東川雷斗の仮面生活~終わりの始まり~
書いたのに更新してなかた(-o-;)
あの事件から約一週間。ちょうどあの時の生徒が明日で停学明けとなる日である。俺はあの事件の後、教師たちに事のあらすじを説明した。あぁ、もちろん俺が主犯なんて事は言ってない。嘘も方便ってやつだ。
適当に、ここ最近この付近で特攻服を着た人物が暴れている。それがどこの誰かは分からない。あの暴走族たちも、その特攻服の人物にやられたのでこの界隈の学校をしらみ潰しに回っていたそうだ。といった感じの事をそれらしく伝えた。 日頃の行いで築き上げてきたこの『仮面』によって、教師たちはすぐさま納得してくれた。
ちなみに西条 伶以子の方は、教師たちに言われもない噂などで説教を食らっていた。レディースの総長なのかとか、あの連中と敵対しているのかとか。まぁこれも日頃の行いで判断されているわけだ。あまり長くなるとボロが出そうなので、俺は適当に助け船を出し西条 伶以子と共に職員室を後にした。 元よりこいつも不良の『仮面』をつけているだけなのだ。
「あの事件から一週間がたちましたが、あれ以来特に目立った事件は発生していません。しかし、校外に出れば何があるか分かりませんので、引き続き生徒の皆さんは注意していきましょう」
俺は生徒会室で会議をしていた。他の生徒会役員たちも、俺が掲げた宣言に賛同している。しかし、いくら注意したところで特攻服野郎に絡まれることはない。だが、気を付けるには越したことはない。
あれ以来俺も少しケンカを控えているとはいえ、噂を聞き付けた他のヤンキーが街を徘徊しているというのを聞いたことがある。いつの間にやら俺こと特攻服野郎は、ヤンキー達の間で賞金首になっているらしい。
全くもって面倒になった。いっそのことヤンキー全員を殲滅してやろうか。
「東川会長?」
「え?あぁごめん。ちょっとボーッとしてた」
「大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「あ、いえ//」
どうやら考え事をしてる間に、会議は終了していたみたいだ。書記兼進行役の女生徒が心配そうにしていた。
「後は僕がしておくから、君は先に帰って良いよ」
「でも…」
「それにこれ以上遅くなると君まで危ない目に合うかもしれない。そうなったら嫌だからね」
「あ、分かりました// ではお先に失礼します♪」
そう言って女生徒は意気揚々と帰っていった。うーん、やっぱりモテるって悪くないな。
「なにニヤニヤしてるんですか?」
「うぉっ?!」
誰もいないと思っていた生徒会室に、西条 伶以子がいた。なんの前触れもなく現れんなよ。
「で、何の用だ?」
俺はニヤケ顔を元に戻し、素っ気なく訊ねる。
「あまり女心を弄ぶと痛い目見ますよ?」
「言い方悪いな!弄んでねぇよ!」
「…なら良いですけど」
西条 伶以子はそう言いながらジト目で俺を睨み付けてくる。
なんで?俺悪いことした?
「んで、改めて聞くが何の用だ」
とりあえずこの空気を脱する為に、俺は再度西条 伶以子に訊ねる。
「実は東川さんにお願いがあるんです。」
西条 伶以子は、何かを決意したような真剣な眼差しで俺を見つめてくる。一体何を頼まれるのだろうか。俺は少し不安を覚えつつ、西条 伶以子に聞き返す。
「お願い?」
「はい。実は……私に勉強を教えてほしいんです!!」
「……………勉強?」
俺は西条 伶以子の発した言葉が一瞬理解できなかった。
いや、正確には言葉の意味が分からなかったのではない。何故勉強を教えてと懇願したのかが分からなかったのだ。
「何で勉強を教えにゃならん?」
「だって、不良って勉強しないじゃないですか!? だから私も勉強してないんです。でも、先生から次赤点とったら留年って聞かされて… 留年すると両親に怒られちゃうし…」
そう言って西条 伶以子はうつ向いて涙目になってしまった。
「何て言うか…お前バカだな」
「だから勉強教えてほしいんですってば!!」
「あぁいや、そうじゃなくて…」
不器用だなって意味なんだが。
まあそれでも、こいつの『仮面生活』にも色々あるのだろう。多分。 同じ『仮面生活』者として、今回は助けてやるかな。
「分かった分かった。勉強ぐらい幾らでも教えてやるから、泣くな」
「ほんとですか!?」
俺が承諾すると、西条 伶以子は先程とかわって目を輝かせていた。
「あぁ本当だ」
「ありがとうございます!東川さん♪」
夕日に染まった教室で、満面の笑みを浮かべる西条 伶以子。綺麗な黒髪が夕日に映え、頬が少し赤みを帯びている。不良の『仮面』の時には見られない顔をしてきた西条 伶以子に俺は少し見とれてしまっていた。
「ま、まぁ次の休みの日でも勉強は間に合うだろ?だから今度の土曜日にな//」
ってなに慌ててんだ俺?べ、別にときめいてなんかないんだからね!
「はい!分かりました♪それじゃまた明日」
「あ、あぁ」
そう言って西条 伶以子は生徒会室から帰っていった。 俺も帰るか。
片付けを済ませ、帰宅の準備をする。ふとあの事件を思い出した。あの時の生徒が明日、停学明けで登校してくる予定だ。
「一応礼を言わなきゃな」
そう独りごちながら俺は学園を後にした。
ーー翌日
滞りなく授業を終え、放課後になった。俺はあの時の生徒が学園に来ていることを願いつつ、呼び出すために放送室へと向かう。
するとその途中で教室から一人の男子生徒が出てきた。そう、あの時の生徒だ。
「あ、君」
俺はその男子生徒に声をかける。するとその男子生徒はこちらに気付いた。
「…………」
その男子生徒は、受け答えすることなく俺の方をじっと見ている。俺は続けてその生徒に声をかける。
「あの時はありがとう。それで何かお礼をしたいんだけど今時間あるかな?」
俺がそう問いかけるとその生徒はようやく口を開いた。
「そうだな。ここじゃなんだし、場所を変えようぜ。……特攻服野郎君」
ーーッ!!! こいつ!?
何故こいつが俺の正体を知っているのか。俺は動揺を隠しきれなかった。
「……とりあえず生徒会室で話を聞くけど、どうかな?」
俺は肯定も否定もせずに、その生徒と共に生徒会室に向かった。
俺の仮面生活は着々とバランスを崩しはじめていた。
ちょっと短めですが、更新です(*^^*)
次ぐらいでこの序章が終われるかな(;´д`)
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