第六項 [初戦闘]
いやー、2週にいっぺんは無理でしたねwww
自分の遅筆さを甘く見てました。
それと、題名を「空気俺」から「異世界に来たので脱空気を目指してみるがやっぱり俺は空気」と言う頭イカレてるんじゃないかってぐらい長いものに変更しました。タグは空気俺のままなのでそのまま探しても出ると思います.........多分。
オルカン遺跡第1層は全域がエンプーサの巣になっている、彼等の気難しい性格にさえ留意すれば人間にとってはどのダンジョンよりも安全だ。
もちろん本当の意味での安地は存在するが魔物がエンプーサしかいないため、そもそも戦闘が起きない......はずなのだが、2層目に続く広場には何故か狼の魔物の死体が数体転がっていた。
「こいつは.........エンプーサにやられたんだな。しかしなんだってこいつらが1層にいるんだ?」
「縄張り争いに負けたんですかね?」
「いや、そんなことは無いはずなんだけどな.......。」
不思議に思うのも仕方がない、本来、別の階層に魔物が移動することは無い、それにベルセルが冒険者をやって来て今までに1度もこんなことは無かった。
「2層からの階層で何か起きてるんですかね?」
「まぁ、何が起きてようが調べないといけねんだからなぁ、おい!進むぞ。」
2層への通路を抜け、2層目を進む。
2層は1層には無い、薬として使える野草や食用のキノコが沢山生えている。という事でエルフ姉弟に教えてもらいながら進んだ。今はペバという植物について教えてもらっている。
種は胡椒に似ていて、実は乾燥させて香辛料として使われているらしい。熟れた実は何とも言えない臭いがする為、魔除けのポーションに使われる。
空いた水の瓶に集められるだけ集め、ポーチに仕舞った
しばらくそうして二層の森を進んでいると、前を歩いていたベルセルの足が止まる。
「......任せたぞ。」
魔物に気づいたのだろう、任せると一言呟きベルセルは後ろに下がってきた。
森の奥からは狼の魔物が唸り声を上げながら出てきた。数は2匹と少ないがかなり大きい。
「さっきのアッシュハウンドの長ですかな?
姉さんならあれぐらい楽勝だね♪」
「その通りですね!それじゃぁ一気n「待て!!」」
精霊を呼び出そうとするアリムをベルセルが止める。
「おいおいおい、お前って奴は......精霊ばかり使ってたら訓練にならないだろうが.........
アリム、3層抜けるまで精霊魔法禁止な。」
「うぐっ、分かったのです。」
「......よし、んじゃ死にかけたら呼んでくれ。」
「はぁ?なんでだよ...うわっと!?」
ベルゼルの放任宣言に緩んだ途端、1匹が襲いかかってきた。
咄嗟に腕で防ぐ、貰ったスパルチュラの糸のシャツのお陰で鋭い爪や牙が通らずに済んだが、攻撃が通らないとなると狼達は喉元を狙うようになった。
今の段階では凌げてはいるがボス格の個体にLv.1のユウタがいつまでも持つ訳はない。
「......っ、リーン!」
「は、はい!《 吹き飛べ、風砲!! 》」
リーンの放った風属性魔法が纒わり付くアッシュハウンドを吹き飛ばす。
「ユータさん、大丈夫ですか!?」
「あぁ、リーンさんきゅーな!」
もう一匹の方は襲ってこなかった。
自由になったのでアリムの近くに寄り、狼が飛ばされた方の様子を窺う。
茂みから低い唸り声を上げて飛ばされた一匹が出てくる。
「.........っ!!」
「寄ってこないですね.........」
リーンの魔法を警戒しているのだろう、狼達は一定の距離を保ってこちらを威嚇している。こちらを窺うその眼からはリーンに対する憤怒の炎を滾らせている。
「そんな、僕の風魔法が効いてないなんて!!」
リーンは低級の迷宮で自分の魔法が防がれたことが信じられないといったような状態だ。もちろんそんな状態の彼が先程までのような警戒をしているはずがない。
「リーン!!よっぽど自信があったのかも知んないけど、集中しろよっ!と」
リーンの動揺を察したのか狼から五発程の火球が放たれる。
ユウタは回避能力の低いアリムを担いで横に避ける、リーンも体を捻ってなんとか避けていた。
お返しとばかりに狼達にアリムが牽制の《水球》を叩き込んだ。
「火属性か、獣型が魔法を使うなんて...」
「まぁ、ワンちゃんは頭がいいですからね、使えても不思議じゃないですよ.........」
(いやいやアリムさんや、普通のワンころは魔法なんて使えないk......いや、どうなんだろ?)
アリムの少々天然な発言に思わず心の中で突っ込んでしまう。だが、そもそも魔法自体が普通ではない世界出身のユウタの常識である、この世界では知能が高い者が魔法を使うのは当たり前なのかもしれないと思い直した。
「しかし、見たところ魔法は直撃したのに跛すら引いてないですから、第三位階の付与魔法でも使ったんですかね?」
〇犬も言っていたがやっぱり異能という物には相性があるらしい。アリムとリーンは攻略法を考え始めた。
いやいや、君達、戦闘中なんだけど.........
(そう言えばレフィーから借りているナイフには水属性の魔力が付与されてるんだったか.........)
何となくナイフを握り直した時、そんなことを思い出した。
相手が火属性だとすると相性はいいので多少の無理も通るかもしれない。というか、村にいる時はあまり気にしないようにしていたが、犬が軽くトラウマになっているようで手早く済ませたい気持ちが強い。
「リーン、アリム考えてる所悪いんだけどサクッと終わらせてきていいか?」
「あ、はい?」
「..............................。」
アリムは考える事に夢中なようでリーンからの返事だけが帰ってきた.........理解はしてないようだが。
一応、承諾は得た。
ナイフを握り狼たちの方へ足を進める。
体の大きい個体はそれに合わせ動き始めた。
後ろに控えるは先程リーンに吹き飛ばされた個体、二,三度吠えると火の粉が大きい個体に飛ぶ。
付与術だろうか?爪や牙に炎を纏い地獄の番犬さながらの見た目になった。
火でも吐くんじゃなかろうか.........。
さて、ユウタのスキル的にも狙うは急所である、人類や動物、迷宮外の魔物は他からの糧が生きるための条件になる為、出血などは生命力の枯渇、即ち死に繋がる。
それに対し、迷宮の魔物は迷宮に満たされている魔素が肉体を構成されており、またエネルギー源となっている。その為、本来の生物のそれと同じように、出血で死ぬ事は無い。
要は、弱点だらけの本来の生物と違って、ダメージが与えづらいという事である。
実際、ユウタが狼を倒すには、胸部周辺にある核を壊すか首を刈り取り、核への魔素の供給を断つしかない。
そして、これはユウタの初陣(冒険者になってからの)である、出来るだけ目立つような勝ち方がしたい。
難度的に言えば、胸部に潜り込まないといけないため、核破壊が圧倒的に難しいが、派手さを取るならば一撃で切断する必要があるので、首を切る方が相応しいだろう。
という訳で、サクッと終わらすと大見栄を張った手前、出来なかったでは格好もつかない、確実に首を刈り取るためにバフを掛ける。《ハイド》の魔法だが、今のMPでは4回が限界だった。
それでも体は格段に軽く感じるし、魔法を使う個体は狙いが付かないのか滅茶苦茶な所に火球を放っている。
何発か掠る弾があり、非常に鬱陶しい。
地獄の番犬(笑)は匂いには気付いているようだが、何処にいるかは分からないようだ。
いや、目の前に居るんだがwww
(では早速っと)
軽く助走を付けてから、首に向けて短剣を振るうと豆腐のようにするりと刃が通り、血も噴き出さないほど綺麗な断面が現れた。
その勢いのまま、奥にいる魔法を使う個体の所まで行き、同じ様に首を切り落とした。
結局、属性だのなんだのはあまり関係なく、非常にあっさりとした戦いになってしまった。
「ふぅ.........終わったぞ」
「終わったって、おまえなぁ............」
振り向いて声をかけると今朝以上の呆れ顔で
ベルセルが小言を始めた。
やれ、あんなの余所でやるなだの、この世界の基準なんかを滾々と説明される。
ついでにあまり役に立ってていなかったアリムも説教タイム突入。
「分かったな.........うしっ!お疲れ様!!時間もいいし飯にするぞー!」
こうしてユウタの初陣は大勝利で幕を閉じたのた。
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戦闘終わり!
次から中域です。