アイリの副業
(ちょっとアイリ、魔王退治ばっかりやってないでお菓子作り教室開いてよ。)
「お金・・・お金が無いんだよぉ・・・。」
(アイリねーさんの作る
マンドラゴラのはちみつ漬けを使ったケーキが食べたいよ~。)
「・・・マンドラゴラ・・・高い食材なのに・・・。むにゃむにゃ。」
アイリはベッドの中で寝言を言っている。
どうやら夢を見ているようだ。
アイリは今現在ダイン地方に滞在している。
魔王退治のために150ゴールドもかけ移動したが収穫なしに終わり
とりあえず一番近い場所の宿に泊まることにしたのであった。
自宅はガストン地方にあるので、そこまで帰るつもりではあるのだが
なんせ大赤字なので帰りは、なるべくお金をかけない計画である。
飛行船3時間で90ゴールド。船4時間で60ゴールド。
この移動方法は、他の賞金稼ぎに先を越されないための
最短時間コースだったのだ。帰りも同じコースにする必要は無い。
行きは急いでいたが帰りは、ゆっくり帰れば良い。
もともと料理教室も菓子の試食会も不定期で副業としてやっていることだから。
街の子供達は寂しがるかもしれないが。
そう、アイリの称号はパティシエだが、のんきに菓子作りをしていても
たいして儲からない。だから賞金稼ぎが本職。
地道に菓子作りをしていれば、こんな大赤字を出すことも無かったのだろうが。
朝になった。
「・・・・・・むにゃむにゃ。・・・・・・はっ!」
アイリは目覚めた。
そして部屋に備えつけてある机の上に広げてある地図の山をみた。
「はぁ。帰りたいけど帰りたくな~い!」
なるべく陸路で移動するつもりだから何日かかるのか見当がつかない。
とても長い旅になってしまいそうだ。
カバンの中から携帯ラジオとマシュマロを取り出した。
ラジオのスイッチを入れる。
「ツーツー・・・ダイン地方の今日の天気は・・・晴れのち曇り 」
マシュマロをつまむアイリ。
「ツーツー・・・魔王の出現情報は・・・今のところ無し 」
ここダイン地方にいても、することがないようだ。
アイリは寝間着から着替えることにした。
黒いタートルネックのトップスに綿地の茶色いボトム。
そしてコックコートを着る。
いつでも大体似たような格好をしている。
飛行船、船の上でもそんな格好をしているから
そこのシェフだと勘違いされることもしばしば。
でもあんまり気にしないアイリであった。
(ちなみにガストン地方内では、それなりの有名人なのでそういう事は無い)
「さぁ、今日も張り切って行くよ!」
アイリは元気に部屋を飛び出した。
今日はダイン地方からボナム地方へ移動するという目標をたてたアイリ。
ひたすら歩く。歩く。
不定期更新です。