EdelWeissの軌跡01
この物語は、空の箱庭(シエルガーデン)という世界を舞台にした、異世界転生物です。
箱庭は天動説を使った世界です。現実世界(地動説)ごめんなさい。
また、現実に当たり前のようにある物がなかったり、変なものがあったりいたり、名前が違ったりします。
異世界物あるあるですが、苦手な方は逃走の準備をしてください。
主人公は召喚師シャモ。
彼女は何度も転生を繰り返してはいますが、記憶の大部分をとある存在によって隠されています。
隠されているだけなので、ふとした拍子に思い出したり出来ますし、誰かによって思い出させられたりします。初期設定です。
行き詰った時に突如思い出したりするので、ご都合主義っぽく感じるかもしれません。
その通りです。
主人公に優しい展開、また逆に厳しい展開が苦手な方は、逃走の準備をしてください。
無理しないで。
逆ハーレムといいつつ、結構な数の相手に敵対行動とられますが、逆ハーレムですので安心してください。
EdelWeissの軌跡は、本編開始前です。
ほぼ主人公以外誰も出てこない為、会話が出来ません……、
実に読みにくいですが、本編に入ればちゃんと出てきます。大丈夫です。ぼっちじゃないです。
―――ふと、気がつけば。
私は六方を蒼に囲まれた異空間に立っていた。
足元には淡く光を放つ道。それはまっすぐに前方へ伸びていて、私は“いつもどおりに”歩き始める。
光の帯から外れないように慎重に、でも外れることなどないと理解している故に無造作に。
ただただ蒼い空間で、光に沿って歩むだけの作業。
他に出来ることと言えば思考を巡らせるだけ。この状況は間違いなく鬱になる。
しかしそれでも私が平静でいられるのは、これが初めてではないからだ。
一番初めにこの場所に居た時は酷く困惑したものだが、今となっては随分と慣れてしまった。
この場所の意味を知っている身としては、慣れてはいけないとも思うのだけれど。
何度目になるのだろうか、この光の道を歩むのは。
少なくとも、片手の指では足りないくらい。下手をしたら両手の指でも足りないかもしれない。
……それほどの回数、“私”という存在は“死”んだのだ。
それも、病気や事故、老衰などの一般的な死に方ではない方法で。
残念ながら、といっていいのかは分からないが、肝心の死んだ状況について私は覚えていない。
普通ではない理由で死亡した、その事実は何故か知っているが、詳細はまるで誰かに隠されたかのように思い出せないのだ。
思い出そうとしても思い出せない。もどかしいが仕方ない。
視界を後方に向ける。正確には歩んできた道にだが、いつもどおりそこには何もなかった。
確かにあったはずの、光の道が消えている。これは最初は気付かなかったが、幾度目かで気付いたこと。
進む道は偶に幾つかにわかれることがあるのだが、選んだ道を進むと他の道は消える。それは一本道でも同じだった。
消えたほうに興味を引かれることもあったが、不思議と“そちらには進めない”と理解していた。
今の私は、この光の道以外では霧散してしまうのだと。蒼い空間は私を蝕むことはないのだけれど、存在を保たせる効果はないのだと。
何故そんなことを知っているのかは全く分からないが、それは私の中で当たり前のように常識として記録されていた。
視界を前方に戻す。
そうして、ただ光の道を歩み、岐路を選択し続ける。
周りが蒼だけの上に道が消えるので、幾つの選択を成したのか、どれほど進んだかも分からなくなった頃。
ようやく、意識が解けていく。
―――私が、消えるのだ。しかし恐れない。
これは、またこの蒼の世界に来るまでは忘れてしまう事だが、私がまた何処かで生まれる前兆だから。
私は最後に、ただ願う。
次の私が、幸せに死ぬことを。今度こそは、この蒼の世界に招かれる事がないようにと。
同時に、またこの世界に来れるようにとも。
矛盾しているが、どちらも私の本心からの願いだ。
しかし本当に叶うなら、また“彼”に会えるように願いたい。
この蒼の世界を生み出し、私が死ぬたびに身を削り想いを砕き、私が幸せに生きれるように模索し続けている彼に。
最初の私が愛した彼に、伝えたいことがあるのだ。
それは私が、幾度死んでも消えない想いで、伝えたい言葉だった。
次の私がどうか、それを彼に伝えられますように―――。
意識が白み、身体が解ける。
私という存在が光の粒子となって、何処かに流れていく。いつもここで、私の意識は完全に途絶えてしまうのだ。
この先に、彼が居ると感じているのに……。