いつまでプロローグ!?「2日目の晩酌」
ようやくTS物の重要なエピソードが抜けてることに気付きました。
今頃。
「ただいまー!」
ガラガラと玄関の引き戸を開く。
「おかえりー!」
「おう!おかえり」
家の奥から両親の声がした。
オレはスタスタと廊下を歩き、奥のダイニングキッチンに向かう。
暖簾を潜り、ダイニングキッチンに入る。
中には、いつも通り夕飯の準備をしている母の背姿と既に呑み出している父がいた。
向こうはこちらを見ていない。
こちらも無視して素通りし、真っ直ぐ冷蔵庫の前に来て開ける。
冷え冷えの缶を出し、父の前のテーブルを陣取る。
パシュッ!
ゴクゴクゴクゴク…!
「ぷはー!この一杯のために生きてるわー!」
いつも通り、缶を開けて(第3の)ビールを飲み干し、いつも言う台詞をいつもと違う言い方で言ったその時。
初めて父と目があった。
父は、母お手製のお通しを箸から落として、こう言った。
「お前。今、何て言った?」
また、空気が止まった。
「ヤダな〜。娘の顔を忘れるなんて、もう酔っちゃったの?」
「今日もまだ呑み始めたばっかりだ!」
あざとく唇に立てた右手人差し指を当ててボケたオレに、父がツッコんだ。
「しかも、顔じゃない!しゃべり方だ!仕草だ!」
父が疑問を口にした。混乱しながら。
「え!?あたしのしゃべり方、何かおかしい?」
「女言葉じゃないか!?」
「だって、今のあたし女だし?」
「そりゃそうだが…、昨日と違うじゃないか」
「ああ、そうだっけ。
今日、研究所で催眠術やら何やらで女言葉を喋るよーにされたんだよね〜。
頭の中はいつも通りなのに。
なんか世の中、スゴいよね〜」
「…」
あれ?父、頭抱えてる。
オレ、何かヘンな事言ったか!?
しかも、主人公の名前。
まだ考えてなかった。