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突然白鳥を捕まえたくなる 2

一方現在の高羽は、母親に白鳥をあげる方法を考えていた。

難しいだろう。しかし、母親の喜ぶ顔を想像する。するとやる気が満ちてくるのだ。

絶対にプレゼントする。白鳥が見える川の欄干で、高羽は決意する。日は少し傾き始めていた。


 白鳥が大きな羽を広げ、薄オレンジ色の空を旋回する。


「すばしっこいなー」


 捕まえるには策がいるぞ。高羽は思う。


「すっげー、おー戻ってくる」


 友達は高羽の横で、身を乗り出して空を見上げている。

 一方の高羽は下を向く。あの素早い白鳥を捕まえるのに、どんな方法があるだろうか。

 大勢取り囲んでいた住民たちも、少しずつ自分の家に帰っていく。


「そろそろ帰るかー」


 友達に言われ、高羽は日が沈んでいるのに気づく。その後も、高羽は下を向いて歩く。時々うーんとうなりながら。






 高羽の部屋は至ってシンプルである。遊び道具の類いはなく、しかしパソコンや周辺機器は豊富に揃えてある。

 高羽は帰って早々パソコンを開くと、インターネットの閲覧を始める。『白鳥』『鳥 捕まえ方』『野鳥』様々な単語を打ち込んでいくが、中々確信に迫るような物は見当たらない。そのとき、ホーム画面のニュースに、高羽の目を引く記事があった。


 釣り糸に鳥が絡まる……これだ!


 高羽はガッツポーズを決める。早速、用意しなければ。まだぎりぎりホームセンターが開いてる時間パソコンの電源を切り、玄関へ向かう。二階の自室から玄関までリビングを通らない造りのこの家は、高羽が何時に家を出ようが咎められない、素敵な家だ。ただし、父親の帰ってくる時間と被ると鍵を内側から掛けられてしまうため、チャイムを押すしかなくなるのだが。

 今日は、父親はすでに帰ってきている。そのため、自由に家を出られる。外は夜ともなるとヒンヤリとした風が吹いている。高羽は体を温めるため、ジョギングをしながら家を出る。


 まず高羽が向かったのはホームセンターではなく、庭にある物置だ。二畳の大きさがある物置には、冬タイヤと灯油、父の趣味道具が主に詰め込まれている。

 高羽の父には釣りの趣味がある。よく大きな鮎や鱚を釣ってくるもので、それでよく自分には生き物をむやみに殺すなと叱るものだと高羽は不満に思っている。

 物置を開くと、釣り竿セットだかゴルフクラブのセットだか分からない物がいくつか立てかけてある。高羽は一つの入れ物を開ける。釣り竿が入っている。


「ビンゴ!」


 高羽は釣り竿のある場所を確認すると、取り出しはせずにそのままホームセンターへ向かう。必要なのは、とにかく大きい釣り針。釣り針が果たして何コーナーなのか高羽は悩んだが、店員に言うと小さなスペースに並んだ釣り具コーナーまで連れて行ってくれる。


「これ、結構高いんだな」


 お札を一枚以上払うつもりはない。千円以内で買えるサイズで断念する。

 ホームセンターを出た瞬間吹き付ける、冷たい風。高羽は方をすくませながら、買い物袋片手に帰路についた。

 玄関には予想どおり鍵がかかっていない。両親ともに、高羽が外出したことに気づいていない証拠だ。そのまま階段を上り、部屋へ上がる。忘れずに、外の物置から釣り竿を持って。一番安そうな釣り竿にした。釣り竿だったら何でも良いし、高い物である必要性が感じられないからだ。

 部屋に着くと、慣れない手つきで釣り針を釣り竿にセットする。針には返しがついているため、もし指に刺さったら自分では抜けないし病院行きだ。そう考えると恐ろしくて、高羽は作業に慎重になる。


「完成!」


 できあがった釣り竿を部屋の中で振り回す。ベッドに引っかかり、針を引いたら掛け布団が釣れる。なんとか取り外すが、掛け布団には穴が開いてしまった。

 落ち着こう。

 高羽は丁重に釣り竿をしまう。そして、時が来るのを待った。

 実際野鳥を捕まえる際は、鳥の目には見えないほど目の細かい網を使うそうですよ。

 高羽は白鳥を捕まえられるのだろうか! そしてとうとう次回、高羽が異世界へ繋がる鳥居に近づく! お楽しみに!


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