第三項 [カイネ村]
ギルド行きます!
ベルセルに連れられてギルドに向かう道中、若い冒険者や明らかに子供の冒険者が多いのが気になった。
「なぁおっさん、ここ冒険者多くないか?
ガキんちょまで冒険者してるし...」
「そりゃお前、カイネ村はギルドの影響がデカい冒険者の村だからだ。村のあらゆる施設をギルド職員が運営しているから、比較的楽に取引が出来るし、何かあってもベテランの冒険者達が何とかしてくれるから安全。だから駆け出しの冒険者は皆、この村に集まる傾向があるんだ。冒険するならカイネ村から!!ってな」
「子供が冒険者してんのは、この村で生まれた子供は6歳になると冒険祭の時に任意で冒険者になれるからだな。まぁ、冒険者が多いこの村ならではの風習って事だ!」
なるほど、RPGでいうところの『始まりの村』ってやつか。
「おーい、着いたぞー」
そうこうしているうちに目的の場所に着いたらしい。何を言われるんだろう、面倒な事にならないといいけど...
「ハハハッ!そんなに心配そうな顔するなって、別にマスターもお前をとっちめてやろうって訳じゃないんだからよ!」
「そうならいいけどな...」
何も分からないままここまで来てしまったから、大丈夫だと言われても不安だ
ギルドに入るのも躊躇ってしまう
「とりあえず、ギルド入ったらポーカーフェイスでな。
あんましキョロキョロしてると万年ビギナー共にバカにされるからな。」
ベルセルはなにか嫌な思い出があるのだろう、苦虫を噛み潰した様な顔でビギナー達の嫌なところを力説してくる
長いし近いしウザイ...
「わかった、わかったから!早くギルドマスターんとこ行こう!呼ばれてたんだろ?」
「あぁ、そういやそうだったな。じゃあ入るか。おーい!アネット、連れてきたぞー!!」
「はい、ただいま。あ、ベルセルさん!お待ちしておりました〜。マスターに応接室に通すよう言われてますのでご案内しますね。」
受付の奥から受付嬢が出てきた。
「ほぅ...やっぱり受付嬢がキレイってテンプレは本当なんだな。」
「そんな、キレイだなんて...はずかしぃです〜」
しまった、声に出てたか。
しかしアネットがキレイなお嬢さんなのは本当で、清楚系の顔立ちにおっとりした性格はどうしてなかなか、
「うん、好みだ。」
「あぅ...」
また声に出てたか。
まぁ、恥じらって頭を抱える姿も実に良し。
「おい、アネット!早くマスターんとこ案内しろよ。またマスターにドヤされるぞ!」
「はひっ!?そ、そうですね、それではご案内します〜!」
ベルセルのお陰でアネットもリカバリーしたようなので、ようやく対面である。
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「よく来た。貴方のダンジョンからの生還、大変喜ばしく思う。私はカイネギルドマスターのディン・オルカ・ジャベクーリだ。よろしく。
さて、君には2つほど聞きたいことがあるのだが構わないね?」
「あ、はい。え?」いやいや、はえーよ!?
まだ入ってる途中だから腕しか部屋入ってないんだけど!? 何お前『なんだその返事は...』みたいな顔してんだよ!!
「フンッまぁいい本題に入るぞ
君の人相がギルドの迷宮帳簿に無かった。
君は誰だ?どこから来た?どうやってダンジョンに入ったんだ?」
定番の質問だな、名前は分かる記憶喪失設定で切り抜けるか…
「それが実は記憶が無くて、かろうじて自分の名前がユウタってことは分かるんですけど...」
「そうか...ユータ、ギルドには所属しているのか?所属していればこのようなカードを持っているはずだ。荷物を確認してくれ。」
ディンが取り出したのは銅のカードだ
勿論、俺が持っているはずが無いので、ポーチを確認する振りをして無いと伝えた。
「だとするとバックパッカーか、君には中層最深部発見及び、階層主討伐の報酬が与えられる。アネット!ユータのギルドカードを作って来てくれ。」
「はい。では、ユータさん着いてきてくださいね〜。」
話は終わりなようだ。そういえば救援を送ってくれたんだっけか、礼ぐらいは言うべきだろう。
「マスター、救援ありがとうございました。」
「礼には及ばん、君の仲間は助けられ無かった...」そう言うとディンは俯いてしまった
彼は案外良い人なのだろう、部屋を出る時にちらりと見えた表情はとてもやるせなさそうだった。
更新遅れてすいませんでした(汗)
尺を無理矢理伸ばすものではありませんね...
次話、ギルド入ります!
よろしくお願い致します。