第七項 [合流]
早くダンジョンから出たいですな。_(:3 ⌒゛)_
昼食を終え、さらに下の階層を目指し探索を再開させる。
中域への通路は2層の中心部にあるらしく、ベルセルの先導の元、森をただひたすら突き進んだ。
中心部に近づけば近づく程、太く、立派な樹木が目立つようになってくる。
この辺りはドライアードの様な植物系やウェアウルフ、ブルポッカの様な獣魔系の魔物の生息地になるらしく、時折鉢合わせることがあった。
ドライアードはラノベで見るようなそれとは気質が異なり、好戦的で荒っぽく、触手を鞭のように使ったり葉や溶解液を飛ばしたりするリーチの長い攻撃が特徴でランクはE。
森人族であるアリム達は、森に深く根ずいている植物、精霊系の魔物の言葉を理解できるので、戦闘中頭が痛くなるような、いわゆるF言葉やらで挑発(俺やベルセルにはモニョモニョ言ってるようにしか思えない)されていたらしい、アリムとリーンがそれにキレて「森人族の誇りが────」とか何とか言って風魔法で触手や葉等の特徴的な部位を全て削ぎ落とし、人族の子供と言ってもバレないんじゃないだろうかという様な姿にしていた。
やめて差し上げろ。
ドライアードは現在、アリムの足元で手で顔を塞いで座り込んでしまっでいる。
おいどうすんだよ.........モニョモニョ言って泣いてんじゃねーかよ。
あ、消えた。
ドライアードのような精霊系の魔物は討伐時、核を残して消えてしまう。
完全に消え去ると、丁度胸の辺りにあった核が落ちて地面でコツンと乾いた音を立てた。
「はははっ、蔓まで切ってたしな.........」
核を拾ったベルセルは、俺の顔を見て苦笑い、流石のベルセルでも酷いと感じたらしい。リーンもアリムがここまでやると思わなかったのか、若干引き気味である。
ドライアード、次の魔物生?では強く生きてくれ.........
次にウェアウルフ、二足歩行の上半身が発達した狼の魔物で、海外のヒーローみたいな体格をしている。手には剣や盾や弓などを装備していて、装備している武器によってソルジャーやナイト、シーカーなどの呼称が付けられている。見た目通り腕力が強く、そして何故か動きが素早い。
ランクは1匹1匹ならD、4匹以上なら(群れを形成している恐れがあるため)Bくらいで、今回は5匹いる所を発見したので、近くのパーティを呼んで合流し、群れを潰す。
迷宮の魔物は幼体の者がいないので、精神的には楽な戦いだった。
いかに魔物であろうと、子供に手をかけることは出来ないだろうし。
そのパーティとは、元々中域に行く前に全隊と合流する予定であったので、そのまま一緒に進む事になった。
彼らのリーダーでBランクの狩人のソルは弓矢を主として戦い、ウェアウルフ殲滅の際に敵の脳天に百発百中という達人ぶりを見せた。また、ソルは猟師だった頃もあり、索敵や罠の作成、設置、果てはサバイバルのノウハウまで懇切丁寧に教えてくれた。
何でもかんでも質問を重ねる俺達にソル達は「お前らなんも知らねんだな…」なんて哀れみの目を向けてくる。
………………違うんです!このクソおっさんが悪いんです!!
そんな訳で俺、アリム、リーンからの好感度が一気に底まで落ちた。そして只でさえ空気の読めないベルセルがその事実に気付くことは無かった。
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「着いたぞー」
ウェアウルフ殲滅終了後は、何事もなく集合場所に付いた。
ソル達はソルの冒険仲間と合流する、と言って何処か行ってしまった。
俺たち3人は礼を言って見送った。
森の中心部には既に何組かが集まっていて、そのうちの2組がこちらを見つけるや否や近づいてきた。
「リーダー!元気!?ボクは元気だァアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「リカリオン、煩いですよ。
.........ベルセル様、お待ちしておりました!」
「おうスコット、ごくろうさん!
ハハハッ、リカリオンは相変わらずだな!
とりあえず報告頼むわ。」
「はい、おいポール!悪いが野営の準備を任せる」
「アマンダ!ボク達も準備進めといて!!」
リーダーの二人は残りのメンバーに指示を出し、話を続ける。
何やら話が盛り上がっているようなのだが、時折こちらに視線を向けてくるのはどういうことなんだろうか?
「まぁいいか、おーいリーン!俺達もやるぞー」
まだまだ話は終わりそうもないので準備を始めることにしよう
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リーンと共に、野営の準備を終わらせた頃、
ベルセルが、こちらにリーダー二人を連れてやってきた。
「ユータ、紹介する。
俺と同じBランク冒険者のリカリオンとスコットだ、色々教えてもらえ」
紹介と共に黒髪の大柄な青年が前に出てくる。
「やぁやぁ、君がユータ君だね。
ふむベルセル様の仰られるとおり、かなり出来るようだ。」
「はぁ.........どうも......ユウタです。
ええと、スコットさん?」
「その通り、私はスコット・ヴィル・ヘクトル、ベルセル様のクラン、『導き手』の副リーダーを努めさせて頂いている、よろしく」
「あぁ、はい。 よろしくお願いします」
そう言うスコットに握手を求められたので交わす。
「ベルセル様から君の事は聞いてるよ、なんでもLv.1なのに魔物を両断したとか?」
「..........まぐれですよ。
それにスコットさんならあれくらい素手でもできるでしょうし」
「ハハハッ、買い被りすぎだよ、流石の私でもそれは難しいなぁ。
あぁ、でもリカリオンなら出来るんじゃないk.........ってあれ?あいつどこ行った?」
丁度、スコットが辺りを見渡した時、背後に何かが飛び込んできた。
「ん?」
「ふむふむ、この匂いは中々.........」
声のする方を見ると、小柄な娘が俺の腰の辺りに抱きついていた。
「あぁと...誰?」
「やぁやぁ、お兄ちゃん!ボク、リカリオン!!」
どうやらこの子がベルセルが紹介したかったリカリオンという子らしい、何故か俺の背中に額をグリグリ押し付けている。
傍から見れば、人懐っこく戯れる少女とその兄の様に見える微笑ましい光景になっている事だろう。
「よろしく、リカリオン。俺はユウタだ」
挨拶を返し無理な体勢ではあるが頭を撫でるとリカリオンは顔を上げて二へーっと笑う。
「あぁ、リカリオンそこに居たのか。
.........って待て、まさかアレをヤル気か!?バッカ!止めるんだ!」
スコットがリカリオンの姿を認めると急に慌てだした。アレ?何のことだろうか?
リカリオンは慌てるスコットにとても良い笑顔でサムズアップする。
「えへへー、いっくよー!!」
「へ?」
そして世界が逆転した。
正確に言えば、リカリオンにバックドロップを喰らった。
「あれぇええ!?なんでなんで!?弱っちいぞリーダー!?」
「「「ユータ!?」」」
((あぁ、しぬ..................))
地べたに思いっきり頭を打ち付けたユウタは
リカリオンと皆の驚愕の声と、スコットのやってしまったと顳かみに手を置くのを最後の記憶に、意識を手放した。
次回から中域です。
戦闘、もっと上手く書けるようになりたいです。
応援よろしくお願いします○| ̄|_