プロローグ「今夜も(第3の(泣))ビールで乾杯だ!」
ふつつか者ですが、よろしくお願いします。
「ただいまー!」
ガラガラと玄関の引き戸が開いた。
午後7時半。いつも通りだ。
「おかえりー!」
「おう!おかえり」
家の奥から男女の声がした。家主の父と母である。
いつも通り、母の方が先に言ったが。
ドスドスと廊下を歩き、奥のダイニングキッチンに向かう。
古い簡易版日本建築な我が家は、いつもと違う細い脚でもいつも通りの音がする。
いつもなら引っ掛かる暖簾を潜り、ダイニングキッチンに入る。
中には、いつも通り夕飯の準備をしている母の背姿と既に呑み出している父がいた。
向こうもこちらを見ていない。
こちらも無視して素通りし、真っ直ぐ冷蔵庫の前に来て開ける。
冷え冷えの缶を出し、父の前のテーブルを陣取る。
パシュッ!
ゴクゴクゴクゴク…!
「ぷはー!この一杯のために生きてんなー!」
いつも通り、缶を開けて(第3の)ビールを飲み干し、いつも言う台詞をいつもと違う声で言ったその時。
初めて父と目があった。
父は、母お手製のお通しを箸から落として、こう言った。
「…ど、どなたですか?」
空気が止まった。
「ヤダな〜。息子の顔を忘れるなんて。もう酔っちゃったの?」
「まだ呑み始めたばっかりだ!」
切り出したオレに父がツッコんだ。
「しかも、こんな女子高生を息子だと…息子!?」
父が疑問を口にした。混乱しながら。
「そう。息子」
オレは可愛く微笑んで言った。
「社命により、女子高生になりました」
遂にTSモノの荒海に出てしまいました。
チキンハートで感想を書いたことないのに、感想をお待ちしてます。