武具召喚魔法
シドが眠って直ぐの頃ルオはマスターに呼ばれ、司書室に来ていた。
コンコン、とノックして司書室の扉を開けた。
「失礼しまーす!」
「おお、来たか。どうじゃ?シドの様子は」
「今は私の部屋で眠っています。相当魔力を消費したみたいで……で、突然どうしたんです?こんなところに…」
司書室というだけあってギルドへの依頼書、魔法や剣術に関する本が山のように積まれている。
マスターが積まれた本の中から二冊の本を手に取った。一冊は魔力向上指南の本だ。恐らくシドに読ませるためだろう。
そしてもう一冊は━━━━
「その古い本は?」
「これは……『禁術の書』。この世界に封印された古の魔法の詳細が示されておる。」
「でも、何故それを?」
「…先程、インフェルノを撃ったシドの手を見てみたんじゃが……」
その言葉を言ったマスターの顔色が曇る。
「え…どうしたんですか?シドに何かあったんですか?」
何かを決心したかのように、その言葉を私に告げた。
「……『零の魔刻』がシドの左の掌に刻まれておった」
マスターは言葉を一度切り、禁術の書を開いた。
開いたページは勿論、『零の魔刻』。そのページには零の魔刻を生み出した人物『リアム』の詳細、
書にはこう示されている。
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━━━古き時代。まだ『魔法』が『魔術』と呼ばれていたときだ。
とある村に、『リアム』という若き魔術師がいた。しかしリアムは親族や住人、更には親からも忌み、嫌われていた。その理由は、彼が人間ではないからだ。
両親は黒髪なのに、二人の間に生まれた彼は白髪。
誰がどう考えても、おかしいことだ。
ある日リアムは村の住人、親族からの視線、声がイヤになり、村を逃げ出した。彼が16の時だ。
逃げ出したどり着いた地は━━━エルフ族が住まう地だった。16の彼がたどり着いた理由。それは、まだ地と地の境界線が無かったのだ。人の地に一番近かったのも理由として当てはまる。
息絶え絶えでたどり着いた。このとき、少年は餓死寸前だった。そんな彼を助けたのはエルフの少女『リナ』だった。リナはリアムのよりも優秀な魔術師であり、また彼女もエルフの忌み子。銀色の髪はエルフにとって危害を意味した。この出会いをきっかけに二人は恋に落ち、愛し合った。
二人が出会って10年の月日が流れた。
二人は優秀な魔術師がとなっていた。この二人が『魔術』を『魔法』という新しい呼び名に変えた。
それと同時に数々の魔法と魔法道具を生み出した。
勿論、その中にも失敗作はある。これを『禁術』と人は呼ぶ。その一中のつが、『零の魔刻』。
それはいつの間にか体のどこかに刻まれる。
零の魔刻という呼び名はリアム自身が造り出したものである。
別名:武具召喚魔術 召喚刻
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「……というのが、零の魔刻の真実じゃ」
「ん~…なんか分かんないけど取り敢えずわかった!」
「お主は相変わらずじゃな……」
「ところで、いつ魔刻の事をシドに伝えるつもりですか?」
「後々伝えるとしようかの…と思ったんじゃが、お前さん、どうせシドに会いに行くじゃろ?」
「ど、どうせって…」
さすがマスターだ。なんでもお見通しのようだ。
「ついでに、軽く説明しておいてくれんか?」
「まあ、良いですけど…」
「それじゃ、頼んだぞ。儂は暫く、ギルドを空けるからの。何かあれば…そうじゃな……『ミカド』に言っといてくれ」
「ええ!?私、ミカドさん苦手なのに…」
「つべこべいうな!アイツはああ見えてしっかりしとる!」
「はーい。りょーかいでーす。失礼しました~」
私は司書室を出て、シドの寝ている自分の部屋に向かった。




