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僕らの仮面生活  作者: あるあーる
第二章
18/38

仮面の事件

お待たせしました♪第18話更新です(*^^*)

 やたらと積極的な西条に引きずられ、俺は商店街に来ていた。


「んで、なんで服屋に来たんだ?あいつの家は逆だろう?」


「変装するのですよ!!」

 うわぁ…すごいドヤ顔。


「……なぜに?」


「だって、制服のまま行ったらすぐにバレますよ?それにいかがわしいお店付近ですし…」

 ふむ。確かに制服のままあの付近を彷徨くのは得策ではないかもしれない。ましてや学園の生徒会長と不良少女が風俗街にいたと知れたら、何を言われるか分かったものではないしな。



「さぁ!入りましょう!」

 そう言って西条は中に入っていく。俺は渋々後を追う。


 中に入ると、女性用から男性用、子供用に果てはペット用まで様々な服が陳列されていた。


 西条はどことなく嬉々としながら服を選んでいく。さて、俺はどうしようかと考えていると自分の服が決まったのか西条が近づいてきた。


「東川さんにはこんなのが良いんじゃないでしょうか?」

 そう言って西条が指差した服は、ドクロのマークがプリントされた黒いTシャツだった。さらにサングラスにネックレス、そしてダメージ加工されたジーパンを次々に俺に渡してくる。なんというかすごくチャラチャラしてる。


「……なんか嫌だ」


「良いですか東川さん!? 変装は自分のイメージの真逆をする事が一番効果的なんですよ!」

 目を見開いて熱弁する西条。どんだけ気合い入れてんだよ。俺は、ならばと反論してみる。


「じゃあお前はどんなの選んだんだよ?」


「私ですか? …ちょっと待っててもらえますか?」

 西条はそう言い残し、試着室へと入っていった。その間に俺も着替えるか。


 一足先に着替えを終えて、俺は試着室から出る。ふと鏡に目をやると、そこには恐ろしくチャラチャラした男がいた。周りを見渡すと誰もが目をそらす。なんかもう泣きたい。


「お待たせしました♪」

 俺が自分の姿に愕然としていると、着替えを終えた西条が声をかけてきた。声の方へ振り返ると、そこには普段の西条のヒラヒラとしたイメージとは似ても似つかないボーイッシュな少女が立っていた。


 ジーンズのハーフパンツに、ヘソが見え隠れするタンクトップ。さらに帽子を被り、ロングヘアーの髪を後ろで纏めていた。元々スタイルが良い西条の、スタイルの良さを引き立てる服装だった。


「あの、どうですか?」

 俺が見とれていると、西条は照れながら言う。


「え?おぉ。良いと思うぞ?」


「ほんとですか!?」

 気のきいた台詞は言えなかったが、嬉しそうな西条。どうやら西条は満足したようだった。


「では改めて、出発しましょう!」

 西条の掛け声で、俺達は南島の家に向かうのだった。




 風俗街に着くと、そこは呼び込みやスカウトなどが声を高らかにあげ、行き交うサラリーマンなどがどうしようかと相談したりしていた。中には少し淫らな店もあり、そこから女性が過激な格好で呼び込みをしている。


 俺は少し気になって、西条の方を見る。するとそこには口をパクパクさせながら、顔をゆでダコのように真っ赤にした西条がいた。


「それで、南島の家はどっちだ?」

 俺は西条を現実に帰すため、質問をする。


「ひゃい!? あ、こ、ここっちです!」

 慌てながら、指を差してそちらに向かおうと早歩きする。


 しばらく歩くと、南島の家兼お店である『スナックサウスランド』があった。だが、店の前にはそれらしい人間はいない。店自体はシャッターも閉まっていないし、ライトアップもされているので開いているとは思うのだが。


「居ませんね。いつもはお店の前で呼び込みをしてるらしいですけど…」

 俺の視線に気付いた西条が呟く。


「まだ準備が忙しいんじゃないか?」

 俺はまた日時を改めようと、提案しようかと思ったその時。


「あ、見てください!南島さんが……」

 そこまで言って西条は口をつぐむ。西条が言った方向を見るとそこには南島がいた。だが何かがおかしい。


 そう、身長が異様に小さいのだ。遠近法とかそんなんじゃなく、ただただその南島が小さい。顔立ちや髪の色、髪の長さは普段の南島と一緒なのに、身長だけがまるで子供みたいになっている。


「もしかして南島さん、黒の組織とやらに…」


「やめろ。んな訳ねえだろ…」

 どこぞの高校生探偵が出てくる漫画じゃあるまいし。そんなやりとりをしていると、その小さい南島は今にも泣き出しそうになっていた。


「ちょっと行ってみましょう!」


「あ、おい!?」

 言うや否や西条は、その小さい南島の元へ駆け出して行ってしまった。俺も後に続く。



「どうしたの僕?」

 西条は優しい口調で、小さい南島に話しかける。小さい南島は、怯えながらも西条に口を開いた。


「ボク、お母さんからちょっと出ててって言われたの…。中に恐いおじちゃん達が来て、それでボク…」

 そう言いながら、小さい南島はとうとう泣き出してしまった。


「よしよし、泣かないで」

 西条は我が子をあやすように、小さい南島の頭を撫でる。それによって小さい南島は少しずつ落ち着いていった。


「それでお母さんは今どうしてるんだ?」

 俺は小さい南島に訊ねてみた。だが、俺の外見にビックリしたのか小さい南島はまた泣き出してしまう。


「っもう!東川さん!? あっち行ってて下さい!」


「………はい」

 この服装選んだの西条なのに。理不尽だ。


 俺は納得がいかないまま、少し離れた所で西条を待った。しばらくすると、西条が小さい南島を連れてこちらにやって来た。


「どうやら明日香君は、南島さんの弟さんみたいですね。名字が一緒で顔も似てるので」


「そうか」

 どうやらこの小さい南島は、南島(みなじま) 明日香(あすか)。南島の弟らしい。

 良かった。否定はしたが、一瞬ほんとに黒の組織が絡んでるのかと思ってた。


「それで?この子はどうするんだ?」


「明日香君が言うには、もう少しで南島さんが来るらしいのですが…」

 そう言いながら辺りを見渡していると、声が聞こえてきた。


「明日香ーーー!?」


「あ、お兄ちゃん!!」

 そう言って明日香は、声の方へ駆けていく。そこには制服のままの南島がいた。


 明日香を抱きかかえながら、南島はこっちへ向かって来る。あ、もしかしてこの変装のせいで誘拐とか思われるんじゃ…。


「お前ら何やってんの?」

 あ、バレバレですか?そうですか。


 俺達は事情を説明して、南島に詰め寄った。


「一体どうしたんだよ?」


「……明日香の事は礼を言う。けどこれは俺んちの問題だから…」

 そう言って南島は俺達に背を向ける。俺達が呼び止めようとすると、南島の家から悲鳴と何かが割れる音がした。


「おふくろ!?くそっ!」

 南島は家の中へ向かって走っていく。


「俺達も行くぞ!」


「はい!」

 こうして俺達も、南島の家の中へと向かった。


 この事件を境に、俺の周りの関係は急速に変化していくなんて、俺達はまだ誰一人知らなかった。

最後の方、走り書きになっちゃいました(-_-;)


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