夢の棺に沈んだ、
やってしまった新連載。
自分で自分の首を絞めているのは理解している。
何も無い空間。
私は、ただ漂っている。
「…ぅ……っう゛ぅ……」
聞こえるのは、くぐもった子供の声。
聞こえてくる方向へと、私は振り向く。其処には、綺麗な黒髪の男の子が嗚咽を漏らしながら、蹲っていた。
あぁ、どうしたの? 悲しいことがあったの?
「ユリシス、私の可愛い弟。何か、つらい事があった?」
男の子――ユリシスに、私は話しかける。
すると、ユリシスはバッと顔をあげた。青がかった紫の瞳には、たっぷりの涙がたまっている。
あぁ、泣いているのね。
貴方には笑顔が一番似合うわ。だからどうか、泣き止んで。
「可愛いい、可愛いい私の弟。どうして泣いているの?」
ぎゅっと抱きしめて、優しく頭を撫でる。すると、ユリシスは私の胸に縋りついて、大声で泣いた。
うわごとのように、しきりに「ごめんなさい」と謝っている。
「つらい事があったのね」
「……めっ……なさ…」
ずっと謝るユリシスを、私はただ抱きしめ、撫でてやる。もう、今の私にはそれしか出来ないから。
「…ね…さんっ……ごめ……」
「うん」
「…姉さ…を…殺し……て…」
「うん」
「…めんな…さ…」
「うん」
恨んでないから、赦しているから。
今は、たくさん泣きなさい。
愛しているわ、ユリシス。
ふと、思い付いて書きたくなった乙女ゲームもの。
でも、一度も乙女ゲームをしたことのない作者は馬鹿。