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猫の戦争  作者: 富山晴京
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プロローグ

 私は猫である。猫が小説を書くなどはなはだ不自然であろうと思うかもしれぬ。猫が人語を理解するとは到底信じられぬと誤解している方もあるいはおられるかもしれない。人間の言う生物学によれば猫の頭脳は極めて小さく、また発達も著しく遅れているため、到底言語を理解できるものではないと言われているそうだから。

 ところがそれは大きな間違いである。頭脳?そんなものに惑わされるからいけない。ただいたずらに大きいだけの脳みそが必要ないからこそ、あそこまでに猫の脳みそは小さいのである。むしろ人間の予想を上回って、猫は人間をはるかに超えてものを知っている。当然人語の理解できないはずはない。

 では何故猫は猫のごとく生きているのか、そう考える人間もいるのではないだろうか。もし猫に高い知能があるのなら、いっそ人間を滅ぼしてしまえばよろしいとも思えるだろう。うまいこと計略にはめるなり戦争でも起こすなりするがいいと。そうすれば今のごとくペットにされたり野良猫として暮らす一生を送る必要はあるまいと。

 ところがそう思わないのが猫である。猫というものは平和主義である。あらゆるところにマナーが適用され、いかなる瞬間においても殺し合いということにはならない。たとえわれらの自由を取り返すためであっても人間と戦うことを考えはしないのである。

 もっとも中には素行の悪いものもあって相手の耳をそいだり、逆に喧嘩で負けて目を失ったりするものもあるが。

 さて、ここからが本題である。今までの話はほんの雑談にすぎぬ。何故私が猫の身でありながらわざわざ筆を執ったのかといえば、それは今回起こった出来事を君たち人間へ伝える必要があると考えた次第である。というのも実は我々猫は、つい先日まで人間どもに戦争を仕掛けようということで議論をしていたのだ。

 つい先ほど平和主義と言っておきながら戦争をするつもりだったのだというのはいかにも矛盾しているようであるが、そういうわけではないのだ。もちろんきちんとした事情がある。そしてその事情も含めて、今回の出来事を話そうというのだ。

 事の始まりはネットにアップされた一つの動画である。その動画の内容とは、猫の虐殺であった。


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