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第二項 [異世界]

転生します!


気がつくと結構広めの部屋にいた。

確かに俺は屋上から跳んだはずなので、これは俗に言う『異世界転生』とかだと思う。


服も、いかにも初期装備というような麻布の服に外套を羽織る格好になっていた。


部屋には、窓がなく壁に取り付けられた石が淡い光を放っていた。

部屋全体を照らすには、少々心許ないが

目を凝らせば、周りを見渡すのには十分な位見える


「はぁ...何処だよここは…うわっ!?死体だ!?」周りには大量の死体が転がっていた。少しマヌケな反応をしてしまったけど別にビ、ビビってなんかないんだからね!(涙目)


ただ、これだけの人が死んでいるなんて只事では無いはずだ。日本人としては仏さんに手を出すのは、些か気が引けるが何も出来ずに死ぬよりはいいだろう。

死体からナイフとポーチを持っていく

ポーチには液体が入った瓶が4つ入っていた

恐らくポーションとかだろう


準備もそこそこ出来たので部屋から出ようとした時だった。


耳を澄ますと荒い息遣いが聞こえる

素早くナイフを抜き、振り返るとそこには

出口の前を陣取るように犬、もとい狼達が寝ていた。

「にぃしぃろぉはぁ...10匹か…」

たくさんいるなぁ...

他に通路が無いので外に出るなら狼達の横を通らなければいけない


そおっと、そおっと...あ、やべ

丁度、横を抜けるときに狼が尻尾を前に振った。無理だ、これは避けられない

案の定狼の尻尾を思いっきり踏んでしまった。

狼、怒る怒る

あっという間にもといた場所まで追いやられてしまった。狼達は、完全に起きてユウタを威嚇している。


「やるしかないか」

やらなければこっちがやられてしまう

折角の新しい生命を早々に無駄にする訳にはいけない。外套を脱ぎ、利き腕でない方の腕に巻き付けナイフを構えた。


しばらくすると、1匹が襲い掛かってきたので外套を巻いた腕に噛みつかせ、首筋の辺りにナイフを激しく突き立てる。

息がないことを確認したら次へ


次は左から、さっきと同じ手順で殺していく

今の所は戦えてはいるが、元々多勢に無勢、少しずつ動きも悪くなっていく

狼達も、馬鹿ではないようで多方向から同時に攻めてくるようになり、小さな傷が増えていた。


外套を巻いた腕で攻撃を防いではいるが無敵な訳ではない、時々外套を突き破って牙が突き刺さる、血も結構な量が出ていて目が霞む。


「はぁ...はぁ...ぐぅッ!!」

朦朧として出来た一瞬の隙に突進され、ナイフを落としてしまう。

そのままの勢いで床に叩きつけられる

もうダメだ...立ち上がる力はもう残っていなかった。

狼達はゆっくりとユウタに近づいている

それを地べたに這いつくばって見ている事しかできない


嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!死にたくない...まだ何もしてないのに、何故このような仕打ちを受けなくてはならないんだ!

死にたくない...死にたくない...死にたくない...死にたくない...

今死ねない...ここで死んでは意味が無い。


「こんなところで死んでたまるかああああああ!!」


気がつけば狼が目の前にいた

赤黒い口を開き、ユウタを食おうとしていた


が、そうはならなかった。

「大丈夫かい?」

そう狼の後ろから声がして

狼が真っ二つに切り裂かれた、そして割れた狼の間から鎧の男が手を差し伸べていた


「おーい!生存者がいたぞー!」

男が出口に向かって怒鳴ると大勢の人が駆けつけて、ユウタの治療や狼と死体の回収をし始めた。

人間を見て安心したのだろう、急に意識が遠のいていった。


--------------------


「知らない天井...俺、生きてる?」

腕や身体の傷は完璧に塞がっている。

腕に若干の痺れがあるものの、動かすのに支障が出るほどでは無いので大丈夫だろう。


「あー、ちょっといいか?」

しばらくして、鎧の男が尋ねてきた。


「俺の名前はベルセル、ここ、カイネ村で冒険者をしている、ランクはBだ。よろしくなっ! 復活早々で悪いんだが、ギルド長からお前を呼んでくるように言われてるんだ。

着いてきてくれるか?」


何の話だろうか…?まぁ何の話であれ、生命を助けてもらった礼ぐらいは言うべきだろう。ベルセルに外で待っていて貰らえるように伝え、軽く身支度を済ませてポーチを背負い部屋を出る。







戦闘シーン、もうちと尺作れる様に頑張ります...

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