デート
「バルカ!あっちに美味しい匂いをさせた屋台があるよ!行こう!?」
「バルカくん、あの果物美味しそうだね!一緒に食べよう!?」
いや、君ら意見バラバラすぎね?仲悪いの?親友じゃなかったっけ?
俺は今2人の幼女(同級生)を侍らせ市場を見て回っている。
正直もう帰りたい。
何故、こうなったか語ろう。リア充死ねと思った人・・・大正解だと思います。
俺は今王都ノクティスから馬車で12時間でこれる第2都市【城塞都市ノイン】の市場に来ている。産まれ育った第二の故郷だ。
丘の上に建設され高さ25メートル近い石壁に守られ3階層に別れた難攻不落と呼ばれる城塞都市だ。1階層は農業と住宅街が広がっている。2階層は工業区と商業区があり3階層が兵舎と貴族住居と高級住宅街がある。規模で言えば王都を超える。とはいえ王都はまだまだ拡大の一途を辿ってがいるけどね。
ちなみに2層までが外壁があり小さいけど池がある。ちょっとしたデートスポットになっている。その内行きたい場所だ。出来れば女の子と・・・。
ここに来たのは市場での掘り出し物の物色と書物の購入だ。本はやはり貴重だ高いのが辛いけど半ば趣味で買っている。大きく分けて3種類、専門書、魔道書、御伽噺や英雄伝などの所謂娯楽品だ。
狙うは専門書と魔道書だ。
基本的には自伝になるが結構参考になるので助かる。
今日は5日市で賑わっているので1冊は入手出来ると思っている。
ちなみに5日に1回大きな隊商が来て市場が賑わうから付いた通称だ。
余談ではあるがこの世界では月30日の12ヶ月で1年、時間は24時間で1日となる。覚えやすくて助かったけどここまで前世に近いと怖いと最初は思った。
知った翌日からは全く気にしてなかったけどな!
4季に関しては冬がない。何故か南に行けば雪が降る土地もあるみたいだけど。
その辺はやっぱ気にしない事にしている。気にしたら負けだ異世界だしね!
そして俺は馴染みの店に本を求め聞きまわっている。
ここ2ヶ月は5日に1回は顔を出しているし神童として知名度もあり快く教えてくれる。屋台のおっちゃんもサービスしてくれるしいい事尽くめだ。
特に串焼きの屋台ではタレで焼いたら美味そうだなって独り言をきっかけにタレのレシピ、砂糖醤油酒で作ったタレを教えた。焼き鳥の作り方だな。みりんがないけど!
砂糖が高くて失敗したらキツイぞー!とか最初嘆いたいたけど今では笑いが止まらないみたいだ。
今では知る人ぞ知る有名店だ!うん。大変結構です!!
ちょくちょく買ってるけど本来の倍にしてサービスしてくれている。
「お前のお陰で売り上げがすげー事になってるんだ。お前から金を貰っちゃ俺の誇りが許せねーっともんだ!」
と最初は言えば無料で提供だったけどなんとか説得して今の形に落ち着いた。
だってさ毎回無料だと目立つやん?
閑話休題
そうして何時ものお散歩コースを周っていたら散歩中のアンジェラ・ヒューイックに出会った。
愛称はアンジュで金髪碧眼でゆるふあウェーブが特徴の美少女だ。胸は要期待!
【ヒューイック商会】王族御用達の商会で商人ギルド古参の幹部を勤める名家だで子爵だ。
そう超が付くほどのお嬢様だ。お嬢様のテンプレに我侭、傲慢とかあるけどそうじゃない!ごきげんようが似合う完璧なお嬢様だ。ただしお転婆だったでござる。
「あ!やっぱり居た!バルカくんどうせ暇だろうし私も一緒に行ってもいいよね?!」
どうせ暇ですよー。つか拒否権ないんですねー知ってた知ってた。
「別にいいけど?でも本を探すから楽しくないと思うよ?いいの?」
「気にしないよ!あ、バルカ!手繋いでもいいかな?!ほ、ほら、逸れると大変だしぃッ!?」
おー!可愛いじゃないか!いいじゃないか!青春じゃなイカ!?
「別にいいよー?」
照れているのを悟らせないように何気ないふりをして彼女の手を取った。
「!!」
「ほら。いくよ~?」
くっそー可愛いな!YESロリ!全く幼女は最高だぜッ!
こうして一緒に市場や店舗を見みて回っていると。
お使い中のマイア、愛称マイとであった。
どうやら聞くにお使い帰りだったらしい。
「ふ~ん・・・」
「な、なんだよ・・・」
5歳でも冷たい目出来るんだねー女の子こえーわホント勘弁してつかーさい。
「べつに~?」
「・・・・・・。」
「アンジュちゃん何時からなのー?」
「えっ!?」
「・・・あっ!ち、違うわよ!ただの付き添い!そう!本探してるから・・・ほら私の家って商会だから!て、手伝ってあげてるんだってぶぅわぁっ!」
あ。噛んだ・・・。顔真っ赤じゃないですかやだー。
でも可愛い!可愛いは正義!はっきりわかんだね!
「そっ!まあいいわ。でバルカくん?」
「Sir, Yes, Sir!」
「なにそれ・・・」
「ハイ、ナンデショウ」
怖い・・・。銀髪のロシア風美少女だけど冷ややかな目が本当に怖いッス。
「わたしさーお使いも終わって暇なんだよねー?」
「!!?、一緒に見て回らないか!?マイが一緒に来てくれると嬉しいなー!アンジュもいいよね!?ね!!!?」
未だに真っ赤になっているアンジュに有無を言わせず許可を取り付ける俺実に必死である。
「あ・・・うん・・・。べ、別にいいわよ!?デ、デートと、とかってわ、わけじゃ無いんだしぃッ!?」
どんだけテンパってんのよ・・・可愛いからいいけどさ!
「じゃあお言葉に甘えさせて貰うわね♪」
満面の笑みで勝ち誇った顔でそう答えた。
計算づくか・・・口論になると勝てる気しねーな・・・。
「手・・・私も繋いでいいかな・・・?」
恥ずかしそうにして聞いてくるその姿に不覚にも萌えた。
ここで断る男は誰もいない、そう断言出来る!
「もちろんだよ!」
この即答に俺は後悔する事になる。
冷笑を浮かべるアンジュに戦慄を覚える俺がいた。
こうしてガッチリ手を繋ぎ引っ張り回され引きつった笑顔でYESマンになる俺がいた。