鳥居を越えて異世界へ 2
薄暗い廃ビル。時の流れを感じさせる備品。
高羽は、足を掲げる。そして、ゴミのように汚い格好の男に向かって足を振り下ろす。苦しむ男。
思ったより、若い人だな。
高羽が思ったのはそれだけであった。男は二十代か、十代後半といった様子だ。この年で浮浪者なんだなと、ぼんやり思った。
それから、何度も足を振り下ろす。蹴る。蹴る。蹴る。若き浮浪者は、とうとう動かなくなる。それを見て、高羽に感じたことのない興奮が訪れた。
「やった、とうとう殺った!」
走り出す高羽。喜びがあふれ出す。体が軽い。
そのまま元来た道を通り、高羽は鳥居をくぐる。そして、元の暗い神社の入り口へと戻ってきた。そしてやはり走り、家まで帰った。
高羽は家まで着くと、チャイムは鳴らさずに家の前で体育座りする。しばらく待っただろうか、家の中から足音が聞こえてくる。
がちゃ。玄関の扉が開き、出てきたのは父親であった。
「ずっと座ってたのか。入れ」
高羽はまんまと家の中に入ることができた。心の中で舌を出す。そして階段を上がると、スウェットに着替えて布団に潜る。
異世界のことを思い出す。明日もまた行ってみよう。またあるかな。
なぜだろうか。次にまた行ったら、もう鳥居は無いのではないか。そう高羽は思った。布団の中は暖かく、神社の境内で眠ることにならずに良かったと心から思うのであった。
今回短っ! お話の区切り的に短くなってしまいました。
次回から、殺人鬼たちが本格始動! お楽しみに!




