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ことわざ探偵シグの返報性  作者: 穴開き靴下
恭平の世界
4/4

1-3 希望的観測

 気付いたら朝で、部屋の掃除なんかしていないなかった。

 18歳で家を出て行けと言われたけれど、僕の行動も意識も変わらなかった。脅しだろうと自己解釈していた。

 姉の皐月は朝になって帰ってきた。

 別に何の理由もないのに会話をするような仲ではない。寧ろ姉ちゃんは、人と会うことすら嫌というような雰囲気を出していた。そんな僕らは視線は合っても言葉を交わすことはない。合コンはうまくいかなかったようだ。合コンかどうかは知らないが。

 朝になるまでオンラインゲームをしていた俺は結局いつもの日常に戻る。

 人は変わろうと思っても早々簡単に変われるものではない。

 僕の家族は相当なものの積み重ねで変わってしまったのだろう。

「……ねむっ」

 朝は嫌いだ。家族が目を覚まし、忙しそうに通勤、通学の準備をする。扉の向こうから聞こえるそれらの音は、お前は逃げたんだと僕を罵っているようだった。

 PCの電源を落とす。キーボードにはいくつか焦げた様子が見て取れる。

 ベッドにその身を託す。シーツのところどころが燃えて穴が開いている。

 なんもかんもこの能力のせいだ。

 爪から火を出すだけで、使えない能力。

 アニメの世界でこういう特殊能力を持つ者は大抵主人公で、ヒーローだ。

 でも、現実は残酷で、神様は愚かだ。

 僕は選ばれたというのに、その能力に悩まされ、私生活に支障をきたし、落ちぶれた。

 全部、この能力のせいなんだ。

 こんなものいらない。

 僕は一般人であれば、まともであれただろう。

 戯言だと言われようとも、僕は本気で信じている。本気で思っている。

 瞼が重くなる。

 起きたら昼になっているだろう。

 そしたら、冷蔵庫にある母さんが用意してくれたご飯を食べて、ゲームして寝る。


 目が覚めたら、この特殊能力なんてなくなってしまえばいいのに。そして、僕は朝起きて毎日学校に通う生徒になってくれていたらいいな。


 おやすみ。




 

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