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ココト村バザー

今日は、とても気温が高くジリジリと太陽が照りつけている。

アイリは、ボナム地方を抜けてペッタ地方のココト村へ来ていた。


「ふむふむ。ペッタ地方名物のバニラアイスクリーム。

 ペタっとした食感がクセになる・・・かぁ。」


もらった観光ガイドを広げ読みながら歩いているアイリ。


「暑いなぁ。ちょっと涼んでいこうかなぁ。」


アイリは適当にアイスクリームを売ってるカフェに入る事にした。



水色の外壁のかわいい建物。

扉にガラスのベルがついていて、アイリが戸を開けるとチリンッと音がした。


席に案内されるアイリ。


「いらっしゃいませ。ご注文は?」


「うーんと・・・。抹茶パフェ!!」



しばらくしてキレイな緑色の抹茶アイスが乗ったパフェが運ばれてきた。

だが、アイリは見向きもしないで観光ガイドを読んでいた。


「今日は近くでバザーをやっているんですか?」

アイリは運んできた店員に尋ねる。


「ええ、一般人向けの食品から勇者向けの装備なんかまで

 いろいろ集まってるみたいですよ。」

それだけ言うと店員は、さっさと行ってしまった。



「ふーん。なんか面白い物あるかなぁ。

 せっかくだしちょっと見ていこうっと♪」

アイリは、そう独り言をつぶやくと抹茶アイスと横に添えられた小豆を

グチャグチャに混ぜ始めた。






「ココト村バザー」と書かれた旗。

黄色地に赤い文字でココト村、青い文字でバザー、とある。


アイリはそれの前で立ち止まってどこから見ようか少し考えた。

そして入り口から時計回りに見ていく事にした。



ここは普段はちょっとした広場になっているようだ。

思っていたより沢山の店があり全部じっくり見ていたら

日が暮れてしまいそうだった。


ざーっと、あまり時間をかけずに見ていくアイリ。



「魔王だ!!魔王が来たぞ!!」

突然誰かが叫んだ。


一斉に声がした方向を皆が見る。

白い馬のような魔物が立っていた。


「きゃー!」「逃げろー!」

慌てる人々を尻目にアイリは、その魔物に一歩一歩近づいて行く。



「えーっと・・・誰?」

アイリは聞いてみた。


今日は朝からラジオをチェックしていなかったので

どこから来たどんな魔王なのか見当がつかなかったのだ。


「我はハルマスなり。ピコノ地方から来た。」

白い馬の魔物は答えた。


ふーっと息を吐いてからアイリは言う。

「みんなが楽しんでるのに邪魔しに来るなんて!!」



「邪魔などしていない。見学しに来ただけである。」

ブヒンッと鼻息を荒くしてハルマスは言った。


「それが邪魔だって言ってるの!!」

アイリも眉間にシワが寄る。


「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

睨み合うアイリとハルマス。


ハルマスが脚で地面を一蹴りした。

光輝くハルマスそっくりの幻影が何体か地面から出てきた。



アイリはカバンを開けた。

そしてフライ返しとまな板を取り出した。


ざわつく野次馬。


「レッツクッキング!」

アイリは野次馬に負けない大きな声で叫んだ。



ものすごい勢いでハルマスの幻影が突っ込んで来るのを

ひらりひらりとかわすアイリ。


全ての幻影を難なく避けてしまった。


「なかなかやるな。」

ハルマスが地面をまた蹴ろうと脚を上げた。



「えーい!!」

まな板を滑らせるように投げるアイリ。


丁度ハルマスの脚が降りた場所に、まな板が挟まり幻影召喚に失敗した。


「なに!?」

動揺するハルマス。


「よーし!マッチャコウチャリョクチャノチャ!!!」

アイリが叫びながらフライ返しでハルマスのおでこを思いっきり叩いた。


「ブヒン・・・ブヒン・・・・・・。」

ふらふらになって、そのまま後ろに倒れるハルマス。


アイリの勝利である。






「ツーツー ペッタ地方の情報をお伝えしていきます 」


「ツーツー まず1つ速報をお伝えしますね 」


「ツーツー ガストン地方からやって来た

 破壊のパティシエアイリさんが馬王を退治したそうです 」


「ツーツー 魔王ではなくう・ま・お・うです 」


「ツーツー 特に害もないので賞金は設定されていないのですよね? 」



ラジオを聞いて脱力感に襲われるアイリだった。

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