桜2〝**
ファーストフード喫茶アットホームの店内は相変わらず外見と同じような温かい喫茶店という雰囲気になっていた。ちなみに、店内は入って左側にカウンター席、右側にテーブル席という感じで配置になっている。
歩に呼ばれてテーブル席に行く途中、カウンター席の奥にここの白い髪をした綺麗な女性がコップを拭いていた。
「いらっしゃい」
綺麗な女性に笑顔でそう言われると、つい男としてニヤッとしまう。
──突然、握られていた手に相当な握力が掛かる。
「──いたっ痛い痛い痛い……痛いよ!? リ、リュアナ……?」
「だって、お店の綺麗な女の人に声かけられてニヤついていたんだもん」
「でも、だからって、痛い痛い痛い」
手をつないでいたリュアナは子供のように頬を膨らまして怒っていた。
そんな姿にかわいいと思いつつ、これ以上機嫌を損ねないように席へと誘導する。
「悪かったよ。でも、あれは男の性のようなものだから仕方ないっ!? ……いただだだ、ほんとごめん、まじでごめん、お願いだから、もう席につこうよ」
つい、余計なことを言ってまた握られてしまった。でも、なんで、俺はリュアナにこんなに強く握られているんだ?
「な、なぁリュアナ、俺がニャついただけでどうしてこんなに握ったんだ? 俺がニヤつこうがリュアナには関係ないと思うんだけど……」
俺の手を引っ張り、席へと行こうとしていたリュアナの体がビクッと震え足が止まった。
「えーと、それは……うぅー……」
「──嫉妬?」
自然と思い浮かんだ言葉を口に出してしまい……。
「ちっ、違うから!!!!!」
リュアナの何かが爆発したのかおもいっきり手を握られた。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!」
手が解放され、握られて真っ赤になった手を慌てて擦る。もう一体なんなんだ?
文句のひとつでも言ってやろうとリュアナを見ると、顔が俺の握られた手のように赤く染まっていた。
あれー……もしかして、俺に気があるんじゃ。なんて、あるはずもない期待に思考を巡らすと、
「それも、絶対に違うから!!!」
「えっ!?」
リュアナの顔を更に一層赤くなり……なんて事よりも、なんで今俺の思ったことがリュアナにわかったんだ?
「えーとリュアナ、今のは?」
「えっ? あ……」
少し落ち着いたリュアナは自分が何をしたのかわかったようだ。この反応を見る限り力ちからを使ったのは間違いないだろう。
心が見えるってだけなのにここまで正確に当てられてしまえば変なことは考えるもんじゃないな。
落ち着いたリュアナはキョロキョロと見回した。
どうやら迷惑を掛けたお客さんがいないか確認しているようで、お客が自分たち以外にいないことを確認すると、安堵の息を吐いた。
「すっ、すいません。私達、店内で騒いでしまい。反省しています」
白髪の女性に頭を下げているリュアナを見て、遅れて気がつく。
騒いだのはリュアナだけじゃなく、俺もその一人だ。
リュアナに見習い俺も遅れて頭を下げる。
「本当にすいませんでした。人目があるところでこんなにも騒いでしまい……本当にすいませんでした」
必死に頭を下げて、謝る。怒鳴られても、追い出されても仕方ないな。
しかし、かけられた言葉は以外なものだった。
「君たちは本当に面白いね」
笑っているような声。驚きを隠せず顔を上げる。それはリュアナも同じようでキョトンとしていた。
「それでいて素直だ。うん、決めた。この子達なら……」
「あの~」
置いてきぼりにされている気に耐えられず声を漏らす。
「ああ、ごめんね。こっちの話だから気にしないで、それで、なぜ怒らないのかって思っているんだよね」
「はい……」
「正直に言うと、オープンしたてのこの店にあまり人が来ていないからかな。もちろん人が少ないといっても許されるわけではない。でも、私はこれぐらいの君達のような学生の騒がしさはこの店に欲しいと思っている。だから、今の私には怒ることはしないし、出ていけとも言わない。その代わり罰を与えようと思うんだ」
「罰……ですか?」
心配そうにリュアナが呟く。その姿に白髪の女性も慌てて訂正を加える。
「大丈夫、君が心配するような身体的な罰じゃないよ。でも、身体的な罰にはなるのかな? 二人は1ヶ月、私のこの店にバイトとして働いてもらおうと思ってる」
「「えっ、え~!?」」
テーブルに座っていた詩織達まで驚きの声をあげていた。
「まあ、詳しいことは明日ちゃんと話すことにして……あっ、そうだ。一応、バイト扱いだから、給料も出るからね」
「えっ、それって本当ですか?」
もしそれが本当なら願ったり叶ったりだ。
「ああ、もちろん。働いたら働いた分だけ、報酬は貰えるのは当然のことだよ」
「ありがとうございます」
「おやおや、罰のつもりが裏目になってしまったかな。まあ、別にそれはそれでいいんだけど、君はどうかな?」
「はい、私も一度は経験しておきたかったので」
「うんうん、やっぱり素直でいいね。でも、まあ、今日はお客様という扱いだから、もう、席に戻ってくれて構わないよ」
「はい」
歩達のいる席に着くと、みんなニヤニヤした顔つきで俺達を迎えた。
「あのさあ……」
「はいはい、二人はこっちこっち」
歩に言われ、誘導されるまま俺とリュアナは隣に並ぶように座らされた。
俺達の姿をみて、またみんなの顔がニヤつく。
……気まずい。すごく気まずい。
この状況に耐えられず声を出す。
「あのー、そろそろオーダー……」
「それにしても、あんなにも想真くんとリュアナが仲良くなってたなんて知らなかったわ。もしかして、最初に会った時の嘘は本当なのかしら?」
セリアさん、まさかのスルー!?
「ちっ、違うよセリア姉!!! あ、あれは嘘だよ」
リュアナの顔は真っ赤。落ち着きなんてどこへやらといった感じにアワアワしている。
「ん~、アワアワしているリュアナちゃんも、かわいいな~」
そこは静香さんと、同意見だ。
「もー、なんで想真くんと歩くんも頷いてるのよ!」
「なんでそんなにリュアナは焦ってるのよ?」
小宵が息を吐くと落ち着いた声で訊ねる。
「な、なんでって……」
なぜか、俺の顔を見上げるように見た。その瞬間、ボッと赤くなる。
「あっ、今、想真くんを見てリュアナちゃんが赤くなった~」
リュアナの隣の席の詩織はリュアナの顔を覗くように見ていた。
「なに自滅してるのよ……」
「──」
もう恥ずかしくて我慢できなくなったのか、隣にいた俺の太ももにリュアナは顔を隠すように埋めた。
「ちょっと待って、リュアナ!?」
「~~~~」
徐々に疑惑が真実へと……って、あれ? ズボンに湿った感じが……。
「リュアナちゃんて想真くんにベッタリだったもんね~」
「そうそう、登校中にね~」
「あの~みなさん、そろそろこの辺にしないとリュアナが……」
俺の一言にみんなが悟り、からかうようなことは言わなくなったのだが俺の太ももは完全に濡れていた。
~*****~
「コーヒー5つ、カフェオレが2つ、あとハンバーガーが7つですね」
「はい、お願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
白髪の女性が注文を受けてカウンターへと戻っていく。
あれから、リュアナは謝罪の言葉や励ましの言葉を受けて、立ち直り、わいわいとやっている。
「しかし、本当にハンバーガーがあるなんて思わなかった……」
「だから、書いてあった通りここは、一応、ファーストフード店なんだよ」
「そうなんだよな~」
メニューを開くと、Food と書かれたところにハンバーガーとかポテトなど、ファーストフードのチェーン店と同じようなメニューが載っている。
でも、一番上にDrinkと書かれたところを見ると、どうしてもここがファーストフード店とは思えない。
「まあ、考えても仕方ないけど……」
リュアナを横目に見ると、リュアナがそわそわしながら、注文を待ち望んでいる。
「そういえばリュアナ、一度もこういう店に来たことがないんだったな」
「うん、一回もないよ」
自分でこういう店って言ったけど、ファーストフード店か喫茶店のハーフは俺も初めてだった。
「リュアナはあまり外の店に連れて行かなかったからね~、特にファーストフード店なんかは、体に悪いから行かしたことがなかったのよ……」
そう、セリアさんは付け加えた。
「あれ、じゃあセリアさんも初めてですか?」
「いいえ、私は静華に連れて来られたことが何回かあったから、初めてじゃないわよ」
静華さんなら、よくここに来てそうだ。
「そうそう、セリアも初めて連れてきた時は、今のリュアナちゃんに似てそわそわしていたよ」
血はつながっていなくても、そこはやっぱり姉妹なんだなぁ。
「そうだ。この中で誰か生徒会に入って見ようかなって人いないだろうか?」
「生徒会がどうかしたんですか?」
「ちょっとね……」
セリアさんが少し困った顔をして、静華さんに目で何かを確認するように見ると静華さんは頷き、そしてセリアさんが話しはじめた。
「実はね、今年の生徒会の人数が足りていないのよ。それで出来れば入ってくれないかな~と思ってね聞いてみたの」
今は生徒会の人数が少ないのか、だから静華さんに役員が三つもあるのか。
「それで、誰か生徒会に入ってくれないかな?」
その言葉に、みんながうーんと考えはじめる。
それを見たセリアさんは焦ったように手を降った。
「無理に入らなくていいからね、入りたいって人がいれば聞きたかっただけだから」
「そうは言ってもセリア、正直このままだとまずいと思うぞ、あいつらがそろそろ動き出す頃だし人数がやはり必要だ」
「静華さん、あいつらって誰のことなんです?」
「なんだあいつらのことを知らないのか?」
静香さんは不意をつかれたように目を見開いて驚いていた。
「仕方がないよ静華、想真くん達はこの学校に入って少ししか経ってないのだから」
それもそうかと、うんうんと納得する。
「まだ、何も行事はないからな仕方がないか……。あいつらって言うのは、学園思い出作成クラブの奴らなんだ。もちろん非公式だぞ。その中でも若竹 騒次が中心となってクラブの実権を握って行事ごとにはいろいろと問題を起こすのだ」
なんか、そんな危険なことをしなさそうなクラブ名だ。以外と楽しいんじゃ……。
「想真、歩、先に言っておくが絶対に入ってはいけないからな。特に歩!」
「はいっ!」
静華さんが歩をギロリと睨むと、すぐさま歩は背筋をビクッと振るわし答えた。
そして、今度は小宵の方を見ると、静華さんは申し訳なさそうに頼んだ。
「すまないが小宵ちゃん、歩は昔からよく問題を起こしてきたもんだから、騒次がスカウトしてくるはずだ。だから見張っておいてくれないだろうか」
歩は問題を起こす行動力があるから、スカウトされてもおかしくはないか。
「はい、わかりました。でも、なぜ私なんですか?」
「ああ、それは小宵ちゃんが歩と仲がいいと思ったからだけど……嫌だったか?」
「いっ、いや。別に嫌ではないです」
顔を赤くして、頭をぶんぶん振る。2つに結んだ髪が振り回され小宵の子供らしさが限りなく発揮される。
「かわいいな~」
「なっ、なにいってるんですか!? もう、そんな暖かい目で見ないで!」
顔を伏せた小宵もまた、一段と子供らしく可愛い。
「かわいいな~」
静香さんの感想に全員が頷き、賛同する。
「うー、あーもー。そうだ、静香先輩、話っ、話の続きをお願いします」
限界に達した小宵はなんとか元の話に戻そうと頑張ろうとするが静香さんはしつこく話を追及しようとする。
「いや、私はもう少し小宵ちゃんの──」
「先輩!」
「うっ、うん、わかった……」
小宵が静香さんを言い負かした! ああ、歩の目が死んだ。
「そ、それでだ。彼らを抑えるために人が必要なんだ」
「抑えるってそこまで危険なことをするんですか?」
「ああ、奴らのやることは派手なんだ」
「そうねー例えば、去年のクリスマスパーティーには、学校の屋上に大きな星があったり、その最後には校庭に置かれた大きなクリスマスツリーを燃やしてキャンプファイヤーにしてみんなを踊らしたり。本当、印象が強くて思い出に焼き付いているわよ」
思っていた以上のことやってたよ!? デタラメじゃないか学園思い出作成部。
「あの、それってもはや学校に対するテロなんじゃ……」
「いや、テロなんて大層なものじゃないさ。いつも何かやるときは、最初に騒次が全校生徒に向けて起こすことの主旨を放送するんだ。そこで必ず、彼はいつも楽しんで欲しいと言っているんだ。彼らはただ楽しんで欲しいからやっているんだよ」
静香さんは信頼そう断定した。そこに指摘するように言ったのは歩だった。
「でも、それ結構危険なことだと思うんだけど。学校側はどうなの? 静香姉」
「ああ、お前に言われるのは変な感じがするが、あいつらの行為は危険なんだ。だから、学校としても私達生徒会としても被害が出る前に止めたいんだが……人手が足りなくてだな……お願いだ。手伝うだけでもいい、助けてはくれないだろうか?」
手伝うぐらいなら別に構わないか。
「それなら、俺、手伝いますよ」
「んじゃ、俺も」
乗りに乗ったように歩が手を挙げる。
「仕方ないわね。歩が手伝うって言うなら。私も手伝うわよ」
小宵はそう言ってつんと澄まし顔。その顔を見た詩織はニヤついた。
「も~小宵ちゃんは本当、素直じゃないね。あっ、セリアさん、静香さん。私も手伝います」
「もちろん私も手伝うよ、セリア姉」
「ありがとう、みんな……」
セリアさんは目に浮かばした涙を払うと、誰もが見惚れてしまう笑顔を振り撒く。
「良かったな、セリア」
「うん」
セリアさんの肩に手を置く静香さんと素直に頷くセリアさんを見ていると、友達の意味を再確認できるような気がした。
そんな時、歩はすまなそうに手を挙げた。
「あのー、すいません」
「どうした? 歩」
「その若竹 騒次って人について知りたいのですが、どういった人なんですか?」
静華さんは目を閉じて唸り始めた。
「うーん、一言で言うのは簡単だが……。そうだな、子供なんだよ。見た目も心も……」
「それはどういうことなんですか?」
珍しく、歩が深く追求する。何か引っ掛かることでもあるのだろうか。
「んーダメだ、うまく説明できない。セリア助けてくれ」
静香さんが投げ出すと、セリアさんは目をつぶり、箇条書きで言っていく。
「そうねー性格が子供っぽくて、逃げるのが上手くて、頭がずる賢くて、あとは……」
「みんなの笑顔が好きだよ」
「そうそう、みんなの笑顔が──?」
明らかに今の声はここにいる誰かのものではない。セリアさんも驚いたように目を開き、第三者の声の方へ顔を向ける。そこにいたのは日高高校の制服を着た、約150センチぐらいの小さな少年だった。
「こんにちは、いや、こんばんはかな?」
「若竹 騒次!?」
静香さんは席を立ち上がる。その姿を見た騒次は小さな手をブンブンと振った。
「違う。違うよ、静香さん」
「何が違うのですか?」
セリアさんが会長のスイッチが入ったようにさっきまでの柔らかな表情はなく、固い表情で鋭い視線を向けていた。
「セリアさんも怖いな~、さっきまでの朗らかな表情は好きなのに」
「答えになっていません。ちゃんと答えてください!」
セリアさんの顔が少し赤くなったのは気のせいだろうか?
そんな俺の思ったことを騒次も気づいていたみたいで……。
「今、ちょっと赤くなったでしょ」
「──っ!? いっ、いいから早く答えて、じゃないと怒るよ!」
さっきよりもわかるぐらいまで赤くなって、その恥ずかしさを誤魔化すようにセリアさんは怒鳴った。
「ごめんなさい。今のは僕がからかい過ぎたよ。だから、怒らないで」
騒次はショボンとして謝る。その姿は嘘をついているようには見えなくて、本当に少年が謝っているようにしか見えなかった。
「はぁー、わかったわ……。まだ、なにもしてないもんね」
ため息ついたセリアさんの口調はいつの間にか柔らかくなっている。
「うん。今日は挨拶しようと思って来ただけ」
「挨拶だと?」
静香さんが睨みながら問い正す。
「うん、そうだよ。一年生の歩くん、想真くん、詩織さん、小宵さん、リュアナさん、初めまして。私は学園思い出作成グラブ部長の若竹 騒次です。よろしくね」
なんでこいつは俺達の名前を知っているんだ?
名前を知っていることに疑問を抱いたのはここにいる全員だろう。なぜ、初めてあったはずの騒次が知っているのか。何のために俺達に挨拶をしてきたのか、すべてがなぞだ。
「それじゃあ目的も終わったことだし、かーえろ。それじゃあね静香さん、セリアさん、そして、一年生諸君♪」
騒次は満足気に背を向けて出口へと歩き出す。
「待って! なんで私達の名前を知ってるのよ?」
小宵はそれだけはなんとしても突き止めたいのか、早口で質問するが、
「秘密だよ♪」
と振り返ることもなく答えて、とことこと歩いていく。
カラカラカランと鳴るドアの音がなり、騒次が退出したことを知らせた。
「それにしても、本当になんで私達の名前知ってたんだろう?」
リュアナがみんなが思っている疑問を呟く。
本当にそれだ。それにいつから騒次がいたのか全くわからない、まさに神出鬼没だ。そもそも、なぜ俺達がここにいるのだとわかったのだ? 考えれば考えるほど疑問が尽きない。
それを悟ったセリアさんは手を二回ほどパンパンと叩いた。
「騒次くんのことを考えても仕方がないわ。あの子の考えていることは私にも半分しかわからないから」
セリアさんは騒次のこと半分もわかるの!? セリアさんは俺達よりも一回りも二回りも上のようで頭も良さそうだ。
そういえば来週テストだったような……とぼんやりと思い出したところでメニューが届いた。
「お待たせしました。ハンバーガーが7つ、コーヒーが5つ、カフェオレが2つとチョコレートケーキが1つです」
あれ? チョコレートケーキなんて頼んだか?
「ちょっと待ってください。チョコレートケーキは誰も頼んでいないと思うんですが……」
「これは先程お越しになったお客様が、そちらのお客様へといってご注文した商品です」
そして、チョコレートケーキはセリアさんの前へと置かれた。
では、ごゆっくりと白髪の女性が下がっていった。
「さすが、セリアだな~。あの騒次にもなつかれるなんて」
静香さんは尊敬すると見せかけてセリアさんををからかう。
「もう、そんなことないよ~」
セリアさん手を振り、可愛く否定する。
「もしかして、セリア姉。騒次くんと付き合ってるの?」
リュアナもさっきのお返しとでもいうようにニヤつきながら追い討ちをかけた。
「~~~~」
セリアさんの顔はさっきのリュアナのように赤くなって、顔をテーブルに伏せた。うんやっぱり血は繋がっていなくても姉妹だ。
顔を伏せたはずのセリアさんが俺の方をちらりと見て、また顔を伏せた。そんな、行動をセリアさんは数回繰り返す。
あれはきっと助けを求めている合図だろう。
「そろそろ食べましょう。冷えると美味しくないし」
「もう少しセリアをいじってやりたかったんだが、仕方ないな。せっかくのハンバーガーだ。美味しいうちに食べよう」
静香さんは諦め、まだ暖かさが残るハンバーガーへと気を移した。
セリアさんにもう少し仕返しをしてやりたい、もう一人にも声をかける。
「リュアナも」
「む~」
リュアナも唸りながらも、ハンバーガーを手に取った。
これでいいですか? とセリアさんを見ると手を合わせながら可愛い笑顔でありがとうと返事をしていた。
俺もハンバーガーを手に取り口に運ぶ。
一口食べると、口全体に芳醇な香りが広がり、香ばしいバンズに挟まれた、肉厚なパティとしゃきしゃきとした新鮮な野菜が特製ソースでうまくまとめられている。
「うん、おいしいっ!」
ここにいる誰もが美味と納得できる味だった。




