第1話「まだオレが男だった時」
お待たせしました。
まだまだ終わらんよ!
時は少し遡る。
まだオレが男だった頃だ。
営業部のオレが属する某企業の総合研究所は、他社と同じく茨城県つくば市にあった。
つくば市は、東京師範学校を起源とした筑波大学を中核とした学園都市だ。
…が、その性か大学と研究所以外はなんかパッとしない。
なんか、鉄道模型の都市と農村をくっつけた様なビミョーに垢抜けない都市なのだ。
まあ、そんなちょっと変わった地方都市である。
そして、そんな街をオレは地図を見ながら歩いてた。
…ハズだ。
…。
迷った。
まさか迷うなんて。
地方都市を歩いてたハズなのに、ここは田んぼのど真ん中!?
ここどこー!?
は!?まさか、いつのまにか異世界に!?
「なろう」だし!?
…。
…それはないわ。
とは言っても、ヤバいことに代わりはない。
だいたい人も見掛けないのだから、場所も訊けないのだ。
スマホは、研究所に持ち込み禁止なので家に置いてきたし…。
てゆーか、こんな手書きの地図で判るかっつーの!?
だいたい、何だよ!?この「渡辺さんちの角曲がる」って!?
渡辺さん、誰!?
会いたいよ!今すぐ!
そんな時。
「どうしたのですか?」
「え!?」
声、掛けられた。
そこには純朴そうなイケメンがいた。
ようやく伏線が張れた気がする。