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東川雷斗の仮面生活~はじまりの予感~

お待たせしました。第七話です(*^^*)


 放課後、夕日が射し込みオレンジ色に染まった学園で俺は誰もいない生徒会室を目指して歩く。



隣には、一週間前に学園に乗り込んできた暴走族を撃退してのけた不良の生徒。そう、俺はこれからこいつと話をするために生徒会室に向かっている。


どういうわけかこいつは俺の『仮面』の下の顔を知っているらしい。何故かは俺にも分からない。なので一応、話し合いをするために生徒会室を目指しているのだ。

もしこいつが脅しをかけてくるようなら、それ相応の対処をとるつもりだ。



 そんなことを考えながら歩いていると、程なくして生徒会室にたどり着いた。ここの生徒会室は、普段生徒が使っている教室棟ではなく別館にある。そのため放課後ともなれば、こちら側には滅多に生徒は来ないのだ。無論、生徒会がある時は役員の生徒がいるが今日は生徒会はない。


つまり、今この生徒会室には俺とこいつだけなのだ。


「わざわざごめんね。ここの方が話をしやすいかなと思ってさ」

俺は作り笑顔を見せながら、話しかけた。その生徒は特に返事をするわけでもなく、そばにあった椅子に腰かけた。


「それで……えーっと…」


十夜(とうや)だ。南島(みなじま) 十夜(とうや)

俺がどう呼ぶべきか言いあぐねていると、その生徒はぶっきらぼうに答えた。


「南島くんだね。そういえば自己紹介しとくべきだったね。僕は…」


「知ってるよ。東川雷斗。成績優秀、スポーツ万能、人望も厚い生徒会長さん。かくしてその実態は、ケンカが大好きな特攻服野郎だろ?」

そう言いながら南島は、挑発的な微笑みを浮かべ一気にまくし立ててきた。


「その事なんだけど、人違いなんじゃない? 僕は特攻服野郎なんかじゃないよ」

俺はなるべく挑発に乗らないように、落ち着いた口調で話を進めようとした。しかし、



「まだとぼけんのかよ?別に良いけどさ。 そんな態度だからそこら辺のヤンキー共にナメられんだよ。それとも、ケンカが好きとかほざきながらほんとはただの調子に乗ったチキン野郎だったか?」


「んだと…?」

南島 十夜の挑発を真に受けてしまい、とうとう俺は喧嘩腰な態度をとってしまった。かけていた眼鏡を外し、不良特有の睨みを利かせる。


「やっと本性表したか。そっちのが良いぜ♪」

そうおちゃらけながら、南島 十夜も怯むことなく俺を睨み返してくる。普通なら大概の人間はここらで引き下がってくれるのだが、どうやらこいつはそうじゃないらしい。


「どうした?やりあうんじゃねぇのか?」

そう言って南島 十夜は挑発を続ける。一般人と同じ学園の生徒には手を出すまいと思っていたが、今回は別だ。

ここまで言われて引き下がれば、ヤンキーの名が折れるってもんだ。


「……分かった。そこまで言うならぶっ飛ばしてやるよ!」

そう言いながら俺は近くの椅子を南島 十夜目掛けて蹴飛ばした。

南島 十夜はそいつをかわして、自分が座っていた椅子を同じく俺に向かって蹴飛ばしてくる。俺はスレスレでそれをかわす。

正面を向き直った次に視界に入ってきたのは南島 十夜の拳だった。


勢いをつけて振りかざされたその拳を俺は左頬に受けてしまう。

「ぐっ!」


しかし、すぐさま俺も握りしめた拳を南島 十夜の顔面に食らわせる。

「ぅぶっ!」


 そこからは一進一退の殴りあいだった。一撃ごとにダメージが蓄積されていく。

どれくらい時間がたったのか。もしくはそんなに時間はたってなかったのかもしれない。お互いにいつ倒れてもおかしくないほどボロボロになっていた。そんな中、この痛みと高揚感がやはり心地良いと俺は密かに感じていた。


勝負の方は、呆気なく幕切れを迎える。お互いダメージがピークに達したのか、最後に一発ずつ殴りあった直後二人とも膝をついてその場に倒れ込んだのだ。


「ハァハァハァ……」

誰もいない放課後の生徒会室に、息を荒げた男子生徒が二人倒れているという状態だった。


「ところで…何で俺のことを…?」

先に話しかけたのは俺だった。

その問いかけに対して、南島 十夜も息絶え絶えに答えてくる。


「だから……言ったろ?……俺はお前に会ったことあるんだよ…」

会ったことがある?俺はこいつのことなんかついさっきまで名前も知らなかったのに?


「勘違いじゃ……ないのか?」

俺は未だに信じられずに、南島 十夜に問いなおす。


「いや……お前が暴走族二人を倒したとき…会ってんだって……」

そこまで言って、南島 十夜は息を整えながら座りなおす。


「まだ分かんないか?」

少しガッカリした様子で、俺の顔を覗く。そして意を決したように息を大きく吸い込む。そして


「ちょっともう鈍すぎーー!」


ーーッ!?

俺は突然叫びだした南島 十夜に驚く。そんなことはお構いなしに、南島 十夜は変な口調で話を続ける。


「その顔は、まだわかってないわね?アンタあの時、風俗街に来たでしょー? それに暴走族二人を倒すときに協力してあげたじゃなーい!!」


暴走族二人?倒すときに協力?変なオカマ口調…

オカマ………



「……あの時のオカマ野郎!?」

俺はようやく思い出し、間の抜けた声をあげた。


「オカマにオカマ野郎なんて言うもんじゃないわよ?」

そう、俺がケンカをしに街へ出たとき。俺と暴走族二人に絡まれている西条が出会ったとき。しつこく俺に付きまとってきたあのオカマだった。


「あの時はカツラ被ってたからね~♪まあそれでも気付かないもんなのね」


「何でオカマが何でオカマが何でオカマが………」


「オカマオカマうるさいわよ!!」

オカマ(南島 十夜)に突っ込まれ我に帰る。


「しかし何で俺の正体を……?」


「あの程度の変装でバレないと思ってるの?変装のプロのオカマなめんじゃないわよ!」


そう言って、南島 十夜(オカマ)はドヤ顔をしてくる。

確かに、こいつの変装は見事なものだった。中性的な顔立ちにカツラを被り、ドレスを着こなし、化粧までしていたのだから。まあそれでも声質は男のそれと分かってしまうものなので、あの時もすぐに男だとは知っていたが…


「まさかうちの学園にオカマがいるとは……」

普通誰も予想しないであろう。

俺は唖然としつつも、ようやく冷静さを取り戻した。



「で、お互い正体がバレた訳だがどうするつもりだ?」

俺は南島 十夜に向けて質問をする。こいつはどうか分からないが、俺は自分の正体を他に晒すつもりはないのだ。


「別にどうもしないわよ。アタシだってバレるのは困るんだし…」

そう言って南島 十夜は少しうつ向く。この学園ではアルバイトを禁止しているわけではない。だか風俗店で働いているとなると話は別だ。

こいつの立場からしてみればそれが学園に知られるのはよろしくない。


「何でまた風俗店なんかで働いてんだ?」

俺は率直な自分の気持ちを問いかける。


「家庭の事情ってやつよ。お互い詮索されたくないものもあるでしょ?」

こいつの言うとおりだ。俺も自分の正体について色々と言われるのはあまり好きではない。

こいつも同じ『仮面生活』の持ち主なのだ。



「……分かった。まあこれからもいつも通りってことでいいな。」

俺はそう言い残し、生徒会室を後にした。




 学園からの帰り道、俺はひとり考え事をしていた。


不良という『仮面』をつけたオカマとお嬢様。

優等生という『仮面』をつけた不良。


普通にしていれば、お互い出会うこともなかったであろう。

だが巡り合わせなのか、奇妙なことに俺達は出会ってしまった。この出会いが残りの高校生活にどんな影響を与えるんだろう。なんてな、出来れば何事もなく過ごしていきたいもんだ。

俺はひとり、たそがれながら家路についた。






「んで、何でお前らが俺の家の前にいるんだ…」

家の前に着くと、そこにはオカマとお嬢様がいた。


「あ、東川さん♪」


「よう!帰る途中に伶以子ちゃんとバッタリ会ってな。ついでにお前んちを覗いてみようと思って♪」


「ついでってなんだよ!?なんで俺んち知ってんだ!!」


「だってあの日、後つけてたからな」


「私は南島さんに誘われて。それに土曜日にはお邪魔させてもらいますし…」

いつの間にお前らは仲良くなった……

俺は呆れてものも言えなかった。


「おやぁ?いつの間にそんな仲になったんだぁ?」


「ぐっ?と、とにかくお前らはさっさと帰れーー!!」

そう叫んで俺は二人を追い返す。


この出会いがまだほんの序章に過ぎないなんて、この時の俺は知らなかった。

ちょっとグダッてしまった気がする(-o-;)

もっと考えながら書かないとですね(;´д`)


感想、アドバイスなど待ってます♪


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