを!!!!!」

 「え、怖いんだけど」




 「あの人、すっげェ好きなんだな、師匠のこと」

 「料理は焦がす。洗濯物は畳むことなく匂い嗅ぐか悩む。着替えは変態になる。あれじゃ無理だな」

 「俺だって師匠のこと好きだし!負けねえし!一緒に風呂入ったこともあるし!」

 「そういうことじゃねぇだろ」

 しかし、いつまで桔梗がいるのかと、蒼真は海浪の近くに寄って尋ねる。

 「師匠、あの人、大丈夫なんですかね?」

 「んー。囮作戦は成功してる」

 「囮作戦?」

 何のことだろうと思っていると、海浪が顎でくいっと寝床を指した。

 そこには、いつの間にか布団を丸めて作ってあった即席の布団海浪相手に、顔を赤くしながら話をしている桔梗の姿が。

 それがあまりにも哀れになってきた蒼真だが、海浪は呑気に新聞を読んでいた。

 「放っておけ」

 「・・・はい」

 「師匠!!」

 「うるせぇな、なんだ」

 突然、天馬が海浪のもとへダイブしてきた。

 「師匠!俺の方が好きですよ!!俺、師匠のこと親父みたいに思ってますからね!!」

 「・・・・・・」

 「師匠!嬉しすぎて声も出ないんすね!今度一緒に熊狩りに行きましょ!」

 「・・・・・・」

 「師匠?」

 ガッ、と強く頭を掴まれたかと思うと、続いて痛みが走る。

 「いでででででででででで!!!!痛い!師匠!めっちゃ痛い!!!!!」

 「てめぇ・・・俺が親父だと?てめぇくらいのデカイガキがいるほど、俺は尻軽じゃねえからな・・・!こう見えて硬派だからな!」

 「わわわわわわかってますって!それくらい大好きってことっすよ!マジ痛い!脳味噌潰れそう!!」

 「もとから使ってねぇんだから、いっぺん潰して新しいのにするか」

 「許してください!!!!!!」

 そんなやりとりを、桔梗は布団で作られた海浪を抱きしめ、涎を垂らしながら眺めていた。

 「海浪様ったら・・・!!あんなガキにも好かれるなんて、さすがです!!!」




 結局、海浪の身の周りの世話は天馬と蒼真がするということを桔梗に何度も何度も、それはもう何度も説明をして納得・・・をしたということにして、追いだした。

 「蒼真」

 「なんだ」

 「介護ってこんな感じなのかな」

 「・・・天馬、それ、師匠の前で絶対に言うんじゃねえぞ」

 「え?なんで?」

 「なんでって・・・!!」

 その後、天馬の叫び声が響きましたとさ。

 「・・・馬鹿」


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